『嘘解きレトリック』が最近のお気に入り。

 このところ、多忙&懐事情もあって、書店に出かけることが減っております。そのために、面白そうな作品の情報が集められずにおりますが、ここ何ヶ月かはその鬱屈を電子書籍で補っている感じになっている。ポイント還元の多い時期に、貯まったポイントで樹になったものを衝動買いしてみたり、試し読みや割引キャンペーンの実施されている作品に手を出してみたり。

 そうして最近、個人的に大当たりにひとつ、巡り会いました。

 白泉社花とゆめコミックスから刊行されている、都戸利津『嘘解きレトリック』というシリーズ。

 たぶん『はいからさんが通る』あたりの刷り込みなんでしょうが、第二次大戦に至る影が落ちる以前あたりの“レトロモダン”の絵柄はなんとなーく惹かれてしまう。しかもこの作品は説明の時点で“嘘が聞き取れる特殊能力を持つ少女”が登場する“ミステリー”とありますから、私としちゃ大好物だったわけです。

 第1巻に限り無料試し読みが出来たので手を出してみたら、これが期待以上に質が高い。“嘘が聞き取れる”という設定のルールが非常にしっかりしてますし、予め嘘を聞き分けたうえで進行する謎解きがしっかりしている。そして、この出来事を軸に描かれるドラマも骨がある。第1巻があまりに面白かったので、2巻以降は割引ながら有料だったのに、電子書籍で入手出来た5巻まで、2日間でコンプリートしてしまいました。

“九十九夜町”という架空の町を舞台にした人情ドラマ、という側面もあるので、謎解き自体はいわゆる“日常の謎”の枠に属するものが多いのですが、誘拐や強盗、殺人といった王道のミステリネタもちりばめられている。特に注目すべきは、キャラクターと世界観が固まったあと、第3巻をまるごと費やして描かれた長篇『人形殺人事件』です。因習を背景に、“殺されたのは人間か、人形か”という魅力的な謎を仕掛け、そこにヒロインの嘘を聞き分ける力がしっかりと絡んでくる。最終的に解き明かされるカラクリはミステリとしてはど定番に近いものなんですが、シリーズに一貫する趣向とテーマのお陰でオリジナリティが光る出来映えとなっている。

 あまりにもハマってしまって、これをアニメ化したとしたら第5巻のエピソードでとりあえず一区切りすると凄く綺麗だよね、とか語られていない期間の出来事を扱えば膨らませられるよねー……などと妄想してしまう始末。忙しいのに。

 前述した通り、電子書籍ではまだ第5巻までしか刊行されてませんが、紙書籍では第6巻が今年2月に発売されてます。

嘘解きレトリック 6 (花とゆめCOMICS)

嘘解きレトリック 6 (花とゆめCOMICS)

 ……先が気になりすぎて、ここから紙に切り替えてしまいそうな勢い。そして便宜を考えて、以後は電子書籍とともに揃えちゃったりして……。

 第1巻の無料試し読みは今月末くらいまで、あちこちの電子書籍販売サイトで行われているようなので、気になった方は読んでみてください。



 ちなみに、内容的にも高く評価してますが、そもそもカバーにあしらわれているヒロイン・鹿乃子が和装のおかっぱに眼鏡、というヴィジュアル的にも大変私好みだったが故に手を出してしまった、ということも言い添えておきましょう。わざと誤解を招くような言い回しで。

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嘘解きレトリック 1 (花とゆめCOMICS)

嘘解きレトリック 1 (花とゆめCOMICS)

*1:電子書籍の無料版にリンクする方法を調べている余裕まではないので、紙書籍版へのリンクです。堪忍してください。