『トランスフォーマー/ロストエイジ(3D・字幕)』

TOHOシネマズみゆき座、入口階段の上に掲示されたポスター。

原題:“Transformers : Age of Extinction” / ハズブロのアクション・フィギュアに基づく / 監督:マイケル・ベイ / 脚本:アーレン・クルーガー / 製作:ドン・マーフィ、トム・デサント、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、イアン・ブライス / 製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグマイケル・ベイ、ブライアン・ゴールドナー、マーク・ヴァーラディアン / 撮影監督:アミール・モクリ / プロダクション・デザイナー:ジェフリー・ビークロフト / 視覚効果&アニメーション:インダストリアル・ライト&マジック / 編集:ロジャー・バートン、ウィリアム・ゴールデンバーグ、ポール・ルベル / 衣装:マリー=シルヴィー・ドゥヴォー / 音楽:スティーヴ・ジャブロンスキー / 出演:マーク・ウォルバーグ、ニコラ・ペルツ、スタンリー・トゥッチ、ジャック・レイナー、リー・ビンビン、タイタス・ウェリヴァー、ソフィア・マイルズ、T・J・ミラー、ジェームズ・バックマン、トーマス・レノン、チャールズ・パーネル、エリカ・フォン、マイク・コリンズ / 声の出演:ピーター・カレン、フランク・ウェルカー、ジョン・グッドマン渡辺謙、ロバート・フォックスワース、ジョン・ディマジオ、マーク・ライアン、レノ・ウィルソン / 配給:Paramount Japan

2014年アメリカ作品 / 上映時間:2時間45分 / 日本語字幕:松崎広

2014年8月8日日本公開

公式サイト : http://www.tf-movie.jp/

TOHOシネマズみゆき座にて初見(2014/10/01)



[粗筋]

 シカゴを蹂躙した事件以降、世間はオートボットへの対応を一転させた。人類に害を為すものとして、政府はオートボットディセプティコンの区別なしに追い、発見すれば容赦なく破壊する。気づけば、あらゆるオートボットが人類の前から姿を消してしまった。

 そして、3年の時が過ぎた。

 テキサス州で廃品回収業を営みながら、金にならない発明にかまけているケイド・イェーガー(マーク・ウォルバーグ)はある日、奇妙なトレーラーの残骸を発見する。それは何故か無数の弾痕とともに、砲弾がそのまま車内に残っていた。ケイドは、ある確信に基づき、なけなしの金をはたいてトレーラーを買い取った。

 ケイドが睨んだとおり、そのトレーラーは世界から行方をくらましたオートボットのリーダー、オプティマス・プライム(ピーター・カレン)だった。突如としてアメリカ政府の密使による襲撃を受けたオプティマス・プライムは廃車のふりをして身を隠していたのである。

 オートボットの技術を盗むことが出来れば、発明家として大成出来るかも知れない――そんな野心を抱いたケイドは、オプティマス・プライムを匿い、自分なりに治療を手伝った。

 だがそこへ、エイリアン殲滅チームが突入してくる。密告すれば賞金がもらえる、という噂を信じ込んだケイドの店の従業員ルーカス(T・J・ミラー)のせいで発覚したのだ。部隊は賞金どころか、ケイドたちの命を奪いかねない様子だったが、オプティマス・プライムの機転と、折良くイェーガー家を訪ねたケイドの娘・テッサ(ニコラ・ペルツ)のボーイフレンド、シェーン(ジャック・レイナー)の助けを借りて、一同は何とかその場から逃れることに成功する。

 いったい何故、かつて人類と手を取り合って戦ったオートボットを、政府が襲っているのか。そして、殲滅チームに加わる最強の戦士ロックダウンの目的とは……?



