『寄生獣 完結編』

ユナイテッド・シネマ豊洲、スクリーン1入口に掲示されたポスター。

原作:岩明均(講談社・刊) / 監督&VFX:山崎貴 / 脚本:古沢良太山崎貴 / 製作:市川南、中山良夫 / 撮影:阿藤正一 / 照明:高倉進 / 美術:村田裕至、佐久嶋依里 / キャラクターヴィジュアル・ディレクター:柘植伊佐夫 / 編集:穗垣順之助 / VFXディレクター:渋谷紀世子 / キャスティング:緒方慶子 / 音楽:佐藤直紀 / 主題歌:BUMP OF CHICKEN『コロニー』(TOY'S FACTORY) / 出演:染谷将太深津絵里橋本愛新井浩文ピエール瀧山中崇、飯田基祐、関めぐみ余貴美子東出昌大池内万作佐伯新春木みさよ、オクイシュージ、山谷花純大森南朋豊原功補北村一輝國村隼浅野忠信 / 声の出演:阿部サダヲ / 配給&映像ソフト発売元:東宝

2015年日本作品 / 上映時間:1時間58分 / PG12

2015年4月25日日本公開

2015年12月4日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video通常盤:amazon|DVD Video豪華版:amazonBlu-ray Disc通常盤:amazonBlu-ray Disc豪華版:amazon]

公式サイト : http://kiseiju.com/ ※閉鎖済

ユナイテッド・シネマ豊洲にて初見(2015/7/3)



[粗筋]

 寄生生物“ミギー”との融合が進み、人間離れした身体能力を身に付けた泉新一(染谷将太)は、復讐心の赴くまま、寄生生物を発見するたびに殺害するハンターとなった。新たな市長に就任した広川剛志(北村一輝)を主導者とする寄生生物のネットワークのあいだから新一を始末するべきだ、という声が上がり始めたが、依然として彼らに利用価値を認める田宮良子(深津絵里)は未だ反対を続けていた。

 良子は新一を監視するため、倉森(大森南朋)というフリーの記者を誘惑し、追跡させていた。この話を世間に公表するべきだ、と訴える倉森を制して調査を続けさせていたが、やがて新一は倉森の存在に勘づいた。倉森と接触した新一は、田宮良子が寄生生物であることを教え、これ以上関わり合いにならないよう諭す。

 だが、このことが却って倉森を焚きつけた。自分が利用されている、と知った倉森は、黒幕である広川からも情報を得るべく取材を装って接触、詳細な事実をマスコミに売りつけて大金を手にしようと目論む。しかし、倉森の意図をすぐに察した広川は、すぐさま広川の家に刺客を送りこんだ。

 そのとき、倉森は買い出しのために家を空けていた。代わりに、PCに蓄えていた情報と、唯一の家族である娘を奪われてしまう。

 同じ頃、寄生生物の脅威を既に把握していた警察組織内では、SATが主導し、殲滅作戦を立案していた。倉森家の襲撃がきっかけとなり、SATは市役所に踏み込んだ。スキャナーを用いてひとりひとり寄生生物を炙り出していく。

 唯一の家族を殺された倉森もまた、警察の監視を逃れ、行動に出ていた。良子が寄生した身体で産み落とした赤ん坊を攫い、彼女を動物園へと誘き出したのである――



[感想]

 劇場公開の際、1作目から半年ほどの間が空いたが、内容的にはほぼ地続きとなっている。冒頭10分程度を費やして粗筋に触れてはいるが、やはりしっかりと理解するには、続けて鑑賞するか、1作目を復習してからのほうがいいだろう。

 前作については、検索の持つSFホラーとしての魅力を十分に活かしきれない、優等生的な仕上がりを否定材料として挙げたが、完結編もその点では変わりない。ただ、第1作でひととおりの設定、世界観を示しているぶん、ドラマに割く尺もクライマックスを膨らませる余裕もあったぶん、エンタテインメントとしての厚みは増している。主人公・新一が自発的に動く場面は減ったが、そのぶん、前作で提示された“ネットワーク”内部での軋轢や警察の動きが激しくなり、更に良子に利用されたフリーの記者・倉森まで絡むことで、序盤から緊迫感に富んだ展開が続く。そのお陰で、第1作よりやや尺は長いのだが、スピード感に満ちており、終わるのが少し早く感じられるはずだ。

 第1作では新一と母親の関係性に、あえて子を為そうと試みる寄生生物・良子を対比させることで、ほかの生物よりも強い親と子の関係性、というテーマに触れていたが、この点も完結編でより掘り下げている。本当に出産した良子に加え、彼女の利用される形で不幸に見舞われた倉森を登場させることで、第1作での出来事を反復し、新一に客観視させている。ミギーとの融合が進み、自ら「バケモノになっちゃったのかな」と述懐するような状態だった新一に新たな変化を齎す、という意味でも重要なプロセスでもあり、物語の膨らませ方としても申し分ない。

 問題があるとすれば、クライマックスだろう。このくだりは原作にも存在しているのだが、映画においては、制作された2010年代の日本で頻繁に取り沙汰された要素を盛り込んで改変している。だが、率直に言って、この改変はかなり軽率だ。言及されている原因からは、物語で描かれているような事態は生じないし、もしあそこまで決定的な現象を引き起こすなら、決着はもっと悲惨なかたちになったはずだ。きちんとその現象について調べていればこんな描き方をするはずはなく、軽率と言うほかない。全体的に優等生的な作りとは言い条、尺に限りのある映画という媒体で描くにあたって、ほぼ妥当な構成、脚色を施しているのが窺えるだけに、いちばんの盛り上がりでの配慮が足りていないことが惜しまれる。

 長大な原作から適切な要素を抽出し構成したことで、この前後篇のなかでうまく物語は収束しており、終幕のカタルシスは鮮やかだ。繰り返される山場それぞれで観る者の感情を揺さぶる趣向も効いており、人間というものの営みの是非を問う主題とも噛み合って深い余韻を残す。やはり優等生的である、という印象は変わらないが、それ故に求められていた水準はきっちりクリアしている、と言える。

 だからこそ余計に、クライマックスでの脚色の軽率さが悔やまれるが、長年実写化が待ち望まれていた、というプレッシャーのなかで、かなり幸福な完成度に達した作品ではある――個人的にはどうしても、SFホラーとしての魅力をもっと引き出せていれば、と恨み言を口にせずにはいられないけれど、ここまでエンタテインメントとして堅実に仕上げたことは評価したいと思う。



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