消えた彼を捕まえに。

 情報をキャッチした時点で、きょう観に行く作品は決めていた。フリーパスがあるので、それを有効活用する――つもりだったんですが、直前に調べてみたら、特別価格のためフリーパスや各種割引は適用されないらしい。当初は朝のうちにいちどチケットを確保しに行って、夕方から観るつもりでしたが、朝いちど立ち寄るのはやめて、ネットで購入してしまいました。手間がひとつ省けたのは助かったけど、そもそもちと高い……。

 時間もたっぷりあったので、散歩がてら徒歩にて出かけたTOHOシネマズ上野にて鑑賞したのは、デビューライブから尾崎豊を撮影してきた佐藤輝監督が、400時間に及ぶ大量の素材をもとにその実像に迫ろうとした尾崎豊を探して』(東京テアトル×ライブ・ビューイング・ジャパン配給)

 宣伝の印象からドキュメンタリーとばかり思ってたんですが、そのつもりで観ると確実に戸惑います。序盤から妙なイメージ映像が入ったり、やっとライブ映像が始まったと思ったら急に尾崎自身のカメラ目線によるモノローグが挟まったりする。そのなかに特別な情報はほとんど含まれず、ドキュメンタリーとしての見応えはないに等しい。

 これはデビューライブから撮影を続けてきた監督が、自身のアーカイヴのなかから尾崎豊という人物の実像を探し出そうとした試み、と捉えるべきらしい。歌詞に見える反骨精神、ライブにおける取り憑かれたかのような熱唱ぶり、その合間に挿入される、尾崎自身が己の実像を見つけあぐねているようなモノローグに、楽屋での姿に垣間見える礼儀正しさや純真さ、同時に他者を拒絶するような険しい表情。音楽自体やライブ映像などでは窺えない尾崎豊の本質が、確かに少し垣間見えるような作品。とはいえ、彼の音楽や演奏それ自体を楽しみたい、とかその生涯を様々な情報から読み解きたい、と思ったひとの希望には応えてくれません。そういう意味で、優しい映画ではないし、あんまし迂闊にお薦めも出来ない。こう好意的に捉えたところで、細かな文句があるのも事実なので。

 ちなみにこの映画、鑑賞料金も高いのですが、パンフレットも高い。ぱらぱらと眺めたところ、監督やプロデューサーのロングインタビューに加え、初期の雑誌記事やすべてのライブ情報を網羅したバイオグラフィーも収録していて、資料として使えそうなので、私は悩んだ挙句に購入しましたが……ちょっと価格設定が高すぎてあまり印象はよくない。半券1枚につき1会計しか出来ない代わり、1会計ごとに特典として、シングル『卒業』のジャケット写真で尾崎が手にしている石のレプリカが貰えますが……いったいどのグッズにそこまで厳しい制限が必要だ、と考えたのだろう。それこそ大人の商売っぽくて、やっぱり印象はよくない。

 鑑賞後は上野界隈をうろついて軽くお買い物。若干手間取ってしまったので、帰りは電車を使いました。