『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2D・字幕・TCX・ATMOS)』

TOHOシネマズ日本橋が入っているコレド室町2入口脇に掲示されたポスター。

原題:“Guardians of the Galaxy” / 原作:ダン・アブネット、アンディ・ラニング / 監督:ジェームズ・ガン / 脚本:ジェームズ・ガン、ニコール・パールマン / 製作:ケヴィン・ファイギ / 製作総指揮:ルイス・デスポジート、アラン・ファイン、ヴィクトリア・アロンソ、ジェレミー・レイチャム、ニック・コルダ、スタン・リー / 撮影監督:ベン・デイヴィス / プロダクション・デザイナー:チャールズ・ウッド / 視覚効果監修:ステファン・セレッティ / 編集:フレッド・ラスキン、クレイグ・ウッド、ヒューズ・ウィンボーン / 衣装:アレクサンドラ・バーン / キャスティング:サラ・ハリー・フィン / 音楽:タイラー・ベイツ / 音楽監修:デイヴ・ジョーダン / 出演:クリス・プラットゾーイ・サルダナデイヴ・バウティスタジャイモン・フンスー、ジョン・C・ライリー、グレン・クローズベニチオ・デル・トロリー・ペイスマイケル・ルーカー、カレン・ギラン、ローラ・ハドック、ショーン・ガン、ピーター・セラフィノウィッツ、クリストファー・シェアバンク、ワイアット・オレフ、ジョシュ・ブローリン、ロイド・カウフマン / 声の出演:ブラッドリー・クーパーヴィン・ディーゼルロブ・ゾンビセス・グリーン / 配給:Walt Disney Studios Japan

2014年アメリカ作品 / 上映時間:2時間1分 / 日本語字幕:林完治

2014年9月23日日本公開

公式サイト : http://marvel.disney.co.jp/movie/gog.html

TOHOシネマズ日本橋にて初見(2014/10/06)



[粗筋]

 自ら“スター・ロード”と名乗るトレジャー・ハンターのピーター・クイル(クリス・プラット)が狙ったのは、<オーブ>と呼ばれる秘宝。だが、<オーブ>を入手した途端に、複数の賞金稼ぎに追われる羽目に陥る。

<オーブ>を売りさばくつもりで訪れたザンダー星で、ピーターは凄腕の暗殺者ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)に発見され、逃亡に転じる。そこへ、見た目はアライグマだが中身はクレイジーな賞金稼ぎのロケット(ブラッドリー・クーパー)と、その相棒である樹木型のヒューマノイド、グルート(ヴィン・ディーゼル)も加わり、ピーターは遂に捕らえられてしまった――が、その直後、ザンダー星の現地の警察に捕捉され、ピーターは追っ手もろとも御用となる。

 ピーター、ガモーラ、ロケット、グルートは、みな同じ刑務所に収監された。だが、刑務所のなかでもピーターは災難と縁が切れない。彼を狙ったガモーラは、狂信的なクリー人・ロナン(リー・ペイス)の命によって<オーブ>を奪うためにピーターを襲撃したが、その実、兵器として扱われる現状から脱するため、<オーブ>を私し売りさばいて逃走する腹積もりだったという。しかし他の囚人がそんなことに気を留めるはずもない。各地で悪逆を尽くしてきたロナンを憎悪するものは刑務所にも多数おり、ドラッグ(デイヴ・バウティスタ)はガモーラが離反している、という事実に関わりなく彼女を狙うと言い張っている。

 他方でピーター自身も、所属する宇宙海賊ラヴェジャーズのボスであるヨンドゥ・ウドンヌ(マイケル・ルーカー)から仕事ぶりに疑念を持たれ、行き場を失っている。そこでピーターは金で動くロケットを説き伏せ、脱獄のうえ<オーブ>を売りさばいた上がりを分け合うことで仲間になることを承諾させた。

 かくて、それぞれの損得優先、成り行きで脱獄チームが結成された。よもやまさか、この面子で銀河を救うための大冒険に赴く羽目になるなどと、想像している者はひとりもいなかった……



[感想]

 アメコミの出版社がマーヴェル・スタジオを創設、自社作品の映画化を“マーヴェル・ユニヴァース”として統括するようになって以降、このジャンルの安定感はただ事ではない。歴史的大ヒットとなった『アベンジャーズ』を筆頭に、マーヴェル作品はもちろんのこと、この流れに触発されるかのように、マーヴェルが関わらないアメコミ映画化でさえ水準が上がっている。クリストファー・ノーランが関わったバットマンやスーパーマンもそうだし、同じマーヴェルでも独自の体系で継続している『スパイダーマン』や『X−MEN』にしても底上げされた格好だ。

