松江怪喜宴6、松江怪談談義7 at 松江歴史館。

 本日よりいよいよ、島根旅行の本題である松江怪喜宴6が始まります。まずは松江歴史館にて催される、小泉家四代目・小泉凡氏と怪異蒐集家・木原浩勝氏の公開対談、松江怪談談義から。

 ……とはいえイベントは19時30分開演なので、時間はたっぷりある。午前中に、どーしても外せない用足しを済ませると、一昨年からお気に入りで松江に来るたび訪れている中国山地蕎麦工房ふなつというお店で昼食を摂り、松江城近くにある松江名産センターと島根県物産観光館に立ち寄り、まずはお土産を購入、まとめて発送してもらいました。このタイミングでないといつ買えるか解らないから……とはいえ、私より2日も早く帰るのね、お土産は。

 だいぶゆっくりと吟味して買い物しましたが、それでも時間はたっぷり余っている。そこでまずは、今夜の会場である松江歴史館を訪れ、更に近接するホーランエンヤ伝承館を観覧。歴史館のほうは既にいちどじっくりと眺めているのですが、実はホーランエンヤ伝承館は今回が初めて。なにせ、わりとギリギリで見て回ることが多く、きっかけがなかったのです。正直、展示物は少ないんですが、かつては12年にいちど、今年からは旧に復して10年に1度だけ催される祭の詳細がしっかり解ります……生で観てみたいけど、それこそ10年後なのよ。

 そしてまだ時間が余っていたので、思い切って松江城にも行ってきました。こちらは初めて松江旅行をした年に訪れて以来でしょうか……まだ復調しているとは言えない足腰、しかも基本はホテルで借りた自転車を使っていたとはいえ、店内や施設内は当然歩いてますし、天守閣に辿り着くまでにもまあまあの距離がある。登りやすいとはとても言えない松江城の階段をクリアして天守に着くだけでもまあまあの達成感がありました。

 ひととおり周囲を眺めると、ようやくいい頃合いになったので、イベント前に夕食を摂るべく近くのお店へ。こちらも3度目の訪問となる麪屋ひばりです。こちらについては、せっかくramenの項を設けたので、分けて触れます。



 で、いよいよ本題、松江怪談談義7です。今年のテーマは“アメリカの怪談”。

 いわゆる“ゴースト”という表現があったり、交霊術と呼ばれるものが浸透していたり、とそれなりに馴染んでいるようには見えますが、その実、キリスト教は本来、ゴーストの存在を認めていない。ここ数年、何度も北米に招かれ講演を行っている木原氏の体感では、ゴーストという言い方は許容しないまでも、“説明のつかない現象”、死者が別のかたちとなって何かを伝えている、というような出来事は信じている。

 事実、ちょうど150年前に渡米したラフカディオ・ハーンは、念願叶って勤めた新聞社で、どう聞いても怪談としかいいようのないエピソードを記事にしていたそうです。凡氏が語るそのあらましは、確かに怪談そのものでした。

 しかし今年の怪談談義、木原氏もそうだったようですが、いちばん興奮したのは、小泉八雲が著した『怪談』の生原稿が、ニューヨークの私設図書館で発見された、という話。いったい誰がそうしたのか、書籍になる手前、推敲の跡も生々しい原稿をきちんと製本して保管しており、それが流れ流れて図書館に辿り着いていたのだとか。そのなかにはもちろん代表作『耳なし芳一の話』も含まれているのですが、実は初稿には“耳切り芳一”と記されているのです。更に辿ると、八雲自身も典拠として用いていた文献には“耳切れ”とあったりもするそうですが、そうした変遷が記録として残っていることが貴重。八雲自身は自筆原稿そのものに執着はなく、妻のセツが裏を家計簿に使おうとしたのも止めたそうですから、ますます貴重……って、家計簿にするのは、そういうひとなら余計に止めるよね。残っちゃう可能性が出てくるし。

 休憩を挟んでの後半は、結果的にそうなった、という感じでしたが、さながら木原氏のターンでした。今年は『魔女の宅急便』公開から30年ということもあり、あまり世間に出ていない事実に言及しながら、魔女や妖精という概念の持つ意味合いについて熱く語っていました――途中、凡氏によるエレクトーンの演奏がバックに入ってきたのにたまげましたけど。そんな特技があったんですか。

 ご本人曰く、いつも以上にアカデミックな話題が多かった今年ですが、十二分に面白かった。そうは言いながらも、ある意味であまり知られていない小泉八雲小泉八雲になる以前に語った怪談も聞かせていただいたので、題名にも偽りなし。



 イベント終了後、物販にて、今年発売されたばかりの最新訳書『日本の怪談II』を購入、凡氏にサインをいただいて離脱。暗い道を、お堀に落ちるのを警戒しつつ自転車を漕いでホテルに戻りました。

 もともとそのつもりではありましたが、仮眠を挟まずにウロウロしていたので、とーぜんいま大変に眠いです。いつも金曜日の夜はバナナマンのラジオを聴いてから寝るんですが、そこまで保つ自信はありません……。



 なおこの項、自宅に戻ったあとで写真を足す予定です。