『キングコング:髑髏島の巨神(字幕・3D・IMAX)』

TOHOシネマズ新宿外壁に飾られた大看板と、それを見おろすゴジラ。 キングコング:髑髏島の巨神 [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

原題:“Kong : Skull Island” / 監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ / 脚本:ダン・ギルロイ、マックス・ボレンスタイン、デレク・コノリー / ストーリー:ジョン・ゲイティンズ / 製作:トーマス・タル、メアリー・ペアレント、ジョン・ジャシュニ、アレックス・ガルシア / 製作総指揮:エリック・マクレオド / 共同製作&視覚効果プロデューサー:トム・ピッツマン / 撮影監督:ラリー・フォン / プロダクション・デザイナー:ステファン・デシャント / 視覚効果シニア・スーパーヴァイザー:スティーブン・ローゼンバウム / 視覚効果スーパーヴァイザー:ジェフ・ホワイト / 編集:リチャード・ピアソン / 衣装:メアリー・ヴォート / キャスティング:サラ・ハリー・フィン / 音楽:ヘンリー・ジャックマン / 出演:トム・ヒドルストンサミュエル・L・ジャクソンジョン・グッドマンブリー・ラーソンジン・ティエン、ジョン・C・ライリー、トビー・ケベル、ジョン・オーティス、コリー・ホーキンズ、ジェイソン・ミッチェル、シェー・ウィガムトーマス・マン、ユージン・コルデロ、テリー・ノタリー、MIYAVI / レジェンダリー・ピクチャーズ製作 / 配給&映像ソフト発売元:Warner Bros.

2017年アメリカ作品 / 上映時間:1時間58分 / 日本語字幕:アンゼたかし / 字幕監修:町山智浩 / PG12

2017年3月25日日本公開

2018年8月22日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video:amazonBlu-ray Discamazon|4K ULTRA HD & 2D Bru-rayセット:amazon]

公式サイト : http://kingkong-dokuro.jp/

TOHOシネマズ新宿にて初見(2017/3/27)



[粗筋]

 ベトナム戦争にようやく終止符が打たれた1973年、特務機関モナークの中心人物ビル・ランダ(ジョン・グッドマン)は地質学者のヒューストン・ブルックス(コリー・ホーキンズ)とともに議員に陳情し、調査のための資金を調達する。

 ランダたちが目をつけたのは、地球観測衛星ランドサットが発見した、南太平洋にある人類未到の孤島である。常に嵐で囲まれ、船舶の侵入を拒絶してきた島、称して“髑髏島”。そこには未知の生物や植生、資源が眠っている可能性がある。だが同時に伝染病をはじめとした多くの危険が考えられるため、ランダは予め軍の協力を要請、更に英国特殊部隊出身で、いまは傭兵稼業をしているコンラッド大尉(トム・ヒドルストン)をベースキャンプの指揮官として招聘、万全の態勢を整えて髑髏島へと乗り込んだ。

“調査団”は島に上陸後、ブルックスらがまず着陸し計測器を設置、そののちヘリの編隊がサイズミックを投下、その振動の伝達により地質を計測する調査から始めた。ブルックスがその反応に歓喜した直後、突如として悲劇は起きた。

 物陰から、山のように巨大な猿が現れ、次々にヘリを攻撃し始めた。編隊を指揮していたパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)は応戦を指示したが、ヘリはまるで子供の玩具のように次々と叩き壊される。瞬く間に全機が撃墜され、“調査団”は散り散りとなった。

 予定では3日後、島の北端に母艦からの迎えがやって来る。コンラッド大尉は戦場カメラマンとして同行していたメイソン・ウィーヴァー(ブリー・ラーソン)らをどうにか3日後までに北へと導こうとするが、部下の多くを殺されたパッカード大佐は、助かることよりも強い復讐心に駆られていた――



[感想]

 これまでにも幾度かリメイクされてきた『キングコング』だが、今回は“リメイク”とは少し性質が違うように思う。

 オリジナルのファンからも好評で迎えられたピーター・ジャクソン版『キングコング』がその代表だが、この作品のテーマには、人類の遭遇したことのない怪物に対する恐怖と同時に、その存在が内包する生態系が人間社会によって拒絶されていく悲劇までが盛り込まれていた。エンパイア・ステート・ビルによじ登るコングとそれを襲う人間、という有名なヴィジュアルが象徴する混乱と災厄、そして異物として排除されようとしている存在の醸しだす哀感が、全篇を通して描き出されている。

