『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(字幕・3D・IMAX)』

TOHOシネマズ新宿、入口のエスカレーター手前に掲示されたポスター。 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

原題:“Avengers : Age of Ultron” / 原作:スタン・リー&ジャック・カービィ / 監督&脚本:ジョス・ウェドン / 製作:ケヴィン・ファイギ / 製作総指揮:ルイス・デスポジート、アラン・ファイン、ヴィクトリア・アロンソ、ジェレミー・レイチャム、パトリシア・ウィッチャー、ジョン・ファヴロー、スタン・リー / 共同製作:ミッチ・ベル / 撮影監督:ベン・デイヴィス / プロダクション・デザイナー:チャールズ・ウッド / 編集:ジェフリー・フォード、リサ・ラセック / 衣装:アレクサンドラ・バーン / 視覚効果&アニメーション:インダストリアル・ライト&マジック / 視覚効果監修:クリストファー・タウンゼント / ヴィジュアル開発主任:ライアン・メイナーディング / ヴィジュアル開発共同主任:チャーリー・ウェン / キャスティング:サラ・ハリー・フィン、レグ・ポースコートエドガートン / 音楽:ブライアン・タイラーダニー・エルフマン / 音楽監修:デイヴ・ジョーダン / 出演:ロバート・ダウニー・Jr.、クリス・ヘムズワースマーク・ラファロクリス・エヴァンススカーレット・ヨハンソンジェレミー・レナードン・チードルアーロン・テイラー=ジョンソンエリザベス・オルセンポール・ベタニーコビー・スマルダーズアンソニー・マッキーヘイリー・アトウェルイドリス・エルバ、リンダ・カーデリーニ、ステラン・スカルスガルドジェームズ・スペイダーサミュエル・L・ジャクソン / マーヴェル・スタジオ製作 / 配給&映像ソフト発売元:Walt Disney Japan

2015年アメリカ作品 / 上映時間:2時間21分 / 日本語字幕:林完治

2015年7月4日日本公開

2018年9月5日映像ソフト日本最新盤発売 [MovieNEXamazon|4K ULTRA HD + Blu-rayamazon]

公式サイト : http://marvel-japan.jp/avengers/

TOHOシネマズ新宿にて初見(2015/7/04)



[粗筋]

 最強のヒーローたちが組んだ“アベンジャーズ”は、アスガルドの神ソー(クリス・ヘムズワース)の弟ロキ(トム・ヒドルストン)が使っていた杖を取り戻すべく、東欧の国ソコヴィアにある秘密結社ヒドラの拠点に突入した。凶暴化したハルク(マーク・ラファロ)の制御、という課題はあったが、“ブラック・ウィドウ”ことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)の説得が効果を上げ、どうにか任務を果たす。

 杖はソーによってアスガルドへ戻される予定だが、“アイアンマン”ことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)は彼が帰還するまでのあいだを利用し、杖に仕込まれた“マインド・ストーン”の構造を研究することにした。自身が設計した“ジャーヴィス”(ポール・ベタニー)を遥かに上回る学習能力を有したシステムを石の中に発見したスタークは、これをかねてから抱いていた“ウルトロン”構想に利用することを考える。

 スタークはあの事件以来、ふたたび宇宙から大規模の軍勢が襲来する事態を恐れていた。ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が率いていたS.H.I.E.L.D.は内部崩壊を来し、ヒーローたちもこの頭数で世界のすべてを守れるわけではない。新たな犠牲を出さないためには、人工知能により統制されたアイアン・レギオンの軍勢が有効だと考えていたのだ。ハルクの平時の顔である学者ブルース・バナーに協力を求め、スタークは秘密裡にマインド・ストーンの研究を進める。

 事件はスタークの関知しない間に起こっていた。夜、ジャーヴィスの解析の傍ら、急速に自我を確立していった“ウルトロン”は、自らに与えられた“地球を救う”という使命について、ひとつの結論を導き出す。その結論に賛同しないジャーヴィスを、“ウルトロン”は容赦なく破壊した。

 そのころ、アベンジャーズたちは杖奪還の祝宴を終え、くつろいでいた。そこへ、自ら構築した仮のボディで姿を得た“ウルトロン”が現れる。“彼”は、地球に害を為しているのは、超越的な力を備えた集団であるアベンジャーズそのものだ、と糾弾する。生命の進歩を阻害するのはアベンジャーズたちであり、ひいてはそのヒーローたちによって守られる人類そのものだ、と結論づけた。そして、自らの統率するアイアン・レギオンで、アベンジャーズたちを襲う。

 キャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャース(クリス・エヴァンス)やソーの活躍でどうにかすべてのレギオンを破壊したが、“ウルトロン”の意識はネットワークを介して逃亡してしまった。

 ソコヴィアにあったヒドラの拠点に逃れた“ウルトロン”は、自らの“使命”遂行のために策動する。一方、アベンジャーズは、秘密裡に“ウルトロン”を開発していたスタークやバナーと他の面々とのあいだに、溝が生じていた――



[感想]

