『死霊館 エンフィールド事件』トークイベントつき前夜祭at新宿ピカデリー。

左から高橋ヨシキ氏、岩井志麻子氏。 きのうは、宇宙人再来の大作も前夜祭を催しておりました……そっちも気になるといやなりますが、私にとってはこっちの方が大事。早めにチケットを確保して、先週の新宿ピカデリー来訪の際には発券してありました。

 作品は、『SAW』によって鮮烈にデビュー、近年はすっかりホラー・マスターの地位を確立した感のあるジェームズ・ワン監督が、代表作に続いて実際の“心霊事件”をきわめてオーソドックスな手法で描き出し、アメリカで現在記録的大ヒットをさている最新作死霊館 エンフィールド事件』(Warner Bros.配給)。昨

 この前夜祭では、まず前作を上映、その後ゲストを招いてのトークイベントを挟んで本篇上映、という運びになっています。ワン監督作品はほぼ欠かさず追っているので、当然前作も鑑賞してますが、途中を抜いたりせずしっかりと復習。

 再鑑賞してみて改めて、ホラーとしての質の高さを実感します。このあとのトークイベントでも語っておられましたが、基本を抑えているのがいいのです。『エクソシスト』でも描かれるような“悪魔祓い”の要素を的確に積み上げ、それを恐怖としても伏線としても駆使している。事件に携わった夫婦が決して正式な作法を熟知しているわけではないからこその奮闘と、それ故のいくぶん破調になったクライマックスも秀逸。近年のホラー映画では出色の名作です。

 短い休憩時間を挟んでトークイベントです。登壇したゲストは、最近は存在自体がホラー化しつつあるホラー作家の岩井志麻子氏と、『映画秘宝』のライター&デザイナーで近年は映画脚本にも携わる高橋ヨシキ氏。司会は奥浜レイナ氏です。

 岩井氏がいるので著しく脱線したらどーしよう、と若干不安を抱いてましたが、さすがにそこは本職ホラー作家ですから、しっかり『死霊館』の特徴や、その魅力について語ってくださいました。前述したように、『死霊館』は題材やその扱いが非常に古典的であると同時に、価値観としてはキリスト教に属しながら、その怪奇描写には日本のホラー映画、ホラー小説にも似て湿度が高い。定石を踏まえているからこそ、「さあ来るぞ」という期待や興奮を煽り、怖さを味わいつつも楽しめる。

 だいたいの要旨をざっくりまとめる形で記しましたが、約30分程度、かなりみっちりと話を聞かせていただきました。フォトセッションも一般観客の撮影を解禁にしてくださったので、大急ぎでiPhoneを起動して撮影。

 トークイベント後はいよいよ9日公開となる『死霊館 エンフィールド事件』の上映です。高橋氏いわく「やってることは一緒」ですが、まさにそれがこのシリーズの魅力。前作のあと、『悪魔の棲む家』のモデルにもなった事件に携わる様子から、タイトルにあるエンフィールドの事件の描写まで、まさにオカルト・ホラーの王道ともいうべき描写がこれでもかとばかり繰り出される。絶妙なのは、社会にある疑いの目を物語の中でも巧みに扱い、そこから見事なサスペンスやドラマまでも構築していること――エンドロールで、かなりの部分が実際の記録に沿っていることを窺わせるので、すべてに作為が働くわけではない、というのが真面目に怖い。前作の、オーソドックスながら練り込まれた質の高い怪奇描写に惹かれたひとなら間違いなく納得のいくクオリティ。本当は『インシディアス2』のあたりでホラー作品を離れる、と公言し、現時点で予告されている監督としての新作がDCコミックのヒーロー『アクアマン』なので、本当にホラーから離れそうな雰囲気をちらつかせてますが、出来るならもっと撮り続けて欲しいところ。

 ともあれ、恐怖の質の高さも、エンタテインメントとしてのレベルも高い作品なので、夏ならではのホラーが楽しみたい方は是非劇場でどうぞ。