『ミュータント・タートルズ(2014・字幕・3D・TCX・ATMOS)』

TOHOシネマズ日本橋、スクリーン8入口脇に掲示された『ミュータント・タートルズ』のキーヴィジュアルをあしらったシネコン・ウォーカー表紙。
TOHOシネマズ日本橋、スクリーン8入口脇に掲示された『ミュータント・タートルズ』のキーヴィジュアルをあしらったシネコン・ウォーカー表紙。

原題:“Teenage Mutant Ninja Turtles” / 原作:ケヴィン・イーストマン、ピーター・レアード / 監督:ジョナサン・リーベスマン / 脚本:ジョシュ・アッペルバウム、アンドレ・ネメック、エヴァン・ドーハティ / 製作:マイケル・ベイ、ブラッド・プラー、アンドリュー・フォーム、ゲイレン・ウォーカー、スコット・メドニック、イアン・ブライス / 製作総指揮:デニス・L・スチュワート、ジェイソン・T・リード / 撮影監督:ルラ・カルヴァーリョ / プロダクション・デザイナー:ニール・スピサック / 編集:グレン・スキャントルベリー、ジョエル・ネグロン / 衣装:サラ・エドワーズ / 音楽:ブライアン・タイラー / 出演:ミーガン・フォックス、ウィル・アーネット、ウィリアム・フィクトナー、アラン・リッチソン、ノエル・フィッシャー、ピート・プロゼック、ジェレミー・ハワード、アビー・エリオット、トオル・マサムネ、ミナエ・ノジ / 声の出演:ジョニー・ノックスヴィル、トニー・シャローブ / プラチナ・デューンズ、ガマ・エンタテインメント/メドニック・プロダクションズ/ヘヴィ・メタル製作 / 配給&映像ソフト発売元:Paramount Pictures Japan
2014年アメリカ作品 / 上映時間:1時間41分 / 日本語字幕:樋口武志
2015年2月2日日本公開
2018年3月24日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD VideoBlu-ray DiscBlu-ray Disc バリューパック(続篇とセット)]
公式サイト : http://www.turtles-movie.jp/ ※閉鎖済
TOHOシネマズ日本橋にて初見(2015/02/25)


[粗筋]
 エイプリル・オニール(ミーガン・フォックス)はジャーナリストを志望してテレビ局に入社した。しかし、キャスターとして与えられる仕事は当たり障りのないレポートばかりで燻っている。
 近年、ニューヨークでは《フット・クラン》と称する犯罪集団が様々な悪事を重ねていた。あるとき、エイプリルは《フット・クラン》が港に出没する、という情報を嗅ぎつけ、自転車で駆けつける。そこで彼女が目撃したのは、謎の一団が《フット・クラン》たちを薙ぎ倒し、犯行を未然に防ぐ光景だった。
 翌る朝の企画会議、エイプリルは喜び勇んで自身の目撃談を語るが、上司のバーナデット(ウーピー・ゴールドバーグ)はまったく信用しない。
 奇しくもエイプリルはふたたび、《フット・クラン》が地下鉄を襲撃する現場付近に居合わせた。特ダネ欲しさに、占拠された駅に乗り込んだ結果、エイプリルは他の客ともども人質にされるが、そのとき構内の照明が消えた。ほんの数秒の闇の中で激しい戦いが繰り広げられ、気づけば占拠していた一団はすべて捕らえられていた。
 暗闇の中、激しく躍動する影がどこから去っていったのか見届けていたエイプリルはすぐさま駅を飛び出し、そのあとを追った。付近のビル屋上で、興奮の様子で自分たちの手柄について語り合う声に、エイプリルがスマホのシャッターを切るが、そこにいたのは、あろうことか、巨大な4匹のカメだった――


『ミュータント・タートルズ』本篇映像より引用。
『ミュータント・タートルズ』本篇映像より引用。


[感想]
 日本人としては、観ていてしばしば微妙な気分にさせられる作品ではある。
《ニンジャ》というモチーフを、突然変異した、中身が10代のカメに上乗せされてるのはまだいい。《家門》を微妙に意味合いの異なる《家族》とごっちゃにしてたり、背景として日本人が聞いたこともない歴史を持ってきたり、日本文化へのリスペクトと同時に軽率な思い込み、捏造も混ざっているのが悩ましい。異文化について理解する難しさを承知している者としては、多少の誤解や捏造も許容するくらいでいたいのだが、ここまで微妙だと、嘆くべきなのか愉しむべきなのか困ってしまう。
 ただし、そこにあまり深く拘泥しなければ、軽く楽しめる仕上がりだ。
 随所に安易な設定、雑な展開があるが、説明としての筋を通すよりもストーリーの勢い、このキャラクターならではのアクションを盛り込むことに徹しているので、導入を過ぎるとほぼ見せ場しかない。《ニンジュツ》を駆使する巨大マウスのスプリンターに、甲羅を活かして銃弾を無力化し、圧倒的なパワーとらしからぬスピードで悪党たちを翻弄するカメ。すべてが3DCGによって描かれているため、制約のほぼないカメラワークが縦横無尽に駆け巡り、彼らのまさに人間離れしたアクションを絶え間なく描き出す。3D版だとまさに“観るジェットコースター”の趣がある。
 そして、このユニークな主人公たちの特色、“ティーンエイジ”という部分でもきちんと愉しませてくれる。窮地にも拘わらずヒップホップを気取ってみたり、ネット動画にハマっていたり、美人のエイプリルに積極的にアピールしてみせたり、と解りやすく示すティーンエイジっぽさに、ニヤリとせずにいられない。3DCGによって描かれたタートルズの外観は、いささか薄気味悪くもあるのだが、彼らの愛嬌豊かな振る舞いのお陰で、簡単に馴染めてしまう。設定に粗さはあっても、キャラはきちんと際立たせている。
 だが、そういう意味で何よりも惜しむべきは、悪党側の人物像、計画があまりにも安っぽいことだろう。シンプルであればこそ映像で伝わりやすい、というのも事実だが、世の中に黒幕があっさりと割れてしまうようなクライマックスの計画は、やはり失笑してしまう。CGとしてタートルズとまとめて扱える、という計算もあったのか、大ボスが無駄にゴテゴテと飾り立てているのに対し、参謀的に登場するキャラクターがさほど印象を残さないまま倒されてしまう、などのバランスの悪さも引っかかる。
 アメコミを原作にした映画は、《マーヴェル・シネマティック・ユニヴァース》の成功を境に急速に成熟した感がある。『アベンジャーズ』の系列作品やクリストファー・ノーランの《ダークナイト》トリロジーなどと比較すると、どうにも幼稚な印象を免れない出来映えだが、そもそも“ティーンエイジ”であることがこのキャラクターの魅力、と捉えるなら、本篇は正しい作りかも知れない。こちらも少し馬鹿になって愉しむべきだろう。


関連作品:
黒の怨』/『テキサス・チェーンソー ビギニング』/『世界侵略:ロサンゼルス決戦』/『タイタンの逆襲
ジェニファーズ・ボディ』/『メン・イン・ブラック3』/『エリジウム』/『レディ・イン・ザ・ウォーター』/『インセプション』/『SAYURI』/『ラストスタンド』/『クローン
ヘルボーイ』/『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』/『ヘルボーイ(2019)』/『ニンジャ・アサシン

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