 後年のモンスターもの、ひいてはヒーローものにも受け継がれていくそうしたテーマを、本篇はある程度受け継ぎつつも、オリジナルにおいては導入である髑髏島での旅、そこで遭遇する危険や恐怖を基本とした冒険ものとしての側面を重視した作りになっている。

 コング初登場のくだりこそ凄まじい衝撃と恐怖に襲われるが、しかしそこからの展開はほぼ冒険映画、それも秘境探検ものの趣だ。日本人なら、“本当にヤバい川口浩探検隊”と説明すると伝わりやすいかも知れない。湖から現れる巨大な獣、竹やぶの中で罠を張る巨大蜘蛛、そして地中に潜む脅威など、次々に未知の生物と遭遇し、窮地に陥る。川口浩探検隊と違い、本篇は完全にフィクションだからこそ、犠牲者は出るし、その死にざまも壮絶に描かれる。ワクワクもするが、それ以上に終始極めてスリリングだ。

 秘境冒険ものの要素を強めたことで、ピーター・ジャクソン版などにあった文明批判的な要素は若干抑えられている。オリジナルを評価するひとには物足りなく映るかも知れないが、そのぶんエンタテインメント性は極めて高くなったのは確かだ。

 他方で、いわゆる社会批判ではなく、ストーリーを膨らませるためのドラマは怠りなく組み込まれている。プロローグとして描かれる、第二次世界大戦中のひと幕ももちろん劇中でエッセンスとしていい効果を上げているが、やはり特筆すべきは、サミュエル・L・ジャクソン演じるパッカード大佐の物語だろう。ベトナム戦争をどうにか生き抜き、あとは部下たちを家族へ返すだけ、という場面で遭遇した圧倒的な脅威によって、大勢の命を奪われる。復讐心に駆られたパッカード大佐は、コング打倒に執念を燃やす。冷静に島から脱出するべきだ、と考えるコンラッド大尉との対立が更なる危険をもたらし、終始緊迫した雰囲気を作りあげている。それでいて、息抜きのユーモアも随所に鏤められていて、描写としてはヘヴィだが観客に負担を与えすぎない。

 そして何より、コングと島に棲息する巨大生物たちとの格闘の迫力が素晴らしい。ほとんどが我々の知っている生物を巨大化させたようなものなので、動きが理解しやすい一方、それが山をも越えるサイズなので、映画的なインパクトが存分に味わえる。これを書き上げている現時点で劇場公開から2年経ってしまっているため可能性は乏しいが、もし大スクリーンで鑑賞出来る機会が得られるなら、是非とも足を運んでいただきたい。

 過激な表現を織り込みながらも、観る者の子供心、とりわけ男の子の心を強烈に刺激し最後まで熱狂させる、まさに血湧き肉躍る冒険映画の秀作である。



 ちなみに、物語はこれで終わりではない。エピローグにて示されている通り、本篇は別の作品と同じ世界に属しており、今後融合することが既に予告されている。どうやら邦題もほぼ確定しているらしい――『ゴジラキング・コング』と。

 かつて日本にていちど描かれた“夢の対決”が、現代ハリウッドの資本力と技術とでリメイクされるのだ。先行するハリウッド版『GODZILLA』の完成度に本篇のツボをわきまえた仕上がりを併せて考えると、否応なしに期待は膨らもうというものだ。

 あいだに待望のハリウッド版ゴジラ第2作を挟んで、公開が予定されているのは2020年。東京オリンピックと同じ年、というのもなかなか気が利いている。以前よりもハリウッドのサブカルチャーに対する理解が深まり、日本の作品に対して敬意を抱くスタッフが増えたいま、異なる文化で育った2大モンスターの対決をどのように紡ぎあげるのだろうか。



関連作品:

GODZILLA ゴジラ(2014)

キング・コング

クリムゾン・ピーク』/『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』/『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』/『トリプルX:再起動』/『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』/『トランスフォーマー/ロストエイジ』/『フライト・ゲーム』/『世界にひとつのプレイブック』/『スペシャルID 特殊身分』/『ベン・ハー(2016)

食人族』/『サンクタム』/『トロール・ハンター』/『パシフィック・リム』/『シン・ゴジラ