『バイオハザード:ザ・ファイナル(吹替・3D・MX4D)』

TOHOシネマズ西新井が入っているアリオ西新井外壁に掲示されたポスター。

原題:“Resident Evil : The Final Chapter” / 監督&脚本:ポール・W・S・アンダーソン / 製作:ジェレミー・ボルト、ポール・W・S・アンダーソン、ロバート・クルツァー、ドン・カーモディ、サミュエル・ハディダ / 製作総指揮:マーティン・モスコウィック、ヴィクター・ハディダ / アソシエイト・プロデューサー:小林裕幸 / 撮影監督:グレン・マクファーソン,ASC,CSC / プロダクション・デザイナー:エドワード・トーマス / 編集:ドゥービー・ホワイト / 衣装:リーザ・レヴィ / VFXスーパーヴァイザー:デニス・ベラルディ / 音楽:ポール・ハスリンジャー / 出演:ミラ・ジョヴォヴィッチアリ・ラーター、ショーン・ロバーツ、ルビー・ローズオーウェン・マッケン、フレイザー・ジェームズ、ローラ、イ・ジュンギ、ウィリアム・レヴィ、イアン・グレン / 配給:Sony Pictures Entertainment

2016年アメリカ作品 / 上映時間:1時間47分 / 日本語字幕:風間綾平 / 吹替版翻訳:藤澤睦美 / PG12

2016年12月23日日本公開

公式サイト : http://www.biohazard6.jp/

TOHOシネマズ西新井にて初見(2017/1/11)



[粗筋]

 ――アンブレラ社とアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)との死闘は、既に10年に及んでいた。

 研究者が娘のアリシアを救いたいがために開発したTウイルスには人間を“生ける屍”と化す副作用があり、それがアンブレラ社の中心人物アイザックス博士(イアン・グレン)によって利用され、世界的に拡散されてしまう。アイザックス博士の部下であり、離反したかに見えたウェスカー(ショーン・ロバーツ)に請われ共闘していたアリスだったが、裏切りに遭い、ワシントンをひとり放浪していた。

 物音に導かれ潜入した施設で、アリスを待ち受けていたのは、アンブレラ社のシステムを司るAI、レッド・クイーンであった。これまでことごとく敵対していたはずが、クイーンはアリスに、Tウイルスの特効薬が開発されていることを教える。既に人類の大半は失われていたが、未だ一部のコロニーに生存者があり、アンブレラ社は48時間後に最後の掃討作戦を実施する手筈になっている、という。クイーンにはアンブレラ社の職員に手出しは出来ないが、アリスなら問題はない。自分に代わって、空気中に拡散できる特効薬をばらまいて欲しい、というのだ。

 いままで敵対していたクイーンの奇妙な頼みに不審を抱くが、危機が迫っていることは間違いない。アリスは促されるまま、ワシントンを発った――すべての発端の地である、ラクーン・シティへと。

 しかし出発後間もなく、アリスは武装集団の襲撃を受けた。気づいたとき、アリスは装甲車の中で、無数の生存者と共にワイヤーで繋がれていた。そして、彼女の目の前に現れたのは――アリスが倒したはずの、アイザックス博士であった――



[感想]

 最後の最後で、遂にひとつの理想に辿り着いた、そんな感がある。

 ゲームを原作とする映画は多々あるが、本篇はその走りに近く、そして最も成功した一例と言っていいだろう。原作の世界観をなるべく維持しつつも、監督の個性を巧みに押し込んだ第1作が好評を博したことでシリーズ化、途中で別の監督にメガフォンを委ねつつも最後まで指揮を執り続け、明確に“ファイナル”と銘打った作品で幕を引けるのだから、それだけで文句のない成功作であり、恐らく今後もこれ以上にうまく行く例は簡単に出るまい。

 しかもそのうえで本篇は、シリーズをしっかりと総括しつつ、本来このシリーズが備えていて然るべき恐怖、興奮、そしてカタルシスを見事に取り込んだ。

 第2作の時点で非現実的なアクションに傾斜し、アンダーソン監督がふたたびメガフォンを取った第4作以降はSFアクションの風味を強めていたが、そもそもこのシリーズは“ゾンビ映画”の流れを汲むものだ。感染、そして感染者の襲撃の恐怖がまずあって、こういう設定ならではのアクションがあり、そこから発展していく人間ドラマがゾンビ映画の醍醐味だろう――もちろん様々な解釈やアレンジは可能だが、この『バイオハザード』シリーズはそういうゾンビ物の基本を受けて作られていた。もちろん、SF方面に発展していったシリーズの構想もまた、“ゾンビ”というベースありき、ではあったが、完結篇を銘打った本篇において、意識的にその基本に立ち戻った感がある。冒頭のゾンビとの格闘、クイーンから提示される目的、そして粗筋で記したあとあたりから始まる、感染者の侵攻、そうしたプロセスに、ゾンビ映画ならではの芳香(あえて“腐臭”と言おうか)が匂い立っていて、おぞましさと共に昂ぶりを覚える。

 そして、感染者の群衆との対決に用いる手段の大胆さ、ど派手さには興奮を禁じ得ない。なまじ守るものが多い状況では決して打倒とは言いがたいが、瀬戸際だからこそ可能な大胆な戦いぶりは圧巻だ。私は本篇をMX4Dで鑑賞したが、画面のインパクトが強いぶん、臨場感は凄まじかった。

 そのうえで本篇は、このシリーズとしての決着も巧妙に演出する。ラクーン・シティであることもそうだが、最後の対決の選んだ舞台が粋だし、その直前に明かされる“真実”が、シリーズ開始当初からの大きな疑問にしっかり決着をつけるものなのだ。この通りの意図だとするなら、途中の展開はさすがにやり過ぎだったのでは? と少々首を傾げる点もあるにはあるが、いちばん肝心の謎には応えているし、その後の展開も踏まえたクライマックスは爽快ですらある。

 冒頭で旧作にて既に知られたおおまかな背景をアリスの口を借りて語る親切なひと幕も用意されていて、本篇から入ったとしてもある程度は楽しめるかも知れないが、ここはやはり旧作をきっちり観ていただきたい。紆余曲折を経て辿り着いた真実と、その先にある決着のカタルシスは、やはりシリーズをすべて追ってきてこそ堪能できるものだ。

 さすがに途中のプロセスに無駄が多すぎたのでは、とか、この背景にしては登場人物が強すぎないか、とか、こうしたアクション系の大作ならではの大味さも目にはつく。しかし、ここまで話を引っ張り、落ち着くべきところに物語を着地させた、そのことは間違いなく幸運なことであり、賞賛に値する。

 ……とは言い条、実はその気になればまだ続けられそうな終わり方でもあるのだが、しかし仮に続いてしまったとしても、本篇を“ファイナル”と位置づけ、その意思のもと作りあげたことは疑うべくもない。そして、それに相応しい作品に仕立てたことは、やはり高く評価して然るべきだろう。

 およそ15年、楽しませてくれてありがとう。



関連作品:

バイオハザード』/『バイオハザードII アポカリプス』/『バイオハザードIII』/『バイオハザードIV アフターライフ』/『バイオハザードV:リトリビューション

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