ちょっとだけスッとした。

 雨上がり決死隊宮迫博之をはじめとする吉本芸人のいわゆる“闇営業”騒動について、私はかなり序盤から、会社の対応に疑問を抱いていたのです。

 闇営業、という部分が取り沙汰されているが、それはあくまで事務所との関係性のなかで、場合によっては背信行為となるものの、そもそも第三者が追求すべき点ではない。だいいち、昔から公の場で多くの芸人が大っぴらに“闇営業”という表現を持ち出すことを認めていたのに、どうして急にそこが問題視されなければいけないのか。

 その点を省けば、問題となるのは反社会勢力との取引、という部分ですが、果たして取引相手の素性を完全に精査した上でやり取りすることは可能なのか、相手が犯罪に関わっていたことを知らずに仕事を引き受けてしまったというだけで、罪に問われていいのか。もしその理屈が成り立つなら、犯罪組織と知らないままわずかでも取引のあった企業はすべて有罪となるのですが、本当にそんな大雑把な倫理観で断罪していいの?

 そういう認識だったため、一連の問題について、もし彼らが謝罪する必要があるとすれば、当初の発表で“金銭のやり取りがなかった”と偽って保身を図ってしまったことぐらいだ、というのが私の見解でした。その点さえ払拭してしまえば、長期間の謹慎など必要ない、と思ってましたし、世論がどれほど厳しく作用したとしても年内には復帰出来るのでは、と考えていた。だから、いつまでも会見に踏み出さないことに苛立っていた。

 木曜日、あの事件によってだいぶ気分が鬱ぎ、翌日に『天気の子』で少しだけ解消した、と思ったら、用事の合間に覗いたネットで宮迫を契約解除、という報に接し、ふたたび鬱いでしまった。会見すらしないままの契約解除、実質的な引退、という事態も想像しないではなかったのですが、シミュレーションのなかでは最悪のパターンと言っていい。

 すぐにレギュラー番組の幾つかが降板を発表、私が毎回観ていた『アメトーーク!』や『何だコレ!?ミステリー』は未だ判断を保留しているものの急速に雲行きが怪しくなるなか、きのう、宮迫とロンドンブーツ1号2号田村亮吉本興業を通さずに会見を開いた。

 改めて吉本の対応に呆れ果て、その晩、テレビでビートたけしのコメントを聞いて、ようやくスッとしました。

 私の“お笑い芸人”というものへの認識はほとんどたけしの言っていたものと違わない。芸人に無茶を求めるなら、それを管理する会社側が適切に社会と順応させる努力をしなければいけない。それが“マネージメント”というものでしょう。もしコンプライアンスを重視する、というなら、契約書を用意しない、という時代に逆行する現状を見直すべきだし、反社会勢力との接触を回避させたいなら闇営業は抑制しなければいけないし、そのためには闇営業という行為に走らせる一因でもある芸人達に対する見返りの乏しさを改善しなければいけない。

 にも拘らず、会社としての公式な会見を用意しないばかりか、今後も契約書は作らない、と臆面もなく言ってのける吉本興業の上層部は、はっきり言って時代錯誤としか思えなかった。昨日の会見における宮迫・田村亮の証言が事実だとすれば、むしろ吉本興業の対応そのものが反社会的、と断じていい。

 実のところ私が「吉本興業って異常じゃないか」と思い始めたのは、インパルス堤下敦の不祥事のときです。睡眠薬を必要としている状態だからこそ自らの運転で問題を起こしたというのに、復帰後の堤下にそのまま運転を許し、事故を起こさせている。もちろんあの状況で事故を起こした堤下の迂闊さも責められるべきですが、一時的にでも謹慎させ反省を促したのなら、復帰にあたって移動手段の便宜を図ることもしない吉本興業の対処がどうしても引っかかった。ふたたび謹慎にすることで多くの取引先に迷惑をかける、という事実を思えば企業としての危機管理意識が乏しすぎる。ふたたび問題を起こさせないのが“マネジメント”なのに、こういう扱いで芸人から金を毟ってるなんて、さすがに怠慢すぎやしないか。

 ここまでの流れが厳しすぎたことと、結果として迷惑を及ぼした範囲が広がってしまったがゆえに、宮迫・田村亮や現在謹慎中のよしもと芸人たちがすぐにテレビに復帰するのは難しいかも知れません。ただ、ふたりの覚悟の会見のお陰で、ダウンタウン松本人志陣内智則など吉本で現在も活動する芸人達が上層部のリアクションを求めた。すぐに復帰は叶わなくとも、きちんと説明責任を果たした宮迫や田村亮がまた芸人として活動を再開できる望みが出てきた。

 ここまで書いといて何ですが、ぶっちゃけ私は宮迫さんのファンでも亮さんのファンというわけでもない。ただ、彼らの作る番組の幾つかが好きで観ていましたし、今後もそれを気軽に愉しみたいだけなのです。もしかしたらその日がいずれ戻ってくるかも知れない、と思わせてくれた彼らの会見と、芸人達の反応が、今週後半、ずっと沈みっぱなしだった私の気分をちょっとだけ晴らしてくれた。この点については、私は心から宮迫さんと亮さんに感謝したいし、応援したい。



 ……あとは、多くのお笑い芸人を擁し、世間に“笑い”という清涼剤を提供するはずの企業が、これ以上の醜態を晒さないことを祈るばかりです。はっきり言って現段階では、私には上層部の人たちこそ反社会勢力に見えてます。



 と、ここまでを昨日深夜のうちに書き上げて、午前中にはアップするつもりでしたが、ダウンタウン松本人志が語るところを確認したくなって『ワイドナショー』を見てしまい、それから投票に出かけたので、仮眠を挟んでこんな時間になってしまいました。

 松本の話でまた少し背景が見えてきた一方で、やっぱり次の展開は、明日開催されるらしい社長自身の記者会見になるようです。宮迫・亮の発言を否定して全面対立、という可能性もあり得るのですが、松本が生放送で指摘していたように、宮迫・亮の会見で疑う余地のない部分だけ切り取っても吉本の対応は前時代的です。列席する記者にはちゃんとその辺を切りこんでいただきたい。

 千原ジュニアがネット番組で語っていたようですが、最終的には宮迫・亮の会見そのものが笑いになってくれるのがいちばんいいのです。吉本の社長には今度こそ出方を誤らないことを祈ります。大晦日のガキ使でネタにして、来年に持ち越さず済ませてくれるのが最善かなー。