『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(字幕・3D・IMAX)』

TOHOシネマズ新宿、IMAXスクリーン前の通路に展示されたバットマンとスーパーマンの等身大フィギュア。

原題:“Batman v Superman : Dawn of Justice” / オリジナルキャラクター創造:ボブ・ケイン、ビル・フィンガー、ジェリー・サイジェル、ジョー・シュスター / 監督:ザック・スナイダー / 脚本:クリス・テリオ、デヴィッド・S・ゴイヤー / 製作:チャールズ・ルーヴェン、デボラ・スナイダー / 製作総指揮:ウェズリー・コーラー、デヴィッド・S・ゴイヤー、ジェフ・ジョンズ、ベンジャミン・メルニカー、クリストファー・ノーランエマ・トーマス、マイケル・E・ウスラン / 共同製作:カート・カネモト、ジム・ロウ、グレゴア・ウィルソン / 撮影監督:ラリー・フォン / プロダクション・デザイナー:パトリック・タトポロス / 編集:デヴィッド・ブレナー / 衣装:マイケル・ウィルキンソン / キャスティング:ジョー・エドナ・ボールディン、クリスティ・カールソン、ローラ・ケネディ / 音楽:ジャンキーXL、ハンス・ジマー / 出演:ベン・アフレックヘンリー・カヴィルエイミー・アダムスジェシー・アイゼンバーグダイアン・レインローレンス・フィッシュバーンジェレミー・アイアンズホリー・ハンターガル・ガドット、スコット・マクネイリー、カラン・マルヴェイ、TAO、ブランド・スピンク、マイケル・シャノン / アトラス・エンタテインメント/クルーエル・アンド・アンユージュアル製作 / 配給&映像ソフト発売:Warner Bros.

2016年アメリカ作品 / 上映時間:2時間32分 / 日本語字幕:アンゼたかし

2016年3月25日日本公開

2018年2月21日映像ソフト日本最新盤発売 [Blu-ray Discamazon|アルティメット・エディション ブルーレイセット:amazon|アルティメット・エディション 4K ULTRA HD&2D ブルーレイセット:amazon]

公式サイト : http://www.batmanvssuperman.jp/

TOHOシネマズ新宿にて初見(2016/3/25)



[粗筋]

 スーパーマン(ヘンリー・カヴィル)は果たして地球を救ったのか、それとも破滅をもたらしたのか?

 ゴッサムを拠点とする大企業ウェイン・カンパニーの経営者であるブルース・ウェイン(ベン・アフレック)の見解は、後者だ。漆黒のマスクとスーツに身を包み、夜を徘徊する悪漢どもに恐怖を植えつけてその脅威を排除するバットマンをもうひとつの顔に持つブルースは、スーパーマンとゾッド将軍(マイケル・シャノン)との戦いによって郷里であるゴッサムを廃墟に変えられ、スーパーマンもまた制圧すべき存在だ、と考えていた。

 一方、スーパーマンの世を忍ぶもうひとつの姿である新聞記者クラーク・ケントは、バットマンの戦い方に疑念を抱いていた。デイリー・プラネット編集長はクラークの提案する、バットマンの是非を問う記事の掲載に頷かないが、クラークの目には、バットマンの行為が余計な血を流させ、憎悪を蔓延させているように思えるのだ。

 そんななか、クラークの恋人であるロイス・レイン(エイミー・アダムス)がテロ組織の首謀者を取材しているとき、彼女の想定していなかったトラブルにより囚われの身となる事件が起きる。スーパーマンはすぐさま救出に赴いたが、このとき、テロ組織が潜む村の住人までもが殺害されたのだ。

 もちろん、スーパーマンはロイスを助けることしか念頭になく、組織そのものに対する襲撃はあずかり知らぬところだった。

 しかし、世間はそうは捉えなかった。先のゾッド将軍と繰り広げた死闘において、一つの都市を壊滅させたことについて、スーパーマンを批判する声が上がり続けている。そんな中で発生した“疑惑”に、政府は公聴会を実施することを決断した。

 宇宙から現れた光の戦士スーパーマンと、宵闇の中で恐怖を撒き散らす闇の騎士バットマン。果たして正義は、どちらにあるのだろうか……?



