『カリフォルニア・ダウン(字幕・3D)』

新宿ピカデリー、スクリーン4入口に表示されたポスター。 カリフォルニア・ダウン [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

原題:“San Andreas” / 監督:ブラッド・ペイトン / 原案:アンドレ・ファブリツィオ、ジェレミー・バスモア / 脚本:カールトン・キューズ / 製作:ボー・フリン / 製作総指揮:リチャード・ブレナー、サミュエル・J・ブラウン、マイケル・ディスコ、トビー・エメリッヒ、ロブ・コーワン、トリップ・ヴィンソン、ブルース・バーマン / 撮影監督:スティーヴ・イェドリン / プロダクション・デザイナー:バリー・チューシッド / 編集:ボブ・ダクセイ / 衣装:ウェンディ・チャック / VFXプロデューサー:ランディ・スター / VFXスーパーヴァイザー:コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス / キャスティング:デボラ・アクィラ、トリシア・ウッド / 音楽:アンドリュー・ロッキングトン / 出演:ドウェイン・ジョンソンカーラ・グギーノ、アレクサンドラ・ダダリオ、ヨアン・グリフィズ、アーチー・パンジャビ、ポール・ジアマッティ、ヒューゴ・ジョンストン=バート、アート・パーキンソン、ウィル・ユン・リー、カイリー・ミノーグ / FPC製作 / 配給&映像ソフト発売:Warner Bros.

2015年アメリカ作品 / 上映時間:1時間54分 / 日本語字幕:杉田朋子

2015年9月12日日本公開

2018年2月17日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video:amazonBlu-ray Discamazon|3D + 2D Blu-ray Set:amazon|4K ULTRA HD ; Blu-rayamazon]

公式サイト : http://www.californiadown.jp/

新宿ピカデリーにて初見(2015/10/02)



[粗筋]

 第58救援隊の主任レイ(ドウェイン・ジョンソン)は、アフガニスタンとロスの双方で600件以上の救難活動に従事した凄腕のレスキュー隊員だが、ただひとり、末娘マロリーを救出できなかったことを未だに後悔している。それが妻エマ(カーラ・グギーノ)とのあいだに溝を作り、現在は別居していた。残された娘ブレイクとの関係は良好で、元妻の新たな恋人ダニエル(ヨアン・グリフィズ)の存在も受け入れているが、内心は複雑な想いを抱えている。

 一方、地震学者のローレンスはラスヴェガスの南東で群発地震の兆候を捉え、長年研究してきた地震予知の可能性を探るため、同僚のキム(ウィル・ユン・りー)と共に現地のダムを訪れていた。予想通りの結果に歓喜していた矢先、激しい地震の予兆を観測、ダムはキムを巻き込んで倒壊する。

 レイはブレイクの大学進学に備え、彼女の荷物を運んで一緒に旅する予定だったが、ネヴァダ州の地震により召集され、折しもロサンゼルスに自身の新しいビルを視察するために出かけるところだったダニエルにブレイクを託す。

 同僚の死を悼む暇もなく研究室に戻ったローレンスだが、部下からの報告に慄然とする。サン・アンドレアス断層で、ネヴァダ州での地震を越える兆候を観測したのだ。

 予測通り、断層に沿った地域に激しい地震が発生する。直前の救難作業で故障したヘリを輸送中だったレイは、妻がダニエルの姉スーザン(カイリー・ミノーグ)とビルの最上階で会食中に被災したことを知り、慌てて駆けつける。

 地震はダニエルのいるサンフランシスコでも発生した。地下駐車場から出るところでダニエルと共に被災したブレイクは、車中で足を挟まれ脱出不能になってしまった。助けを探す、と言い残してダニエルは地上に出るが、目の前で発生する壮絶な光景に動揺し、ひとりで逃げてしまう。

 ブレイクは幸いに、被災する直前に知り合った就活中の青年ベン(ヒューゴ・ジョンストン=バート)とその弟・オリーによって辛うじて救出された。街は壮絶な様相を呈していたが、ブレイクは助けを求めるべく、父と連絡を取る手段を探した――



[感想]

 ハリウッドではしばしばこういう“大災害”の映画を繰り出して来る。無名の役者ばかりが出ている低予算の作品だと「んなことあるかい」と突っ込みたくなる設定や展開が連続することも多いが、大手のスタジオで一定以上の知名度のある俳優が揃っている場合、内容が類型的だったり話運びが大味だったりすることはあっても、設定の面で一定のリアリティは保ち、観る者を退屈させない程度には展開がしっかりと練られているものだ。個人的に、こういう傾向の作品の理想だと思っているのは、トミー・リー・ジョーンズ主演の『ボルケーノ』だが、本篇はそれに匹敵する出来だと思う。

 序盤から見せ場の出し惜しみがない。レイという主人公のレスキューとしての能力を示すために、冒頭でかなりクレイジーな救難活動の様子を見せると、プロローグ的な部分を挟んですぐに最初の災害が発生する。そこからは両親側と娘側、双方で様々な事態に遭遇し続ける。息をつく暇がない――と言ってしまいそうだが、適度にユーモアや息抜きを挟んでいるので、疲れ果てるほどの重さはない。非常に巧みな呼吸で、観客を引っ張り続ける構成になっている。

 この作品がうまく出来ている、と思うのは、人物の設定や行動にきちんと報いている点だ。レイとその家族はどれほどの苦境にあろうと諦めない。レイは移動手段を失っても、出逢った人の善意によって娘の元に辿り着くべく努力を重ねるし、一方のブレイクも、父に仕込まれた知識を駆使して、自らを助けてくれた兄弟を導きつつ生き延びる努力を怠らない。一方で「この人ヒドい」と観客が感じる者はそれ相応の末路を迎える――人間の命は平等だ、と言いつつも、観ている側としてはちょっと爽快感を覚えてしまう。倫理に厳しいひとや、現実の不条理さも描くべきだと考えるひとには御都合主義に映るだろうが、このシンプルな設定と因果応報ぶりが、やもすると深刻になりかねない主題をエンタテインメントの枠に留めている。

 だが、やはりこの作品の見所は、壮絶すぎる様々な災害の描写だ。およそ類を見ないほどの凄まじい震災が起きているとはいえ、さすがに都市として脆すぎでは? という疑問が湧くほど少々大袈裟の気味はあるが、次々と倒壊するビルや迫りくる津波、大地に走る巨大な亀裂など、未曾有の大災害だからこその常軌を逸したヴィジュアルは圧巻だ。恐怖ももたらすが、生々しい自然の脅威を感じさせられ、目を奪われる。

 この調子で、終始トラブルに見舞われてはギリギリで生き延びる、という繰り返しでのみ構成されている、と言えるが、テンポは良く描写がしっかりしているので退屈することがない。本物の災害はもっと悲惨な現実が待ち受けているが、そこに希望を感じさせ、あとにしこりを残さない作りは、観客がいい心地で映画館をあとに出来るエンタテインメントとしてはひとつの理想に近い。現実の重みをも感じさせる重厚な仕上がりを求めているなら確実に失望するが、そういう現実と距離を置き、その場限りでも歓喜や爽快感を欲しているなら、最適の1本と言えるだろう。こういう作品だって必要なのだ。



関連作品:

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