ビルは燃やしてません。

 封切り作品で、観ておきたいものが幾つか残っていますが、本日はひとまず、第2回の開催が発表されたばかりの新・午前十時の映画祭を押さえるべくTOHOシネマズ六本木ヒルズへ。

 今週、来週と上映されている作品は、ジョン・ギラーミン監督、スティーヴ・マックイーンポール・ニューマンフェイ・ダナウェイフレッド・アステアと、当時のスターが集結、超高層ビルで発生した火災に翻弄される人々の姿を描いたパニック映画タワーリング・インフェルノ』(20世紀フォックス×Warner Bros.配給)。古典作品も観るようになって以降、ずーっと押さえておきたかった1本です。

 いま観ても充分に面白いし、当時のスター俳優たちの光芒と、それを容赦なく使い捨てるかのようなシリアスなストーリーの牽引力は秀逸。……が、如何せん、いま観ると災害の表現がもうひとつ生々しさに欠ける。室内が火の海なら、鉄を使っているノブに触れれば無茶苦茶熱いはずですし、延焼の流れや被害の様子にも不自然さが目立つ。ただしこういうのは、その後に現実の災害の研究が進んで、描写が発展しているからこそ感じることですし、パニック・ムービーの要点をきっちり押さえ、スター中心のキャスティングでありながらドラマの奥行きも深めた、いい作品であるのは間違いない。たとえば現代、或いは将来に優れたスタッフ、キャストによってリメイクされた場合、一気に価値を損ねる可能性もありますけど、里程標として評価すべき1本でしょう。やっぱり観ておいて良かった。

 それにしても今日、私の隣に座っていた年配のご婦人は、あんまり映画鑑賞に馴染みがない方だったらしい。私が席に着こうとしたら、肘掛けに荷物をかける、ということをしていてシートが下りない状態になっていた。すぐに引っ込めてくださったものの、上映中、あくびをするのはいいのですが、その拍子に毎回声が出ている。まあ独り言を口にしたりしていなかったのは幸い。終映後、先に立ったその肩は、出入口でゴミを回収している係員に、「いまの映画、すごい火事だったんだけど、あれってビルを本当に燃やしたのかしら?」と訊ねていた。……たぶん係員は知りません。セットは燃やしてますけどビルはたぶん燃やしてませんよ(ミニチュアだと思う)、と言ってあげるべきだったんだろうか。

 鑑賞後はいつものうどん屋にて、珍しくいつもと違うものを注文。その後2箇所ほど寄り道し――悪い癖が出て少々長引いてしまい、少し遅めに帰宅。