ポロロッカは一瞬に。

 アニメや映画などから原作の漫画・小説などに接するようになる現象をポロロッカと呼ぶ――というネタを私が見たのは、まさにポロロッカで読み始めた『さよなら絶望先生』でしたが、最近は年に何回かこれをやらかしてます。

 日付が変わった時点から始まったBOOK☆WALKERのポイント20倍キャンペーンに乗じて、いまいちばんお気に入りのアニメの原作を、第1巻は期間限定の無料配布で確保、それでは申し訳ないから、ととりあえず2巻だけ購入したのですが……気がついたら、既刊7冊ぜんぶ読破してました、『甘々と稲妻』。

 女の子が出て来てほのぼの日常メインで、なおかつ表現の面では地に足がついている、しかも身近な料理を題材にしている、という、私の最近のツボをバッチリと押さえられていて、アニメ版には一撃でやられたのですが、原作でもほぼ瞬殺を食らいました。ああ、ほんとに好きだわこういうの。

 恋愛絡みの話は好き、しかしあんまりドロドロしてヤキモキが続くと面倒くさくなる、というわりあい面倒くさい嗜好の持ち主なんですが、そういう意味でもこのシリーズの匙加減は素晴らしい。先生は妻を喪い、たったひとり残された家族である愛娘つむぎとどう暮らしていくか、で頭がいっぱいでそこまで考えが及んでいない様子ですが、そういう先生の人柄を理解して、いまの関係性を大事に想いながらも自分の心情にときどき頭をぐるぐるさせてる女子高生の小鳥、という構図が非常に観ていて微笑ましい。アニメでは第6話に登場する、友人・しのぶにダブルミーニングで本心を吐露するくだりがあまりにも胸キュンすぎて何回も見返してしまったくらいなんですが、原作のその9で描かれる同じシーンをやっぱり何度も読み返してしまってます。

 そして、こうしてポロロッカを踏まえても優秀、と言い切れるアニメの出来映えに改めて唸らされてます。シリーズ構成の都合もあるのでしょうが、原作ではその14に描かれる先生の風邪引きのエピソードと、その10でのつむぎが迷子になるエピソードをまとめたのは巧い工夫だと思います。アニメ版は1クール、恐らくその最終話に当てはめやすいエピソードが何か、と考えると、どうしても何話かこぼれてしまう一方で、前述の出来事は名場面として外せなかったはずなので。1話を膨らませる際、原作の行間を、味わいを殺さずに埋めているのも好感が持てます。前述した小鳥が心情を述懐する第6話、その直後のしのぶと先生の友人・八木とのやり取りが最たるもの。

 勢いに任せて原作7巻読み終えてしまった私としては……アニメ、1クールで終わらせるのはあまりに勿体ない。原作がどこを着地点にするつもりなのかは解りませんが、アニメ版も出来るだけ最後まで追ってくれないものか……なかなか難しいことだとは思いつつ。