『怪談新耳袋Gメン冒険編 後編』

キネカ大森のロビーにて、観客の写真撮影のリクエストに応える出演者たち。

監督、脚本、撮影、編集&出演:佐藤周 / プロデューサー&出演:山口幸彦 / プロデューサー:丹羽多聞アンドリウ / ラインプロデューサー&出演:後藤剛 / 撮影&出演:今宮健太、佐々木勝己 / 編集協力&撮影:谷口恒平 / 音楽:スキャット後藤 / 主題歌:藤田恵名『境界線』 / 出演:田野辺尚人西村喜廣、風間優、はち(市松人形) / 制作プロダクション:シャイカー / 配給:ブラウニー

2018年日本作品 / 上映時間:約1時間40分

2018年8月25日日本公開 ※『第5回ホラー秘宝まつり』にて上映

公式サイト : http://horror-hiho.com/

キネカ大森にて初見(2018/09/01)



[粗筋]

 2018年5月20日のアタックは波乱含みで始まった。新たに正式メンバーとなった西村が欠席、田野辺尚人も約束の時間を勘違いして打ち合わせに出てしまい、参加不能になってしまった。その代わり、たまたま山口幸彦プロデューサーが一緒に飲んでいた友人・風間優が急遽、メンバーに加わることとなった。

 向かったのは都心から僅か2時間ながら、南国の雰囲気をたたえたY市。ここの海岸沿いには無数の心霊スポットが存在している。限られた時間、人数でアタックを行うために、Gメンが考案したのは、“心霊駅伝”であった。

 5つのスポットを選び、各所にGメンが待機。ヘッドマウントカメラをバトン代わりに受け取り、次のスポットに向かう。カメラを引き渡したあとは、それぞれの場所で異なるミッションに望み、心霊を挑発する、という趣向だ。

 今回、ふたり欠席し、ひとり欠員が出ているため、本来は撮影のみの参加予定だった佐々木勝己もアタックに加わる。潮騒ばかりの響く暗闇に、男たちが散らばっていった――



[感想]

 同時に制作されたので当然ではあるが、前編とのテイストの違いはない。

 この後編のポイントは、ふたつめのミッション以降に登場する“秘密兵器”だ。前編でも仄めかされているものだが、これはけっこう巧い仕掛けである。確かに、この“秘密兵器”の存在があるだけで、場に緊張感が生まれているし、実際に効果も上げている。

 ただ、“効果がある”と断言できるのは、オカルトの知識があるひとぐらいかも知れない。本篇の説明だと、怪奇映像ものぐらいしか追っていない層には少々伝わりにくいように思う――もっとも、監督やスタッフでさえもだいぶ長々と講釈を受けたうえで利用していたそうなので、それを映画の尺にうまく収まるかたちで説明するのは大変だったろうけれど。

 後編でも3箇所への突撃を試みているが、最初のミッションはいよいよ“殴り込み”の頃の雰囲気が色濃くなる。トラブルによって欠員が生じ、突貫工事的な撮影になったのも理由だろうが、ここは正直なところ怖さよりも笑いがつきまとう。だから観ていてやたら楽しいのだが、「あんたらいったい何やってんの?」感も強い。相変わらず、ある程度怪異を挑発する趣向、積極的に異変を記録しようという姿勢は窺えるのだが、もう一踏ん張り欲しかったところだ。

 そのぶん、“秘密兵器”が登場して以降のふたつのミッションは、改めて本来の目的に立ち戻った感がある。趣向は至ってシンプル、可能な限りカメラを設置し、誘発した現象を押さえるという手法だ。シンプルなので、ルールの説明に尺を割く必要はなく、スムーズにミッションに入っている。やり取りでしばしば笑いを誘うのも相変わらずだが、やはり現場の異様な雰囲気、演者たちが味わう恐怖は、ミッションが解り易いほど伝わりやすい。

 映像の収穫、という意味で観客を文句なくノックアウト出来る水準にはやはり今回も届いてはいないが、興味深い出来事を記録することには成功している。特に最後のアタック、廃墟となった山小屋のくだりは、現象自体はこのシリーズではよく記録出来る種類のものだが、抽出するリアクションが的確で、そこで何が起きていたのか観客側にも解り易く、恐らくシリーズ中もっとも出演者たちと恐怖を共有しやすい。映画館のように、他の観客がいるところで鑑賞していると、冷静になって彼らの動揺の滑稽さに笑ってしまうのだが、たぶん自宅などで、ひとりで観ているとき、このくだりがいちばん迫るような恐怖を感じるはずだ。怪奇現象を誘発させるべくGメンたちが試みていた“儀式”が、その性質上、映画のなかではかなり端折られていたが、ここがもっと多めに採り上げられていたら、より怖さは増したかも知れない。

 前編よりも更に旧シリーズへの回帰が窺え、笑いの要素も増えた印象だが、しかし監督らの編集技術の向上もあってか、語り口はより洗練され退屈するところがない。本来の目的からすれば依然として物足りないのも事実だが、新しいスタッフの参加で少し活気づいたうえ、今回改めて、「(女性以外なら)別に誰が入って来ても内容はそんなに変わりない」ということが証明されてしまったため、恐らく来年以降も定期的にリリースされるのは確定と見ていいだろう。そうすればいつか、悲願である“人の形をした幽霊を撮影する”ことも成し遂げてくれそうな気がする。

 そういうわけで、来年の『怪談新耳袋Gメン新たなる希望編(仮)』を、首を長くして待っていようと思う。



関連作品:

怪談新耳袋Gメン復活編』/『怪談新耳袋Gメン冒険編 前編

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