 本篇もまた“マーヴェル・ユニヴァース”の正統的な1篇であり、従って始めから折り紙付き、と言ってもいいくらいである。そんな大きな期待を、本篇は確実に裏切らない。

 ……が、先に言っておくと、個人的には不満もあるのだ。

 いちばん大きい不満は、ベニチオ・デル・トロの出番が少ない、ということである。私が彼の演技の大ファンだ、というのももちろんあるのだが、彼が演じる“コレクター”の登場は、他ならぬマーヴェル・ユニヴァースの先行作『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』で仄めかされていた。マーヴェル作品はエンドロールあとの映像で後続作品の伏線を張るのがお馴染みであり、そこで語られたことは、実際に描かれる物語で決して最重要ではないにしても、意味のあるものだ、ということがほとんどだった。そう考えると、本篇での“コレクター”の扱いはあまりに期待外れなのである。ただ単に、シリーズが背後で繋がっている、ということを窺わせる以上の機能をしていない――その意味では、大事な場面で出番があるのは嬉しいのだが、期待していたのはあれではない。

 もうひとつ、優れたエンタテインメント性を備えた本篇だが、観終わって振り返ってみると、突出した見せ場がないのが気がかりだ。ザンダー星での三つ巴の立ち回りから刑務所での乱闘、そしてクライマックスの戦争のくだりと、大きな場面はいくつか思いつくが、どれがいちばんの見せ場なのか、と問われると悩む。すべてテンションは高いが、軒並み均質に整えられているので、ここぞ、という印象に欠ける。迫力という意味では申し分ないクライマックスの決戦にしても、タイトルロールたる“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”の面々がいまひとつ引き立っていないのが気にかかる。最終的に締めくくったのは彼らだが、なんだか「美味しいところだけ持っていきやがって」という感覚なのだ。これだけレベルの高いエンタテインメントに仕上がっているのだから、ヒーローをヒーローとして際立たせる見せ場が欲しかった、と個人的には思う。

 だが、このあたりはもはやいちゃもんに過ぎない。既に触れたとおり、本篇は突出した部分こそないものの、ある程度の緩急をもって息つく間もなく物語が展開し、最後まで観客の気を逸らさない。終わってみればヒーローもの、というより宇宙を舞台とした冒険ものの定石を踏まえているのだが、話の中でそれをさほど意識させず、先読みをほとんど許さないのが凄い。

 しかし何より、本篇が優れているのは、キャラの個性が確立され、その枠の中で物語を転がしていることだ。一見何の取り柄もないようにも感じるピーター・クイルにしても奇妙な行動力があり、それが彼を信頼する、しないに関わらず不思議と他人は惹きつけられてしまう。難しい立ち位置で揺れるガモーラの扱いも見事だし、最初は彼女を憎悪するドラッグの心境の変化も、キャラクターの特徴を外すことなくユーモラスに描いている。

 特に秀逸なのは、外見はキュートなアライグマなのに、金にがめつく武器の知識に長けた凶暴な本性をむき出しにするロケットと、彼に“育てられて”いるヒューマノイド・タイプの植物グルートだ。物云いは乱暴で私利私欲むき出しのように見せかけて、巻き込まれると渋々という体で受け入れてしまう人の好さも併せ持ったロケットに、「私はグルート」しか喋れず、しばしば空気を読まない行動をするくせに、仲間としては異様に頼りがいのあるグルートの掛け合い漫才めいたやりとりが終始観客をくすぐり、最後にはほろりとさえさせてくれる。いちおう主人公はピーターのはずなのに、広告ではこの2人ばかりがクローズアップされたのは、ヴィジュアルや設定の魅力のみによるものではない。

 本篇には、スペース・アドヴェンチャーものの旨味を絶妙に盛り込みながら、マーヴェル・スタジオ作品ならではのヒーローものの魅力もきちんと詰め込まれている。最初に細かいところでぐちぐち言ったが、観ているあいだは笑いを織り交ぜた緊張と興奮とに絶え間なく翻弄され、観終わって充分な満足感が得られる、優秀なエンタテインメント作品であることは間違いない。マーヴェル作品との絡みの乏しささえ、むしろ他のシリーズ作品にこだわらず単独で楽しめてしまうことも、優れたポイントと言っていいだろう。





関連作品:

インクレディブル・ハルク』/『アイアンマン』/『アイアンマン2』/『マイティ・ソー』/『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』/『アベンジャーズ』/『アイアンマン3』/『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』/『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

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