『メカニック:ワールドミッション』

ユナイテッド・シネマ豊洲、スクリーン11入口に掲示されたポスター。 メカニック:ワールドミッション [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

原題:“Mechanic : Resurrection” / 監督:デニス・ガンゼル / 原案:フィリップ・シェルビー / 脚本:フィリップ・シェルビー、トニー・モジャー / キャラクター創造:ルイス・ジョン・カリーノ / 製作:デヴィッド・ウィンクラー、ジョン・トンプソン、ロバート・アール / 製作総指揮:アヴィ・ラーナー、ブライアン・プレスリートレヴァー・ショート、マーク・ギル、ボアズ・デヴィッドソン、フランク・デマルティーニ、スティーヴン・チャスマン / 撮影監督:ダニエル・ゴットシャルク / プロダクション・デザイナー:ゼバスティアン・T・クラヴィンケル / 編集:マイケル・ドゥーシー、トッド・E・ミラー、ユーリ・クリステン / 衣装:プリーヤナン・スワンナターダ / 音楽:マーク・アイシャム / 出演:ジェイソン・ステイサムジェシカ・アルバトミー・リー・ジョーンズミシェル・ヨー、サム・ヘイゼルダイン、ジョン・セナティエンポ、ラータ・ポーガム、ヴィタヤ・パンスリンガム / 配給:Showgate / 映像ソフト発売元:Warner Bros. Home Entertainment

2016年アメリカ作品 / 上映時間:1時間39分 / 日本語字幕:?

2016年9月24日日本公開

2018年1月17日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video:amazonBlu-ray Discamazon]

公式サイト : http://mechanic-movie.com/ ※公開終了

ユナイテッド・シネマ豊洲にて初見(2016/9/30)



[粗筋]

 かつて闇の世界にその名を轟かせた殺し屋アーサー・ビショップ(ジェイソン・ステイサム)だが、いまは現役を退き、身分を偽りブラジルのハーバーで隠遁生活を送っていた。

 だが、ビショップの平穏は、ひとりの女の登場で破られる。彼の素性を知る女は、ビショップに仕事を強要しようとするが、ビショップは追っ手を蹴散らしてその場を遁走する。そして、暮らしていた船を爆破すると、隠匿していた武器や偽物のパスポートを携えて、ブラジルをあとにした。

 タイに渡ったビショップは、かつて縁のあったメイ(ミシェル・ヨー)のもとに身を寄せる。万一のために、メイの暮らすビーチに避難所を設けていたのだ。

 ほとぼりが冷めるのを待つはずが、しかし相手はビショップを見逃してくれなかった。メイに請われ、DVに悩まされる女を救い出すが、彼女もまた敵が撒いた罠だった。その女、ジーナ(ジェシカ・アルバ)はかつて特殊部隊に身を置いていたが、戦争により身寄りを亡くした子供たちに同情し、いまは保護施設で働いているという。しかし、その施設を脅迫材料にされて、ビショップの“弱み”になるよう差し向けられたのだ。

 ビショップに執拗につきまとう黒幕の名は、クレイン(サム・ヘイゼルダイン)――幼少時、ビショップと同じ施設で少年兵としての訓練を受けていたが、逃亡を試みた際にひとり逃げ遅れ、それ以来ビショップに怨みを抱いている。クレインは、隠棲したビショップを引っ張り出し、難易度の高い暗殺計画に利用することを目論んでいたのである――



[感想]

 気づけばジェイソン・ステイサムもだいぶ大物になってしまった。シルヴェスター・スタローンが主導する『エクスペンダブルズ』では幾分若手扱いされつつもスタローンの片腕的存在として毎回活躍を示していたし、大ヒット・シリーズの第7作『ワイルド・スピード SKY MISSION』では間違いなくシリーズ最強の悪役として、玄人や猛者揃いのキャストを圧倒する存在感を見せつけた。それぞれの興行成績からも明白な活躍ぶりは、初期から追っていた者にとって幸甚だが、しかし同時に、物足りなさも感じていたはずだ。

 2011年に製作された『メカニック』の続篇である本篇は、そんなふうに活躍を喜びつつも物足りなさを感じていたファンにとっては福音に等しい仕上がりである。

 冒頭からステイサムの魅力が横溢している。説明もなく、ハーバーで穏やかに生活している様子を描き出すが、その一挙手一投足から既にただ者でない雰囲気を放っている。そして、思いがけないタイミングから突然アクションに突入するが、その激しさとあまりに鮮やかな手際に序盤から胸のすく想いがする。

 続いての舞台、タイでは一転し、ビショップの過去を匂わせる一方で、罠であることを察しつつも不運な女のために行動を起こす漢気を見せる。そして、やむなく暗殺の仕事を再開すると、難易度の高い任務を素晴らしい叡智と、この男だからこその身体能力でこなしていく。

 ジェイソン・ステイサムという役者はお世辞にも器用とは言いがたい。いつまで経ってもイギリス訛りが抜けないし、どの作品でも似たような役柄ばかり演じている。監督や脚本、スタッフ側がすり寄ることで成立する俳優ではある。

 だが、言い換えればそれは、近しいタイプのキャラクターを演じ続け、どんどん掘り下げていく、ということでもある。しかもこの男は、しっかりとその表情や振る舞いに奥行きを加え、どんどん味わいを増していった。そのスタイルが大作でも通用することを証明したこの時に、ステイサムが築きあげたキャラクター性をおさらいするような本篇が作られたのは必然的だったのかも知れない――年齢的にもキャリア的にも、今後も同じような趣向、スタイルを貫くのはそろそろ厳しくなってくるはずだから。

 100分にも満たない尺は昨今の映画としては短めながら、そこにしっかりアーサー・ビショップというキャラクターと、それを演じるジェイソン・ステイサムの魅力を存分に詰めこんでいる。黒幕の行動がいささか軽率であることとか、如何に常人離れした能力を持つビショップとは言い条、あまりにも都合よく運びすぎるアクションの流れに不自然さがあることとか、そうした大味さが引っかかるひとには楽しめないだろうが、ジェイソン・ステイサムという俳優に魅せられたひとにとっては極上の1本になるはずである。



関連作品:

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