70年を越えても追ってくる闇。

 今週は私にとってはいまひとつ食指が動かない作品が多く、観たくても微妙に時間が噛み合わない。唯一、ちょっと気になっていた作品が、午前中のちょうどいい時間にかかっていたので、ほぼ迷う余地なくこちらを選びました。
 行き先はTOHOシネマズシャンテ。先週までの戻り梅雨か早い秋か、みたいな陽気は一段落し、ふたたびの青空と強烈な陽射し。暑すぎて、きょうも電車にしようかな、と一瞬悩み、しかしけっきょくバイクで移動。いつもの駐車場が空いててよかった。
 鑑賞したのは、ナチスドイツに加担してしまった当時の少年少女、いまは老境を迎えた彼らからの証言をもとに、あの時代の空気、そしてあの出来事がいまなおドイツに及ぼす影響を浮き彫りにするドキュメンタリーファイナルアカウント 第三帝国最後の証言』(PARCO×ユニバーサル映画配給)
 ……実は、観るにはけっこう覚悟が要った。たぶん、今年観る映画の中でも屈指の“重い”作品だろうな、という予感があったので。
 思ったよりはさらっとした組み立て、なんですが、やっぱりボディブローのようにじわじわと効いてきます。若き、というより幼きナチス党員や、収容所などの労働者としての目撃談、虐殺の当事者としてではなく、やや離れた位置からの証言が、じりじりと迫るものがあります。
 しかし恐るべきは、同調圧力の凄まじさと、いちど植え付けられた価値観の根深さです。その残酷さに気づきながらも、反発することなど考えつきもしない空気。たとえ直接手をかけていなくとも、己も犯罪者だ、と捉える人がいる一方で、自分は関係がない、とほっかむりを決めこむ者も、いまなお当時の栄光と信念が間違っていた、とは思えない者もいる。もはや誰にも裁くことが出来ない“罪”が、高齢になっても未だ彼らを閉じこめている。
 ひとつ残念なのは、どうやら自身もユダヤ人である、という監督自身と思われる声が少々冷静を欠いている点。気持ちは解るし、それも真実なのでしょうが、もう少し客観的であって欲しかった。どのみちドキュメンタリーはバイアスがかかってしまうものなのだし。
 いずれにせよ、やはり重い、そして簡単に解決出来ない感情を観る側に齎す作品。この時期に映画館で公開するのは正しい。

 鑑賞後はまず日比谷しまね館へ。月にいちどのオンラインイベントに合わせて呑むお酒を買ってきました。
 昼食は、なんとな~くつけ麺が食べたい気分で、つじ田でテイクアウトして帰ろうかな、とも思ったのですが、念のために日比谷ラーメンアベニューに立ち寄ったら、ちょうど各店で新たにつけ麺を新メニューに採り入れていた。ここまでピッタリ気分に合わせられたら寄るしかない。
 食事を済ませると、凄まじい陽射しの下、あちーあちーぼやきながらバイクを走らせ帰宅。ここまで暑いと、都内じゃ快適には走れません……。

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