すべてが伏線だった。

 当人は「この番組で?!」と叫んでいたが、一昨晩の『全力!脱力タイムズ』を観ていた私は、むしろこれほどまでに見事な舞台はない、と感じていた。

 この番組は私も母も大好きで、毎週楽しみにしている。ゲストとして招かれるお笑い芸人に、主に番宣を仕組まれた俳優のゲストとお馴染みのコメンテーターたち、ひいては番組スタッフがほぼ一丸となって何らかの罠をしかけるその様を、私は個人的に“芸人の千本ノック”と呼んでいた。芸人の個性と力量とが露わになる、視聴者にとっては楽しい、芸人にとっては怖い作りでもある。

 だがそれゆえに、どんな仕掛けもアリ、という次元にまで到達していた。事実、昨晩の芸人枠で出演したアンタッチャブル柴田英嗣もこれまで何度もゲスト出演し、たびたび過去の失態、そして長年、相方との共演がないことをイジられていた。

 もうひとつ大事な要素として、MCがくりぃむしちゅー有田哲平である、という点がある。最近はともかく、くりぃむが活動の幅を広げていった時期、有田がいちばん可愛がり、頻繁に名前を挙げていたのがアンタッチャブル山崎弘也だった。最近の仲までは知らないが、いまも山崎を動かしうる立場である、と見ることはできる。そして、それを番組内の仕掛けとして、笑いとして演出する手腕もある。

 番組が始まったのは2015年。伏線、と見るにはあまりにも迂遠すぎるけれど、世論のお膳立てが整うのを待っていた――というのはさすがにうがち過ぎだろう。しかし、いざ実現してみれば、これほど相応しい場もなかったのだ。

 柴田がどんな問題を起こしたのか、業界と接点のない私には窺い知ることは出来ない。けれど、番組のネタとして公の場に引っ張り出されたことで、世間のハードルはぐっと低くなったはずだ。きっと今後は少しずつ、アンタッチャブルのふたりとしての露出が増えていく――と信じたい。まずは、毎度のごとく年末年始、いくつも放送されるネタ番組での登場を期待したい。いちばん可能性があるのは、CX系で元旦に放送される『爆笑ヒットパレード』あたりでは、と睨んでるんですけど、どうだろう。