[感想]

 アメリカのコミック専門出版社マーヴェル・コミックが、傘下で発表されたヒーローを結集した『アベンジャーズ』映画化のために、各ヒーローの単独作品を同じ世界観で製作する、というスタイルは大成功を収め、『アベンジャーズ』を頂点とする“マーベル・シネマティック・ユニヴァース”作品群はいずれも公開されるたびに記録的なヒットを遂げるようになった。こうなってくると、マーヴェルに並ぶ大手コミック出版社であり、同様に傘下のヒーローを結集した『ジャスティス・リーグ』という作品が存在するDCコミックにも期待がかかるのも当然と言える。そういう状況で、続く『ジャスティス・リーグ』への布石として登場したのが本篇だった。

 ただ、実はDCコミックにとって、いちばんの足枷だったのは、“ダークナイト・トリロジー”とも呼ばれるクリストファー・ノーラン版のバットマンシリーズであったように思う。マーヴェル作品とは一線を画すダーティな雰囲気、第2作で登場したヒース・レジャー演じるジョーカーの圧倒的な存在感によって、これらだけで映画史に名を刻むレベルで完成されてしまった。作品としても収束してしまったため、他のシリーズの要素が割り込む余地がなくなってしまった。

 それ故、必然的に、と言うべきか、DC作品を統一した世界観のもとで映画を製作するために、1から再開せざるを得なかった。取り急ぎ、第1作として『マン・オブ・スティール』を発表し、継続的に新作がリリースされているバットマンを、ふたたび再起動させる格好で合流させ、ヒーローたちを合流させる足掛かりにした、といったところだろう。

 そうした足枷がかかり、かつハードルの高い状況にあって、本篇はかなり果敢な作りをしている。なにせ、ヒーローの行動の影響で発生した被害は糾弾されるべきなのか、というヘヴィな題材を選択し、そのうえでヒーロー同士の対立を描いているのだ。シリーズ2作目としてはヘヴィであり、扱いは決して容易ではない。

 極めて意欲的な挑戦だが、しかし決着点は、恐らく誰をも満足させるものではないだろう。ある事実をきっかけにヒーロー同士のわだかまりが解け、別の脅威に向けて共闘する、という流れになるのだが、そのきっかけはあまりに感情が先行していて、恐らく観客の多くは咄嗟に承服しにくい。彼らの心に生じた葛藤を考えれば決して不自然ではない展開なのだが、映画という形では充分に表現し切れていない。ここでヒーロー同士に生じた共感がベースになっているため、もうひとつの主題についての決着もボンヤリとした印象を残すのだ。

 本篇のもうひとつ残念に思える点は、タイトルロールであるふたりよりも、あるキャラクターの方が印象が強烈になってしまった点だ。ヒーローふたりの対決であると同時に、これから続く“DCエクステンデッド・ユニヴァース”への布石となる作品であるため、少なくともひとりは明確な活躍を描きたかった、というのも理解できるし、事実、ここで存在感を発揮したことがのちの成功にも繋がっているのだが、本篇単体で眺めた場合、歪さを生んでいることは否めない。

 欠点をあげつらっていったが、しかし個人的には本篇の印象は悪くない。結果的に歪にはなっているが、目指すところがそもそも厳しく、手段も限られていたことを思えば、充分に健闘している。

 あくまで中身は人間にしか過ぎないバットマンと、文字通りの“超人”であるスーパーマンのどちらが強いか、など単純に考えれば明白なのだが、それを紙一重の戦いにしていくまでのプロセスもうまく組み立てられている。ヒーローであっても存在する弱点をどのように攻めるか、という点を、順を追って着実に描いており、クライマックスである対決までしっかりと観る側の気分を高めている。

300<スリー・ハンドレッド>』や『ウォッチメン』、先行する『マン・オブ・スティール』などと比較すると少々統一感は落ちるが、アクション映画らしいリアリティのなかにザック・スナイダー監督流のヴィジュアル・センスを馴染ませており、監督の個性が成熟に向かっていることも窺わせる。ザック・スナイダーという監督を意識的に追い続けているひとなら、制約も多いなかで辿り着いた本篇の仕上がりは、満足するところまではいかなくとも納得は出来るのではなかろうか。

 本篇発表の時点で2度目の合流を果たしている『アベンジャーズ』への対抗心もあるだろうことは想像に難くなく、順調に進めば幾度かヒーローたちの結集するエピソードが制作させることが予想される。その号砲を鳴らす作品としては、充分及第していると思う――高すぎる期待には応えきれなかったまでも。



関連作品:

マン・オブ・スティール

バットマン・ビギンズ』/『ダークナイト』/『ダークナイト ライジング』/『スーパーマン・リターンズ

ドーン・オブ・ザ・デッド』/『300<スリー・ハンドレッド>』/『ウォッチメン』/『ガフールの伝説』/『エンジェル ウォーズ

デアデビル』/『ゴーン・ガール』/『インモータルズ-神々の戦い-』/『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』/『アメリカン・ハッスル』/『グランド・イリュージョン』/『ジャンパー』/『シグナル』/『マージン・コール』/『ムーンライト・マイル』/『シュガー・ラッシュ:オンライン』/『ブラック・シー』/『ポリス・ストーリー/REBORN』/『ウルヴァリン:SAMURAI』/『ロシアン・ルーレット

アベンジャーズ』/『エイリアンVS.プレデター』/『貞子vs伽椰子