 コミックでは昔から繰り返し結成されていた、マーヴェル所属のヒーローたちの共演、映画版では2度目の実現である。

 ただ、前作に至るまでは緩やかなリンク程度だったものが、前作から本篇に至るまでの過程においては常時密接であったために、ちょっと事情が異なってきた。

 まず、本篇に至るまでのシリーズ作品で伏線を張ったり、そこで語られる出来事がこの『アベンジャーズ』に繋がるようになってきた。壮大なサーガを形成する、という意図のもとでは正しいが、しかしそのぶん、確実に敷居は高くなる。

 マーヴェルは脚本設計においてはかなり細かな配慮を施しているようで、初見でも本筋を理解するのに差し障りはないが、しかしそれにしても少々ハードルが高くなっていることは否めない。たとえば最初のミッションで彼らが奪還しようとしているロキの杖にしても、『マイティ・ソー』で背景は描かれているし、暴走するハルクを何故ナターシャが制御出来るのか、という点も、疑問を抱いてしまうとなかなか乗りにくい。厄介なのは、過去のエピソードにおいて、事情が既に語られている設定がある一方で、語られていないことも多い点だ。文脈から読み解くように仕掛けられた細工である場合もあれば、(既にかなりあとの作品まで観ているから言い切れるが)後々になって説明される部分もある。だから、過去作を観ていることも重要だが、そうした深読みがある程度出来るくらいフィクションに接し慣れているか、このシリーズへの愛着がないと厳しい作りと言えるかも知れない。

 だが、そうしたハードルを越えることが出来るなら、本篇は極めて厚みのある作品として楽しめるはずだ。

人工知能の叛乱”と、題材を大まかに括ってしまえば、SF映画ではもはや手垢のついた題材に過ぎないが、その処理の仕方はこのシリーズならではの工夫がある。もともと、それぞれに大きく異なる出自を持つヒーローたちは個性も我も強く、話としてもまとめるのが難しいが、それ故の対立を人工知能“ウルトロン”を巡る理解や反応から露わにしていく。

 また同時にこの“ウルトロン”という大きな災厄は、ヒーローにとっての敵がしばしばヒーロー自身であることも仄めかしているように読み取れる。この人工知能が人類に牙を剥く理由は『ターミネーター』などと同じだが、その誕生のプロセス、実際にヒーローたちが戦う相手やその武器は、ほぼアイアンマンを踏襲している、と言っていい。作を追うごとにその性能を向上させ、予備どころかダミーまで登場していたアイアンマン・スーツが、“ウルトロン”という頭脳を得ることで敵に回る。製造過程をオートメーション化していたが故に、トニー・スタークの思惑を超えて増殖していく、というのも、彼が“世界を守る”という使命に邁進したが故に生まれた悪夢と言える。“ウルトロン”によって起きた事件とその顛末は、アベンジャーズたちのみならず、観る側に対しても大きな問いかけとして胸に残るはずだ。

 随所で発生するヒーロー同士の対立など、プロセスにも見応えのある場面が幾つも配されているが、やはり出色はクライマックスの出来事だろう――公開前でも予告篇にて垣間見せていたので触れても差し支えないような気もするが、念のために詳述は控えたい。ある映画にインスパイアされた、というそのシチュエーションと、あまりにも危険なタイムリミットを区切られての死闘は前作以上にスリリングで、かつ胸を震わせる熱い展開が幾つも仕込まれている。これまでに単独作品で活躍してきたヒーローが結集するに相応しい派手さと迫力、感激が存分に味わえるクライマックスだ。

 シリーズの次の段階に向けて、禍根とも思える伏線を残しての締め括りには幾ばくかの不穏さも漂うが、エピローグを締めくくるひと幕には異なる期待を煽る一面もある。

 壮大なプロジェクトが新たな段階に踏み込んだことを示しつつも、きちんとカタルシスを演出した、“マーヴェル・シネマティック・ユニヴァース”の築いた資産の豊かさを窺わせる作品である。



 なお、これを書いている時点で、“マーヴェル・シネマティック・ユニヴァース”は22作、『アベンジャーズ』シリーズも4作目を数え、実質的な大団円を迎えている――いちおう、これから公開される『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が本当の一区切りになる、と言われているが、『アイアンマン』から始まった大きな物語はとりあえず完結した、という段階にある。

 その段階で本篇を見返すと、今後のシリーズに向けての布石を多数ちりばめていたことがよく解る。これからきちんと追う、というひとのために詳述はしないが、細かな会話、些細なやり取りが、続くエピソードの伏線となり、或いは反復され、ドラマとしての興趣を膨らませている。

 上でも記したとおり、作を追うごとに単独では理解しづらくなり、途中から入るにはハードルが高くなっていくきらいはある。だが、第4作『アベンジャーズ/エンドゲーム』まで観た者として、それだけの価値はある、と断言しておきたい。

 順番に鑑賞するつもりのかたにとって、まだまだ先は長いが、根気強く、しかし丁寧に鑑賞していただきたい。きっと最後には報いてくれる。



関連作品:

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キャビン』/『ジャスティス・リーグ

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