『プリキュアミラクルユニバース』

ユナイテッド・シネマ豊洲が入っているららぽーと豊洲入口脇に掲示されたポスター。

原作:東堂いづみ / 監督:貝澤幸男 / 脚本:村山功 / 総作画監督&キャラクターデザイン:松浦仁美 / 美術設定:升井秀光 / 美術監督:高木佑梨、渡辺佳人 / CGディレクター:高橋友彦 / 色彩設計:竹澤聡 / 撮影監督:高橋賢司 / 音楽:林ゆうき橘麻美 / 製作担当:末竹憲 / 出演:成瀬瑛美小原好美安野希世乃小松未可子木野日菜吉野裕行引坂理絵本泉莉奈小倉唯田村奈央田村ゆかり多田このみ野田順子福島潤美山加恋福原遥村中知藤田咲、森なな子、水瀬いのりかないみか水島裕小桜エツ子田中裕二(爆笑問題)、梶裕貴脳みそ夫ゴー☆ジャス / 配給:東映

2019年日本作品 / 上映時間:1時間10分

2019年3月16日日本公開

公式サイト : http://www.precure-miracleuniverse.com/

ユナイテッド・シネマ豊洲にて初見(2019/3/28)



[粗筋]

 遠い空の彼方、ミラクル惑星で、伝説の戦士プリキュアに希望の力を託すための道具、ミラクルライトが製造されている。ピトン(小桜エツ子)はいつか立派な職人になることを夢みているが、なかなか見習いから抜け出せない。いつも同じような仕事にウンザリして、適当なことをしていたら、工場に突如、黒い雲が湧き起こって、同僚たちを飲みこんでいった――

 星奈ひかる(成瀬瑛美)、羽衣ララ(小原好美)、香久矢まどか(小松未可子)、天宮えれな(安野希世乃)の4人はそのとき、望遠鏡で宇宙を眺めていた。しかし突如として空に開いた穴に吸い込まれ、キラキラ惑星のある宙域まで送りこまれる。そのまま落ちそうになった4人が掴まったのは、謎の黒い雲から脱出したピトンのロケットだった。

 どうやら、ピトンが辛うじて持ちだした作りかけのミラクルライトが作動して、遠い地球からプリキュア達を召喚したらしい。野乃はな(引坂理絵)たちHUGっと!プリキュアの5人、宇佐美いちか(美山加恋)たちキラキラ☆プリキュアアラモードの6人もワープしてきて、黒い雲の中から現れた魔物達と戦い始めた。ひかるたちもスター☆トゥインクルプリキュアになって、魔物に立ち向かう。

 しかし、次から次へと湧き出す魔物達に、プリキュアは苦戦する。自分の作ったミラクルライトに力があることに気づいたピトンは、願いを込めて、更なるプリキュアを召喚しようとする。呼びかけに応じ、歴戦のプリキュア達の姿が近づいてきたが、その途端にミラクルライトは光を失ってしまった。

 はな=キュアエールやいちか=キュアホイップたちは力を結集、黒い雲を退けようとするが、まだ連携の取れていないひかる=キュアスターたちがパランスを乱してしまい、弾き返されてしまう。

 変身が解け、散り散りになったプリキュア達に追い打ちをかけたのは、ミラクル惑星の大統領(田中裕二)が放った警備隊だった。大統領はこの事件をピトンと“プリキュアの偽物”が原因と判断、プリキュアを名乗るひかるたちを捕らえようとしたのである――



[感想]

 この劇場版プリキュアのシリーズにはもともとそういう傾向はあったが、本篇はいよいよ本格的に“劇場で楽しむヒーロー・ショー”としての完成度を高めてきた。

 これまでの劇場版でも、小さな観客に“参加する楽しみ”をもたらしてきたミラクルライトを、本篇では今まで以上にフィーチャーし、何度も観客に応援というかたちでの参加を求めている。それ故に、映画なのでいまさら内容の改変などしようもない、という内実を知っていて、そもそも劇場側からミラクルライトの提供を受けられない大きなお友達としては少々白けてしまう場面が増えているが、スクリーンからの呼びかけに素直に応える客層にとっては、退屈させられず、しっかりと惹きこまれる作りだ。

 もうひとつ、大人の目線で鑑賞したとき気に懸かるのは、今回の実質的な視点人物に設定されたピトンのいい加減な振る舞いだ。職場でのいい加減な振る舞いから、黒い雲の襲来でいの一番に逃げ出し、自分以外の人間が懸命に事態の収拾に努めるなか、さっさと解決を諦める、という具合で、責任感の乏しさや不誠実さが際立っている。もちろん、プリキュア達に寄り添う立場にいるこのキャラクターを放置しておくわけもなく、最後に改悛することで結末のカタルシスを強めてもいるのだが、これまでのプリキュアシリーズにはあまり登場しなかった、出ていてもあまり焦点を合わせることのなかったキャラクターなので、シリーズに慣れているひとほどピトンの存在をしこりのように感じてしまう。

 今回、目立った特徴としてもうひとつ挙げられるのは、大勢の表情を捉えるための工夫として、フキダシや画面分割を多用している点だ。特に大勢のキャラクターが一堂に会した場面で、プリキュアそれぞれの表情をフキダシの中に入れたり、画面を分割して見せたりする。率直に言って、多用しすぎていささか画面を安易なものにしている嫌味はあるのだが、しかし間違いなく年少の観客にとっては解り易くなっている。構図を工夫して、いちどに大勢のキャラクターを画面内に収める、というのが一般的なやり方だが、これではまだ情報処理能力が育っていない小さな子供にとっては把握しきれなくなる恐れがある。本篇のやり方なら、自分の好きなプリキュアがどこにいるのか、ピンチにどんな顔をしているのか捉えやすい。

 こうして分析していくと、本篇はこれまで以上に、本来このシリーズがターゲットとしている客層が素直に愉しめるような工夫を積極的に施していることが窺える。

 そのぶん、大人でも唸らされるような趣向が減り、私のように分析して鑑賞する質でもない限り、大人にとっては楽しみにくい作りになっていることは確かだ。

 だが、このシリーズはあくまで子供たちに楽しんでもらうために作られている。初期から“大きなお友達”の注目を集め、その鑑賞眼にも耐えられるような趣向を採り入れる傾向にもあったが、それはあくまで余技に過ぎない。本篇は企画本来の精神に立ち戻って組み立てられた作品、と捉えられるだろう。

 このスタッフのこと、恐らく今後はまた、子供たちの楽しみに奉仕しながら、一緒に鑑賞する親や、“大きなお友達”を唸らせる趣向も増やしていくのではないか、と思われる。だがその前に、意識して初心に立ち戻ることを選んだ。これもまたやはり、今までの作品群でここのスタッフ達の見せた豊かな創意工夫と弛まぬ研鑽の賜物、と言えるだろう。



関連作品:

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