[感想]

 毎回言っているが、このシリーズは話の出来映えよりも、様々な無機物が変化し、人智を越えた規模で戦うさまこそ見所だ。言ってみれば映像で楽しむアトラクションであり、だから個人的には、映像ソフトやテレビ放映で漫然と眺めるよりは、大きなスクリーンでこそ堪能出来る、と思っている。それ故、公開直後に鑑賞する機会を逸しながら、3D版で鑑賞出来るギリギリのところで劇場に駆け込んできたわけである。

 だから本当に、話の内容よりも映像の迫力、クオリティこそ問題なわけで、その点ではある程度満足しているのだが……率直に言えば、その点でも旧作よりも劣った印象を与える仕上がりなのは残念だった。

 前作で初めて3Dを採用した際は、様々な形態を取ったトランスフォーマーたちが戦闘を繰り広げる未体験のヴィジュアルと、ビルが激しく傾いたり、砲弾や巨大な瓦礫が降り注ぐ様に登場人物が恐怖し興奮する姿に同調するかのような感覚を味わうことが出来た。本篇もその路線を踏襲してはいるが、あいにく、前作以上のものを提示できてはいない。

 いちおう、前作からの新機軸として――予告篇では公開前から露出していたのではっきり書いてしまうが、恐竜の形をしたトランスフォーマーが登場するが、正直なところ、それほど特異なインパクトをもたらしてはいない。変形することで何らかの意外性を演出したり物語に起伏を与えているわけでもなく、単にオートボットたちの新しい協力者が増えている、オートボットがより巨大なものにまたがっている、というヴィジュアルを供給しているに過ぎない。

 さっきからストーリーはどうでもいい、という書き方をしているが、とはいえせめてそれが登場する経緯や、いざ現れたときのインパクトを演出するぐらいの工夫は欲しいものだが、その点でも本篇は失敗している。プロローグで“ダイナボット”と称される恐竜型トランスフォーマーの存在は示唆されるものの、物語のなかで彼らの存在が絡んでくることはほとんどなく、救援が必要だ、という場面になって急にその名が浮上してくる。だから、彼らが身を潜めている理由も解らなければ、それがいざオートボットと結託する、という態度を示したときのカタルシスもなく、折角のヴィジュアル面での迫力をうまく膨らませていない。出すのは悪くないが、ならばもっと活かす方法を工夫して欲しかった。それこそストーリーの整合性を多少無視してでも、彼らの決起が観客の興奮を煽る仕掛けをして欲しかった。

 今回、人間側の視点人物が、シャイア・ラブーフ演じる青年から、マーク・ウォルバーグが演じるしがない中年男に変わったが、これもそのこと自体は工夫として悪くない。青年のエピソードは3作でだいたいやり尽くしたし、2作目と3作目とで恋人が変わる、なんて事態も経てしまったあとだと、続篇でなおこのキャラクターを起用し続ければ、変に人間側のドラマが込み入ったものになってしまい、トランスフォーマーの見せ場をいたずらに食ってしまいかねない。どれほどドラマの質が高くても、たぶん作品を追ってきたファンの望まないものになっただろう。人間側の構図をいったんリセットし、家族を中心として新たに構成したのは賢明な判断だった。ごくごく有り体でひねりはないが、ほどよくスペクタクルと混ざり合い、物語を盛り上げることに一定の貢献をしている。

 ……が、それである程度は考慮を施しているはずなのに、肝心のトランスフォーマーの配置や、アクションでの活かし方がほとんど効果を上げていないのはあまりに勿体ない。今回、新たなオートボットのひとりの声として渡辺謙が起用されており、デザインは侍ふう、変形も2段階行えるなど、けっこうな個性があるのに、ろくすっぽ印象に残っていないし、そもそも新たな敵役もオートボット側の援軍も、立ち位置が解らないばかりか、個性も引き出されていない。人間側のドラマをどれほどシンプルにしていても、肝心の主役がこの有様では宝の持ち腐れだ。

 VFXのレベルは高く、未知の飛翔体が都市を襲うさまや、立体的に繰り広げられるトランスフォーマーたちの戦いは相変わらず繊細かつ大迫力だ。その意味では未だ、映画館で観る価値のある作品ではあるのだが……これだけの予算と環境が与えられているなら、せめてもうちょっとそれを活かせよ、とは言いたくなる。既にシリーズ第5作の製作は始まっているようだが、いい加減「映像はいいけどストーリーには期待するな」と言わせないようにして欲しいところである。



関連作品:

トランスフォーマー』/『トランスフォーマー/リベンジ』/『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン

アイランド』/『スケルトン・キー

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