先週観た映画-“み割り人形と秘密の王国”。

 プログラム切替直後の火曜日なので、いつもなら午前十時の映画祭9を観てくるのですが、思うところあって今回は日程を変更。その代わり、年内に観ておきたかった作品をひとつ消化することにしました。

 上映時間の都合でお出かけは夕方、向かったのはTOHOシネマズ上野。鑑賞したのは、日本ホラー大賞受賞作を『告白』『渇き。』の中島哲也監督が映画化、見えざる恐怖に翻弄される人々をスリリングに描くホラー来る』(東宝配給)。もともと観る気はあったんですが、と世評が微妙だったり、どこかの記事では褒めてるけど「怖くない」という奇妙な論調だったりしたので余計に興味を惹かれて、そしてうっかりすると終わりそうだったので年内に急いで観てきました。

 ……なるほど怖くない。観客に恐怖を味わわせる技術が全般に甘い。色々やってるんだけど登場人物が騒いでいるだけ、といういちばん悪いパターンに嵌まってしまっている。

 ただ、観ていて面白い。主要登場人物たちの上っ面ばかりの言動を描いたあとで、そんなんありか、という現象が矢継ぎ早に起こっていくスピード感。そしてクライマックス、日本の宗教家が宗派を超えて結託して怪異に立ち向かう、未曾有のスペクタクルのインパクト。ホラーのモチーフを誇張し拡張して語られていて、これまで観たこともない出来事を目の前にしている興奮を味わえます。この監督ならではの完成度の高いヴィジュアルもあって、映画としての充実感はあるのです。本当に恐怖を味わうにはだいぶ抜けているけれど、様式としてのホラーの面白さは極めている作品。批判されるのも当然だと思うけれど、私は嫌いじゃない。