『バチカン・テープ』

バチカン・テープ(字幕版)

原題:“The Vatican Tapes” / 監督:マーク・ネヴェルダイン / 原案:クリス・モーガン、クリストファー・ボレッリ / 脚本:クリストファー・ボレッリ、マイケル・C・マーティン / 製作:クリス・カウレス、ゲイリー・ルチェッシ、クリス・モーガン、トム・ローゼンバーグ、リチャード・ライト / 製作総指揮:クリストファー・ボレッリ、クリス・フェントン、デヴィッド・ケーン、ジェームズ・マックエイド、エリック・レイド / 撮影監督:ジェラルド・マドラッツォ / プロダクション・デザイナー:ジェリー・フレミング / 編集:エリック・ポッター / 衣装:リンゼイ・マッケイ / 視覚効果スーパーヴァイザー:ジェームズ・マックエイド / キャスティング:デボラ・アキラ、トリシア・ウッド、リサ・ザゴリア / 音楽:ジョセフ・ビシャラ / 出演:オリヴィア・テイラー・ダドリー、ジョン・パトリック・アメドリ、ダグレイ・スコットマイケル・ペーニャ、ピーター・アンダーソン、ジャイモン・フンスー、キャスリーン・ロバートソン、サム・アプトン、キャス・アンヴァー / 配給:Presidio / 映像ソフト発売元:avex pictures

2015年アメリカ作品 / 上映時間:1時間31分 / 日本語字幕:?

2016年7月9日日本公開

2017年6月16日配信版リリース [Prime Video:amazon]

公式サイト : https://www.vaticantapes.jp/ ※公開終了

DVD Videoにて初見(2018/09/15)



[粗筋]

 誕生日を境に、アンジェラ・ホームズ(オリヴィア・テイラー・ダドリー)は交際していたピート(ジョン・パトリック・アメドリ)と、父のロジャー(ダグレイ・スコット)との3人での生活を始めた。

 そんな矢先、奇妙な事件が起きる。アンジェラとピートが連れ立って出かけた際、2人が乗っているバスの窓を突き破ってカラスが飛び込んできたのだ。その際、アンジェラは誕生日のときナイフで切った手を更に深く傷つけてしまう。ピートは病院に行くべきだ、と忠告するが、アンジェラは執拗に拒むのだった。

 その晩、ピートが料理をしていると、トイレに行ってくる、と立ち去ったはずのアンジェラがカウチで昏睡状態に陥ってしまう。どうにか目醒めたアンジェラを病院に連れて行くが、けっきょく原因は特定できないまま、退院することになった。

 しかしその帰り、助手席に座っていたアンジェラが突如として運転手のハンドルを奪い、タクシーを暴走させる。ロジャーとピート、運転手は軽傷で済んだが、アンジェラは大怪我を負ってしまう。

 ふたたび昏睡したアンジェラは40日間にも亘って目醒めず、遂に医師はロジャーたちに非情な先刻をした。ロジャーと旧知の関係であるロザーノ神父(マイケル・ペーニャ)も見届けるなか、アンジェラの生命維持装置が外される。だが、その直後、アンジェラは突如として蘇生した。

 ロジャーとピートはアンジェラの生還に歓喜するが、しかしその夜、アンジェラは鍵がかかっているはずの病室を抜け出すと、新生児を溺れさせようとする。

 そして、このときから、アンジェラの周囲で陰惨な出来事が相次ぐようになる――



[感想]

 いわゆる“エクソシスト”ものの一種であるが、他の作品と比較したとき、本篇には際立った特徴がふたつある。

 ひとつは、作品の結末に関わる重要なポイントなので、ここで細かく触れることはしない。もう1点は、現代のホラー映画らしく、携帯端末や小型カメラなど、劇中に登場する撮影機材で撮られた映像を多用していることだ。

 基本的には普通のドラマと同様、存在しない第三者視点で撮影されているが、その随所に携帯電話や防犯カメラ、記録のために据え付けられた固定カメラなどが登場し、その映像を利用している。話は可能な限り客観的に進める一方で、劇中で撮られる映像を織り込むことにより、臨場感を増している。近年は全篇をこうした主観撮影で展開する作品も少なくないが、理解力が余計に必要だったり、撮影の仕方によっては手振れが激しく、観る側の負担も大きくなりがちだ。その点、本篇は使いすぎていないので、映像の意味が伝わりやすく内容の把握も妨げない範囲で、しかし観る側の没入感を高める効果を上げている。

 だが、なまじ演出的に効果を上げているがゆえに惜しまれるのは、ストーリー上ではあまり必要性がなく、活かされていない点だ。劇中のカメラでないと解りにくい出来事が撮られていたり、クライマックスや結末でその映像が何らかの事実を解き明かしたり、衝撃的な出来事を観客に見せつける、ということがなく、本当にちょっとした趣向程度に収まっている。タイトルまでが“バチカン・テープ”なのに、テープ(記録)の重みが劇中にはない、というのはやはり問題だろう。

 そして、あえて伏せたもう一つのポイントも、“エクソシスト”ものには在りそうでなかった着眼ではあるのだが、キリスト教についての知識がないとその意外性、驚きが伝わりづらい、という大きな問題を孕んでいる。仮に早い段階からその予備知識を伏線として混ぜ込んでいたとしても、観る側に違和感を与える可能性も高く、広範な観客に理解され、ラストで効果的に機能させるのは難しかっただろう。

 本篇にて、怪奇現象の中心となるアンジェラを担当したオリヴィア・テイラー・ダドリーは熱演だった。ハリウッド作品としては比較的低予算の部類に属する、と考えられる作りながら、マイケル・ペーニャジャイモン・フンスーなどをピンポイントで起用して箔をつける一方、悪魔祓いを行う重要な役柄にわざわざスウェーデンで活躍する俳優を招いて国際色をも打ち出し、作品に風格をもたらしている。そうした点は高く評価出来るものの、肝心のアイディアが充分に活きていないので、全体の印象があまり良くない。

 監督は、ブライアン・タイラーとの2人組で『アドレナリン』シリーズや『ゴーストライダー2』など、クセのあるキャラクターや物語をふんだんな映像的アイディアでインパクトのある映画に仕立ててきた。そのセンスは本篇でも窺えるものの、出来ればストーリーの見せ方にも配慮が欲しかった。



関連作品:

アドレナリン』/『アドレナリン:ハイ・ボルテージ』/『GAMER』/『ゴーストライダー2

トランセンデンス』/『バタフライ・エフェクト』/『ラストスタンド』/『ダーク・ウォーター』/『フューリー』/『オデッセイ』/『アンダーワールド ブラッド・ウォーズ』/『ブラッド・ダイヤモンド』/『I am Sam』/『リンカーン弁護士』/『アルゴ

エミリー・ローズ』/『ザ・ライト ~エクソシストの真実~』/『ラスト・エクソシズム』/『デビル・インサイド』/『汚れなき祈り』/『NY心霊捜査官』/『[アパートメント:143]』/『死霊館』/『貞子vs伽椰子』/『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