『RED/レッド リターンズ』

TOHOシネマズスカラ座、スクリーン横の出入口に掲示されたポスター。

原題:“Red 2” / 監督:ディーン・パリソット / キャラクター創造:ウォーレン・エリス、カリー・ハムナー / 脚本:ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー / 製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、マーク・ヴァーラディアン / 製作総指揮:ジェイク・マイヤーズ、デヴィッド・レディ / 撮影監督:エンリケ・シャディアック,ASC / プロダクション・デザイナー:ジム・クレイ / 視覚効果監修:ジェームズ・マディガン / 編集:ドン・ジマーマン,A.C.E. / 衣装:ベアトリクス・アルナ・パストール / キャスティング:デボラ・アキラ,CSA、トリシア・ウッド,CSA / 音楽:アラン・シルヴェストリ / 音楽監修:ジョン・フーリアン / 出演:ブルース・ウィリスジョン・マルコヴィッチメアリー=ルイーズ・パーカーイ・ビョンホンアンソニー・ホプキンスヘレン・ミレンキャサリン・ゼタ=ジョーンズブライアン・コックス、ニール・マクドノー、デヴィッド・シューリススティーヴン・バーコフティム・ピゴット=スミス、ギャリック・ヘイゴン / 配給:Walt Disney Studios Japan

2013年アメリカ作品 / 上映時間:1時間56分 / 日本語字幕:菊地浩司

2013年11月30日日本公開

公式サイト : http://disney-studio.jp/red/

TOHOシネマズスカラ座にて初見(2014/01/04)



[粗筋]

 もとCIAの特殊工作員フランク・モーゼス(ブルース・ウィリス)はいま、幸せの絶頂にいた。トラブルの挙句に晴れて結ばれたサラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)と、念願の平穏な暮らしを送り、現状にすっかり満足しきっている。

 だが、彼同様に現役を退きながらも、未だに“戦場”に未練たらたらのマーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)は、そんなフランクに警告を発した。自分たちは狙われている、と――そしてサラは、いまの暮らしに退屈し始めている、と。

 マーヴィンお得意の被害妄想だ、と気に留めなかったフランクだが、目の前でマーヴィンの車が吹き飛ばされ、催された彼の葬儀にアメリカ国防総省からの使者が現れ、自分たちが<ナイトシェード計画>と呼ばれる極秘計画についての情報を不当に秘匿している、と言われては目を醒まさないわけにはいかなかった。しかもフランクが連行された施設を襲撃する者が現れ、フランクの前に辿り着くと、彼が計画器についての情報を漏らさなければ、サラを拷問にかける、と言い放つ。

 サラを人質に取られて、静かにしているフランクではなかった。反撃に転じたところへ、更に死んだフリをして身を隠していたマーヴィンも加勢して窮地を脱すると、マーヴィンが捕らえていたアメリカ海軍の要人から情報を引き出す。

 どうやら最近、ネット上にフランクたち引退した重要危険人物=《RED》が<ナイトシェード計画>によって開発された兵器について情報を持っている、という噂が流れているらしい。兵器の開発者は、冷戦当時、画期的な兵器を多数開発した通称“死のダ・ヴィンチエドワード・ベイリー博士(アンソニー・ホプキンス)――かつてフランクとマーヴィンが、モスクワ訪問中に警護を担当したが、不覚にも暗殺されてしまった人物である。

 その頃、イギリス諜報部MI6は、テロリとストとして認定されたフランクとマーヴィンを暗殺するため、ある人物に依頼する。それはかつての事件でふたりと共に戦った凄腕のスナイパー、ヴィクトリア(ヘレン・ミレン)であった……



[感想]

 本篇の前作『RED/レッド』は、従来のアクション映画のイメージと一線を画し、演技の出来る渋めの俳優、オスカーも獲得しているような名優を中心に配して、洒脱な駆け引きとユーモアを取り込んだ、子供じみたところの少ないエンタテインメントとして仕立てたことで、好評を博した。ストーリー展開のために続投できないキャラクターもいるものの、続篇が期待されるのは当然だった、といえよう。

 およそ3年ぶりに発表された本篇は、中心人物はほとんど続投、更にアンソニー・ホプキンスキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、そしてイ・ビョンホンという豪華キャストを新たに迎え、前作以上に大きな規模で作られている。以前ほどではないにせよ、未だに“続篇は失敗しやすい”という認識は根強く残っており、それ故にスタッフ、キャスト共に力を入れたのだろう。

 率直に言えば、ストーリー展開はいささか、というか、だいぶぎこちない。随所で見られる仕掛けは無理があったり、前後の繋がりが不明瞭なものが多く、また背景が入り組みすぎて構図が解りづらい。この人物がこういう意図で行動するためにはもうひとつ布石が必要ではなかったか、とか、こういう反撃を考えていたなら予め描写がなければ不自然ではないか、など疑問が幾つも思い浮かぶ。あえて手段や伏線を配さないことで、驚きや奥行きを演出する、という手法もあるにはあるが、そのわりには疑問点が多すぎるのだ。

 しかし、この欠点を意識したうえで観ても、本篇はひたすらに愉しい。恋人との平穏な暮らしにすっかり浸りきっているフランクと、そんな彼が物足りなくなっているサラに、人嫌いの神経質のくせに何故か訳知り顔でフランクに助言をしようとするマーヴィンのやり取りは起伏に富んで退屈しないし、電話をしながら襲撃者の“処分”を淡々と行っているヴィクトリアの姿にはブラックな笑いが湧く。初参加のゼタ=ジョーンズはサラの対抗意識を燃やして上手い具合にフランクたちの関係に波風を立ててくれるし、イ・ビョンホンなど毎度の肉体美とキレのいい格闘ぶりで、本篇のアクション・シーンにいっそうのパワーをもたらしている。

 アンソニー・ホプキンスに至っては、『羊たちの沈黙』から3作にわたって演じたハンニバル・レクター博士の再来を思わせる人物像を、世界観に見合ったユーモアで演じて、作品に溶け込みつつも存在感を示している。前作が好きで、依頼を受けてすぐに快諾した、というのはリップサービスというわけではなさそうだ。

 この優れたキャスト陣がみな作品を愛し、与えられたキャラクターを受け入れ、膨らますことに力を注いでいる。スタッフの側でも、その想いに応えるように、ほとんどの登場人物に見せ場を与え、可能な限り効果を上げるように工夫をしている。見せ場を優先したあまりに辻褄が合わなかったり、ストーリーとしての結構が悪くなっているのも事実だが、しかしキャラクターや細かなやり取りを疎かにしていないから、面白いのは当然なのだ。

 前作の魅力をきちんと保持し、ヒットに見合った規模に膨らませて作られている。続篇としては大変上出来の部類である。願わくばこの理想的なキャストと、制作側の空気を留めたまま、更なる新作に繋げて欲しい。



関連作品:

RED/レッド

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ダイ・ハード/ラスト・デイ

ムーンライズ・キングダム

ウォーム・ボディーズ

グッド・バッド・ウィアード

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猿の惑星:創世記(ジェネシス)

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー

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