『ワンダーウーマン(字幕・3D・IMAX)』

TOHOシネマズ新宿、IMAXスクリーン前の通路に展示されたワンダーウーマンの等身大フィギュア。 ワンダーウーマン (期間限定出荷/スペシャル・パッケージ仕様) [Blu-ray]

原題:“Wonder Woman” / 監督:パティ・ジェンキンス / 脚本:アラン・ハインバーグ / 原案:ザック・スナイダー、アラン・ハインバーグ、ジェイソン・フュークス / 製作:チャールズ・ローヴェン、デボラ・スナイダー、ザック・スナイダー、リチャード・サックル / 製作総指揮:ジョン・バーグ、ウェスリー・コーラー、ジェフ・ジョンズ、スティーブン・ジョーンズ、スティーヴン・ニューチン、レベッカ・スティール・ローヴェン / 撮影監督:マシュー・ジェンセン / プロダクション・デザイナー:アリーン・ボネット / 編集:マーティン・ウォルシュ / 衣装:リンディ・ヘミング / キャスティング:クリスティ・カールソン、ローラ・ケネディ、ルシンダ・サイソン / 音楽:ルパート・グレッグソン=ウィリアムズ / 出演:ガル・ガドットクリス・パインロビン・ライトダニー・ヒューストンデヴィッド・シューリスコニー・ニールセンエレナ・アナヤ、ルーシー・デイヴィス、サイード・タグマウイ、ユエン・ブレムナー、ユージーン・ブレイヴ・ロック、リーサ・ローヴェン・コングスリ / アトラス・エンタテインメント/クルーエル・アンド・アンユージュアル製作 / 配給&映像ソフト発売元:Warner Bros.

2017年アメリカ作品 / 上映時間:2時間21分 / 日本語字幕:アンゼたかし

2017年8月25日日本公開

2019年7月3日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video(期間限定パッケージ):amazon|DVD Video:amazonBlu-ray Disc(期間限定パッケージ):amazonBlu-ray Discamazon|4K ULTRA HD & Blu-ray セット:amazon]

公式サイト : http://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/

TOHOシネマズ新宿にて初見(2017/8/25)



[粗筋]

 ダイアナが生まれ育ったのは、孤島に存在する女だけの民族“アマゾン”の王国セミッシラ。ダイアナは女王ヒッポリタ(コニー・ニールセン)のひとり娘として慈しまれたが、幼少の頃からダイアナは強さを望み、自ら進んでヒッポリタの妹である将軍アンティオペ(ロビン・ライト)からの鍛錬を受けた。

 成長したダイアナ(ガル・ガドット)は、アンティオペの予想を超えるレベルで成長した。訓練の中で、女王をも慄然とさせる素質を示したその日、静かだった島に闖入者が現れる。

 島の沖に1機の飛行機が墜落、たまたまその気配を察知したダイアナがパイロットを救出すると、彼を追ってきた船団が島に向けて攻撃を開始した。非常時のために訓練を怠らなかった島民は最終的に敵を一掃するが、アンティオペをはじめ多数の犠牲を出してしまった。

 当然のように女王達はパイロットの素性を疑い、“真実の投げ縄”でパイロットを捕らえて尋問した。パイロットの名はスティーヴ・トレヴァー(クリス・パイン)と言い、アメリカ陸軍に所属しイギリス軍諜報部に協力する、連合軍側がドイツに派遣したスパイだった。パイロットとして独軍の内情を探り連合軍に伝えるのが任務だったが、あるとき、独軍を独裁的に支配するエーリヒ・ルーデンドルフ総督(ダニー・ヒューストン)が赴いた基地で、“ドクター・ポイズン”と呼ばれる狂気の科学者イザベル・マル博士(エレナ・アナヤ)が極めて危険な毒ガスの開発に成功したことを知る。連合軍に報告するべく、スティーヴは隙を狙ってマル博士のノートを奪うが、すぐに勘づかれ、準備中だった戦闘機を奪って逃亡、その最中にセミッシラ沖に墜落したのだ。

 外界で激しい戦争が繰り広げられていることを知ったダイアナは、それがゼウスたち神々を葬った軍神アレスの策略である、と確信する。無辜の人々を救うために、自分が戦わなければいけない、と考えたダイアナは、解放することと引きかえに、前線に連れて行くようスティーヴに交渉する。

