仇討ち沙汰も金次第。

 急激に冷え込み、更に小雨がちらほらと降るなか、自転車を漕いでTOHOシネマズ上野へ――徒歩か電車にしようか、とも思ったんですが、雨量と距離のバランスを考えると、ずぶ濡れになることはなさそうだったので、強行突破しました。

 本日鑑賞したのは、山本博文『「忠臣蔵」の決算書』をベースに、予算の面から赤穂浪士の討ち入りを再解釈、コメディタッチで描き出した中村義洋監督作品決算! 忠臣蔵』(松竹配給)

 原作を予習して、こりゃ面白くなりそうだ、と思ったんですが、やっぱり面白かった。資金繰り、という側面から捉えることで、シリアスな仇討ちが見事なほどコメディに反転している。資料をもとに、より史実に忠実な描写を追加で織り込む一方、矢頭長助という実在した勘定方の人物を内蔵助の幼馴染みにし、ズケズケとものを言える立場に脚色することで、“番方”と“役方”の対立として討ち入りまでのドラマをうまく構成している。中間管理職の悩みを色濃く窺わせる内蔵助に、江戸でスター扱いされたり見下されたり忙しい堀部安兵衛、といった具合に従来と異なる顔を見せるお馴染みの面々もいれば、これまでスポットを浴びてこなかった人物を採り上げることにも成功してます。そして間違いなく類を見ないこのクライマックス。随所で時代劇の文法をあえて無視した演出も多用していて、忠臣蔵が好きでも、馴染みがなくても楽しめる作品になってると思います。

 前日、フジテレビ系列の番組『新説!所JAPAN』という番組で、これまでテレビで紹介されなかった文献に基づく吉良邸討ち入りの本当の目的、というのを紹介していて、「あした『決算! 忠臣蔵』観に行くんだけど、解釈がズレてたらどうしよう」などと思いつつ鑑賞したのですが……問題ありませんでした。そもそも描く上での狙いが違ってましたしね。