『るろうに剣心 京都大火編』

TOHOシネマズ西新井が入っているアリオ西新井外壁に掲示されたポスター。

原作:和月伸宏(集英社・刊) / 監督:大友啓史 / 脚本:藤井清美、大友啓史 / 製作:久松猛朗、畠中達郎、茨木政彦、高橋誠、高橋誠修、宮本直人 / 製作総指揮:ウィリアム・アイアトン / プロデューサー:福島聡司 / エグゼクティヴプロデューサー:小岩井宏悦 / アクション監督:谷垣健治 / 撮影:石坂拓郎 / 照明:平野勝利 / キャラクター&衣裳デザイン:澤田石和寛 / 美術:橋本創 / 装飾:渡辺大智 / VFXスーパーヴァイザー:小阪一順 / 編集:今井剛 / 音楽:佐藤直樹 / 主題歌:ONE OK ROCK『Mighty Long Fall』 / 出演:佐藤健武井咲伊勢谷友介青木崇高蒼井優江口洋介藤原竜也神木隆之介、土屋太鳳、田中泯宮沢和史小澤征悦、大八木凱斗、高橋メアリージュン三浦涼介 / 制作&配給:Warner Bros.

2014年日本作品 / 上映時間:2時間19分

2014年8月1日日本公開

公式サイト : http://www.rurouni-kenshin.jp/

TOHOシネマズ西新井にて初見(2014/08/01)



[粗筋]

 日本各地で、志々雄真実(藤原竜也)という男を中心とした集団が政府転覆を目論見、台頭しつつあった。もと新選組、現在は警視庁に奉職する斎藤一(江口洋介)は密告により志々雄の拠点を襲撃するが、逆に部下を皆殺しにされてしまう。

 討伐隊がことごとく返り討ちに遭うなか、窮した内務卿・大久保利通(宮沢和史)は、旧知の間柄であるかつての人斬り抜刀斎こと緋村剣心(佐藤健)に救いを求めた。志々雄は剣心がるろうにになり去っていったあとで“人斬り”を継ぐ存在であったが、剣心もいた鳥羽伏見の戦いで味方の志士たちの裏切りにより刺され身を焼かれ、新政府に憎悪を抱いているという。その実力的にも、対抗できるのは剣心をおいて他にいなかった。

 現在、神谷薫(武井咲)が師範代を務める神谷道場で居候の身分となり、平穏に暮らしている剣心は、“人斬り”に戻るつもりはなかった。だが、大久保に返答を求められていた五月十四日、その大久保が志々雄率いる十本刀筆頭・瀬田宗次郎(神木隆之介)によって暗殺され、日を同じくして警視庁に、各地で惨殺された警官達の遺骸が届けられた。その惨状を目の当たりにして、剣心は覚悟を決める。薫に別れを告げ、志々雄が潜む京都へと赴いた。

 しかし、薫や門下生の明神弥彦(大八木凱斗)、剣心同様に神谷道場居候の身分である相良左之助(青木崇高)たちは、ひとりですべてを背負おうとする剣心を放っておかなかった。彼を助けるために、それぞれ京都への旅路に就く。

 一方、先行した剣心は、道中で志々雄の非道をふたたび目撃していた――



[感想]

 原作の迫力を巧みに実写に転化すると共に、香港映画の流れを汲むスピーディな立ち回りをチャンバラに採り入れて、熱狂的に受け入れられた第1作からわずか2年、前後篇の体裁で発表された新作の前編にあたる。

 前作があれほど成功したのだから、闇雲にそのスタイルを覆す必要はない。志々雄真実に瀬田宗次郎、四乃森蒼紫(伊勢谷友介)といった新しい剣客たちを加えつつも、本篇のトーンは前作としっかり繋がっていて、立て続けに観ても違和感を覚えない。

 惜しむらくは、まだ紆余曲折があった前作に比較すると、本篇はイベントを羅列している、という感が強く、物語に少々まとまりを欠いている。同時に製作が進められ、1ヶ月半後には追って公開される第3作が存在していることから、話の決着をそちらに委ねているせいなのだろう、本篇の中で解決していないことがあまりに多すぎる。

 しかしその分、前作で完成されたアクションは、ほぼ全篇で展開して観客の興奮を煽っている。プロローグの怪しく、そして絶望的な襲撃から、京都へ赴いた剣心が道中に披露する一対多の鮮やかな戦い、ユニークな動きで剣心を翻弄する瀬田宗次郎、といった具合に、ほぼ絶えず見所が繰り出される。もともと特徴的な技を多数織りこんだ原作の味を、ワイヤーも導入した神憑りな動きを作りだすことで再現した映像の魅力は今回も健在であり、インパクトはより増している。

 本篇のアクションで、個人的にいちばん興奮したのは終盤、京都を舞台に複数展開する戦闘のなかで、同じ一族が拳を交えるくだりである。剣心が体得した剣術は一対多を得意とする、という設定があり、混戦のなかではボス格と絡めない、しかも本篇は決着を続篇に譲っているということもあってだろう、剣心が一対一の決戦で魅せることが出来ないぶんを補うかのように、この同族対決は異様にパワフルだ。本篇のアクション監督を担当する谷垣健治が出演も兼ねていた『捜査官X』あたりを彷彿とさせる、建物を破壊するほどのスピードとパワー、常識を逸脱したテクニックを堪能させる。

 繰り返すように、本篇は決着を第3作『るろうに剣心 伝説の最期編』に譲っている。本篇では未解決の出来事や、物足りなかった剣心自身の見せ場はたぶん続篇で堪能できると信じて、とりあえず評価は保留にしておきたい――ただ、前作が愉しめたのなら、確実に同種の興奮を味わえるし、続篇にも期待をそそられる、上出来の橋渡しである、と断言できる。



関連作品:

るろうに剣心

サンブンノイチ』/『カイジ2 人生奪回ゲーム』/『清須会議』/『渇き。』/『春を背負って』/『妖怪大戦争』/『釣りキチ三平』/『47RONIN』/『許されざる者(2013)』/『隠し剣 鬼の爪』/『武士の家計簿

捜査官X』/『必死剣鳥刺し』/『超高速!参勤交代