 かくして、ダイアナは初めて外の世界へと旅立つ。だが事態は、ダイアナが想像していたほどシンプルではなかった――



[感想]

 アメコミのヒーローもの、と言えば、マーヴェルとDCという2大出版社がほぼ大勢を占めている。映画界にも滲出した両社のうちマーヴェルの好調ぶりは、年間3作というハイペースでのリリースを継続しながら質も維持しており、もはや追随を許さない状態だ。シリーズとしての歴史は引けを取らないDCは、なまじ異才クリストファー・ノーランの映画史に残る傑作『ダークナイト』に連なる3部作が入ってしまったが故に、レーベルの作品群を纏める、という意味ではライヴァルに後れを取った格好だ。

 しかし、そんなDCがこのアメコミ映画隆盛のなか、初めてマーヴェルに一矢報いた、と言えるのが本篇だろう。

 兆候は、先行する『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で既に見えていた。この作品で本篇のヒーローたる彼女は登場しているのだが、はっきり言ってタイトルロールたちよりも劇的だった。最高のタイミングで現れる、まさにヒーロー然たる扱いは、否応なく単独作への期待を煽るものだった。直後、何故かこの“DCエクステンデッド・ユニヴァース”では未登場の悪役ばかりで構成された『スーサイド・スクワッド』が発表されたが、結果的にこの“お預け”も本篇への期待が高まったのかも知れない。

 もちろん、実際にリリースされた作品の面白さもものを言っている。

 この作品が他のヒーローと一線を画しているのは、女性であることもさりながら、異性に接したことのないお姫様であった、という点だろう。スティーヴ・トレヴァーと出会い、初めて外の世界、そしてその危機を知り、島から飛び出していく。まったく異なる文明圏から出て来たが故の頓珍漢な言動でしばしば笑いを誘い、同時に思いがけない問いかけを投げたりもする。見目麗しさも特異だが、初めて外の世界に出て行ったダイアナは極めて純朴なのだ。

 しかし本篇で描かれるのは第二次世界大戦のころである。西欧諸国では女性の地位は低く、ダイアナもそのジェンダー故にしばしば侮られ軽んじられる。

 だが、世間の常識を知らず、常識を凌駕する身体能力を備えたダイアナは、そうした軽侮の眼差しに真っ向から臨み、蹴散らしてしまう。男の方が優れている、という安易な思い込みを、目が覚めるほどの獅子奮迅ぶりで薙ぎ倒していく。

 そう考えていくと、この物語においてダイアナが対峙するのは、世界を破滅へと追いやる存在のみではない。当時に限らず、いまも少なからず世の中に蔓延る、女性に対する偏見や決めつけを、その見目や振る舞いに相応しい華麗さで打ち倒していく。その痛快さは、型どおりのヒーローものを確実に凌駕するものだ。

 むろん、ストーリー自体が練りこまれていることも、高い評価に結びついている。戦争の背後に蠢く悪意と戦うスパイ・アクションめいた展開を軸に、謎や意外性で波を作り、そこにスティーヴとの関係性の変化をも織り込んで、予測の難しい物語を組み立てている。率直に言うと、最後に解き明かされる真相は、伏線の乏しさ故に強引という感が否めないのだが、過程が面白く、そしてそこから醸成されるドラマの豊かさで充分に補っている。

 アクション面でも、しばしばパワーの強調に偏りがちな多くのヒーローものに対し、しなやかさやスピード感を印象づける演出を選択するなどの工夫もハマっている。ヒットして当然のクオリティだ。

バットマン vs スーパーマン』での彼女がそうだったように、“DCエクステンデッド・ユニヴァース”全体にとっての救世主となった作品、と言っても大袈裟ではあるまい。



関連作品:

マン・オブ・スティール』/『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』/『スーサイド・スクワッド

モンスター

シュガー・ラッシュ:オンライン』/『Black & White/ブラック & ホワイト』/『声をかくす人』/『RED/レッド リターンズ』/『閉ざされた森』/『私が、生きる肌』/『ショーン・オブ・ザ・デッド』/『アメリカン・ハッスル』/『エクソダス:神と王

バットマン・ビギンズ』/『ダークナイト』/『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』/『カサブランカ』/『北北西に進路を取れ』/『レイダース/失われたアーク《聖櫃》