私じゃなかったら泣いてた。

 昨日も触れたとおり、観逃した作品をフォローすべく、夕方からふたたびのお出かけです。向かうは新宿。余裕があれば自転車で……と思ってましたが、天気予報では“折りたたみ傘があったほうが”と不安を煽るし、明朝までに作業をひとつ片付けたい、ということを考えると、体力を消耗したくなかったので、電車で移動。

 最初に訪れたのは新宿ピカデリー。鑑賞した作品は、7年前に恵まれた形で完結したテレビアニメ『ARIA』シリーズの、その後を描いたオリジナル新作ARIA the AVVENIRE』(松竹配給)。原作もアニメもさんざん堪能してきた私にとっては絶対に外せない1本でした。

 ……正直なところ、内容以前に、アテナさんが歌いながら登場した時点で、事情を知っている者は目頭が熱くなってしまいます。完結からたった7年のあいだに、彼女を担当していた川上とも子、歌のパートの吹替を担当していた河井英里、このふたりとも喪っているのです。続篇の製作に当たって、代役を立てず、本人の声を使う、というのは情報で得てましたが、だからこそのさりげなく魂の籠められた登場シーンに感涙を禁じ得ない。基本的にフィクションで涙を流すことはないんですが、それでもちょっとこれは来た。

 内容的には、原作ファンもアニメファンも充分に納得する仕上がり、と断言していい。後日談ですが、「これは……」と首を傾げるような部分はひとつもない。アニメオリジナルだったアイは完璧に灯里の後継者としてキャラを確立しているし、新たな次世代のキャラクターにも世界観を崩すものがない。オリジナルシリーズのモチーフを随所で引用しつつ、3話構成のなかでしっかりと筋を組み立てている。絵の面でも一切手抜きがなく、どこを切っても高いクオリティを保っている。実はこれが今年、劇場で鑑賞する100本目の作品で、やや特殊なものになってしまったのが引っかかっていたんですが、むしろこれを選んで良かった、とさえ思う名品でした。今のところこの作品の映像ソフトは、今年12月からリリースされるアニメシリーズのBlu-ray BOXに、各シリーズごとに3分割されて収録されるだけっぽいので、ブルーレイとはいえまた買うのは、と躊躇うような人ならこの機会に劇場に足を運びなさい。私は……買うかもだ!

 鑑賞後、急いで移動して、今度はTOHOシネマズ新宿へ。本日2本目、そして実は当初の予定ではきのう鑑賞するつもりだった、つまりはもともと100本目の節目に観るつもりでいた作品は、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のスタッフが再結集、ふたたび秩父を舞台に、子供の頃の出来事がトラウマとなって言葉を話せなくなった少女・順を軸に描き出した青春アニメーション心が叫びたがってるんだ。』(Aniplex配給)。『あの花』はちゃんと観てない(録画はしていた)んですが、これはもともと内容的に気になっていたうえに、主題歌が乃木坂46になってしまったため、優先度が一気に上がってました。

 期待はしてましたが、これは素晴らしい。アニメ的な描写や趣向をちりばめつつ、起きている事柄はとても身近で心当たりのあるようなことばかり。そのなかで煩悶するヒロイン・順と、周囲のひとびとの変化を押しつけがましくなく、しかしちゃんと説得力を備えて描き出す。様々なことにきちんと向き合って作り出したクライマックスと、説明しすぎないラストも非常にいい。はっきり言って、実写も含めて今年に鑑賞した映画の中で五指に入るくらいにお気に入りです。

 昨日、ひょんな経緯で急遽決めた2本立てでしたが、これは非常に満足度が高かった。そしてもし私が素直な感性の持ち主だったら、この2本で泣きっぱなしだったかも知れません。いい組み合わせでした――どっちもプログラム高かったけど! 『ARIA the AVVENIRE』なんか2200円もしたけど!! 本篇のチケット代が1300円均一と他の作品より安い分むしられてる気分だけど!!