生きる時代も場所も間違えた男。[レンタルDVD鑑賞日記その704]

 今日は夕方、この時間にしかかかってない映画を観に行く――つもりでいました。
 ところが、朝からどうも体調が思わしくない。動けるけど、どうもクラクラして、あんまり遠出したくない心境になってしまった。
 いちおう、出かける前の時間に目覚ましを設定して仮眠を取ったものの、気怠さが取れなかったので、そのままもう少し休み、当初の予定では劇場で映画を観ているはずだった頃合いに、月額レンタルで借りたDVDを観ることにしました。

 1999年のジム・シャームッシュ監督作品、日本の武士道に心酔する黒人の暗殺者の奇妙な生き様を描いた『ゴースト・ドッグ』(Paramount Pictures映像ソフト発売)
 ジム・ジャームッシュ監督作品を観るのはこれで3本目ですが……なんか普通の映画を撮らないひとだな。黒人文化のなかで育ちながら、『葉隠』に綴られる侍の精神に従って暗殺者の道を歩む男が、任務を果たした結果、命を狙われる羽目に陥る……と、それだけ書くとちょっとハードボイルドですが、描写には終始ユーモアが滲んでいる。全然言葉が通じないのに心を許しているアイス屋、何故か読書友達になる少女との和やかな交流や、資金繰りに苦しみ、ろくに下調べもせず暗殺を働くマフィアみたいな毒の籠もった笑いも楽しい、けど風変わり。
 クールだけどどこか滑稽な主人公の生き様は、時代も場所も間違って生まれてしまったけれど、哀しさのなかにも、それでも信義を全うしようとしたがゆえの清々しさがある。ちょっと不思議な後味が忘れがたい作品でした。

 あとで気づいたのですが、今週はこのあと、映画館に足を運ぶタイミングがない可能性が強くなってしまった。少し踏ん張って出かけるべきだったか……まあ、出先で体調を崩してしまうよりはマシか。

コメント

  1. […] 原題:“Ghost Dog : Thhe Way of the Samurai” / 監督&脚本:ジム・ジャームッシュ / 製作:リチャード・グエイ、ジム・ジャームッシュ /  […]

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