『魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身! キュアモフルン!』

ユナイテッド・シネマ豊洲、スクリーン8入口に掲示されたポスター。

監督:田中裕太 / 脚本:田中仁 / キャラクターデザイン:宮本絵美子、上野ケン / 作画監督:上野ケン / 撮影監督:安西良行 / 美術監督:西田渚 / 色彩設計:竹澤聡 / 音楽:高木洋 / 出演:高橋李依堀江由衣早見沙織齋藤彩夏浪川大輔内田夕夜新井里美桜井敏治名塚佳織、金田アキ、吉岡麻耶、橋本ちなみ石井真 / 制作:東映アニメーション / 配給:東映

同時上映『キュアミラクルとモフルンの魔法レッスン!』 監督:真庭秀明 / CGディレクター:中沢大樹 / CG演出:日向学

2016年日本作品 / 上映時間:1時間5分

2016年10月29日日本公開

2017年3月1日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video特装版:amazon|DVD Video特装版amazon限定:amazon|DVD Video通常版:amazonBlu-ray Disc特装版:amazonBlu-ray Disc特装版amazon限定:amazon]

公式サイト : http://www.precure-movie.com/

ユナイテッド・シネマ豊洲にて初見(2016/10/29)



[粗筋]

 魔法界では100年にいちど、“願いの石”が姿を現し、選ばれたたったひとりの願いを叶えてくれる。それに合わせて、魔法界では大魔法フェスティバルが催されるのが習わしになっていた。

 ナシマホウ界から魔法使いになる勉強をしに来たことのある朝日奈みらい(高橋李依)も、十六夜リコ(堀江由衣)、花海ことは(早見沙織)とともにフェスティバルに招待されていた。いよいよ“願いの石”が目醒めたとき、石に選ばれたのは――みらいが小さい頃から一緒で、リコとの出会いをきっかけに自我を得たぬいぐるみのモフルンだった。

 しかし、みらいたちの願いを叶えてくれるように祈っていたモフルンは、自分の願いを挙げるように諭されても何も思い浮かばない。まごまごしているあいだに、思わぬ災厄が訪れた。

 フェスティバル会場を謎のクマ、ダークマター(浪川大輔)が襲ったのだ。この世界からすべての魔法使いが消えることを望むダークマターは、願いを叶えてもらう資格を得たモフルンを攫っていってしまう。他の面々が呆然とするなか、みらいはひとり、モフルンを追って飛び出していった。

 ダークマターに攫われたモフルンは、自分の願いを叶えるよう脅されるが、隙をついて逃げ出す。どうにかこうにか辿り着いたのは、クマたちが暮らす集落だった。クマたちは人懐こく、モフルンをもてなしてくれるが、そんなクマたちが何故か遠巻きにして近づかないクマがいた。クマタと呼ばれたそのクマに、しかしモフルンは気負いなく近づいていくのだった……



[感想]

 いちばん大きなネタは既にタイトルでバラしてしまっている、というなかなかに大胆な作りである――前々から思っていたが、このプリキュアの劇場版というのは、テレビシリーズが立ち上げられた直後くらい、春の『オールスターズ』上映に合わせて予告をかけるために、先にサブタイトルだけ決めてしまっているのではなかろうか。たまーに、タイトルに合わせるためにけっこう無理をしていないか? と感じることがある。

 しかし本篇の場合、たとえそのような事情でタイトルだけ先に決めてしまった結果であったとしても、あえてネタを明かしてしまっていることが却って奏功している。観客の興味がはっきりと、「どうしてモフルンがプリキュアになることが出来たのか?」という点に集約されるからだ。

 恐らく、観はじめればすぐに、たとえ本来のターゲットである子供たちであっても、その方法は察するはずだろう。だが、無欲なモフルンはそれを選ばない。いったい彼女(……だと思う。たぶん)はどのようにして、プリキュアになる選択をするのか? という点にどうしても興味を惹かれてしまう。これはけっこう、作戦として巧い。

 その過程の中で、テレビシリーズと繋がる1話である、という性質もきっちりと押さえているあたり、この作品に携わるスタッフの熟練ぶりを窺わせる。みらいとモフルンの絆、というのはテレビシリーズでもしばしば覗くテーマだが、映画のなかにおいてここがかなり丁寧に掘り下げられている。消えたモフルンを探すため死にもの狂いになるみらいの姿は、語られるモフルンとの絆に説得力を持たせているし、そのことがみらいとリコ、ことはとの絆にも繋がって描かれ、物語を盛り上げていく。

 そうしてまさに満を持して登場する“キュアモフルン”が、目覚ましい活躍を見せるのだから、なかなかに興奮する。みらいとの絆、そこに籠めたモフルンの想いを凝縮した“キュアモフルン”だから、そのべらぼうな強さが観ているものにも喜ばしく、頼もしい。

 このプリキュアのシリーズは絆や友情をテーマの根底に据えることが多いが、そういう意味では本篇はシリーズのなかでもトップクラスの出来映えと言っていいのではなかろうか。はじめからみらいの想いを受け止め続け、みらいがプリキュアとなってからも、パートナーとして手を取りあってきたモフルンにスポットライトを当てたからこそ出来たことだ。前述したように、サブタイトル先行で話を練った可能性はある、といまでも考えている私だが、これが最良のタイトルだった、とも感じている。

 テレビシリーズよりもやや太めな描線に少々戸惑いはするものの、これもこの映画版の例に漏れず、絵のクオリティは極めて高い。キュアモフルンに話題を攫われてしまった感はあるが、これもいつも通りに映画オリジナルのコスチュームを採り入れたクライマックスの華やかさもちゃんと演出している。

 シリーズ中の1本として観た場合、極めて完成度の高い1本である。やはりテレビシリーズに馴染んでおく必要はあるだろうが、仮に観ていなくても、タイトルでの大見得をしっかりと回収してくれる、という点から充分に楽しめるかも知れない。個人的には、プリキュア劇場版の中でも上位に属する出来映え、と評したい。



関連作品:

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