『グランド・イリュージョン』

TOHOシネマズ西新井、スクリーン3前に掲示されたチラシ。

原題:“Now You See Me” / 監督:ルイ・レテリエ / 原案:ボアズ・イェーキンエドワード・リコート / 脚本:エド・ソロモン、ボアズ・イェーキンエドワード・リコート / 製作:アレックス・カーツマンロベルト・オーチー、ボビー・コーエン / 製作総指揮:ボアズ・イェーキン、マイケル・シェイファー、スタン・ヴロドコウスキー / 撮影監督:ラリー・フォン、ミッチェル・アムンドセン / プロダクション・デザイナー:ピーター・ウェナム / 編集:ロバート・レイトン、ヴァンサン・タベロン / 衣装:ジェニー・イーガン / キャスティング:カルメンキューバ,CSA / マジック・インスパイア:デヴィッド・カッパーフィールド / ヘッド・マジック・コンサルタント:デヴィッド・クウォン / チーフ・メンタリスト&催眠術コンサルタント:キース・バリー / 音楽:ブライアン・タイラー / 出演:ジェシー・アイゼンバーグマーク・ラファロウディ・ハレルソンメラニー・ロランアイラ・フィッシャーデイヴ・フランコ、コモン、マイケル・ケインモーガン・フリーマン、デヴィッド・ウォーショフスキー、ジョゼ・ガルシア、ジェシカ・リンジー、ステファニー・オノレ / K/Oペーパー・プロダクツ製作 / 配給:KADOKAWA

2013年アメリカ作品 / 上映時間:1時間56分 / 日本語字幕:林完治 / 字幕監修:DaiGo

2013年10月25日日本公開

公式サイト : http://www.grandillusion.jp/

TOHOシネマズ西新井にて初見(2013/11/08)



[粗筋]

 1年前、彼らはいずれも野に燻る無名のマジシャンに過ぎなかった。クローズアップにハッタリを混ぜた技巧に優れたJ.ダニエル・アトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)。その元助手で、大掛かりなショーを得意とするヘンリー・リーヴス(アイラ・フィッシャー)。催眠術の達人であるメリット・マッキニー(ウディ・ハレルソン)。マジックを餌にしたスリで巧みに生計を稼いでいたジャック・ワイルダー(デイヴ・フランコ)。だが彼らのもとにある日、行き先を記したタロットカードが届けられる。カードに導かれて集まった彼らの前には、ある未曾有の計画が示されたのだった。

 そして現在。“フォー・ホースメン”の名前でチームを組んだアトラスたちは、大富豪アーサー・トレスラー(マイケル・ケイン)の出資により、ラスヴェガスで一大ショーを実施する。会場に集まった多くの観客にクジを引かせ、選ばれた者をステージに呼び寄せて、用意された特殊な装置にに乗せると、次の瞬間、その人物を別の場所へと送り届けた。その人物の目の前には、札束の山。

“フォー・ホースメン”の仕掛けたイリュージョンは、ラスヴェガスにいながらにして、パリにある銀行の金庫に観客を潜入させ、そこに積み上げられた札束を強奪、観客たちにばらまく、というものだった。驚くべきことに、本当にパリの銀行から札束が消えているのが確認され、そこには観客が“フォー・ホースメン”の指示によって落としたのと同じカードが確かに残されていた。

 現実に金が盗まれたとあって、事態の調査にFBIが動いた。特別捜査官ディラン・ローズ(マーク・ラファロ)とインターポールの新人アルマ・ドレイ(メラニー・ロラン)が担当となったが、“フォー・ホースメン”が犯行時点にラスヴェガスにいたことは覆せず、短時間に計画を成し遂げた、という証明が出来るはずもなく、拘束した4人をすぐに釈放せざるを得なくなる。

 この1件で一躍時代の寵児となった“フォー・ホースメン”は次なるステージ、ニュー・オーリンズへと赴いた。マジックの種明かしで荒稼ぎをするサディアス・ブラッドリー(モーガン・フリーマン)の予言通り、その彼らの行動は、更に壮大な計画への布石であった――



[感想]

 ミステリにとって必要なのは、冒頭の謎の魅力だ、という意見がある。受け手の関心を櫃聞けるような、壮大で不可解な謎を提示することがまず第一だ、というわけだ。そういう意味で本篇は申し分なく魅力的な“ミステリ”だ。

 しかし先に言ってしまうと、恐らくミステリ映画として観た場合、劇場が明るくなったときに、皆が満足している、ということはあり得ない。充分に魅せられた、というひともいる一方で、ミステリとしては不満が多い、と感じるひとも少なくないだろう。

 どこが、と詳しくは触れないが、恐らく観客が知りたい、と思った秘密に対して、本篇は充分な答を示していないのだ。繰り返し提示される謎は魅力的だし、解明も鮮やかなものが幾つもあるが、そのすべてに綺麗な答を与えてはくれない。ひとによっては、どうしようもなくモヤモヤとした印象を抱くはずだ。

 それでも結末に爽快感があるのは、表面に見える謎とは別に用意された解決が、実に見事に効いているからだ。あまりに大胆不敵な計画の真の狙いが明確になった瞬間、思わず声を漏らし、やられた、と唸らされる。決して読み解くことが不可能なわけではないが、しかしそれほどしっかりと物語が構成されていることの証左でもある。霧が晴れるかのようなあの感覚は間違いなく、きちんと企まれた謎解きに接したときのものだ。

 とはいえ、そうした作品の狙うサプライズ自体にいささか難点があることも指摘せねばならない。いちばんの問題は、最終的な狙いを果たすうえでの工作がもうひとつ物足りない、という点だ。もう少し工作を繊細に施し、すべてが自然と狙ったところに落ちるような趣向になっていれば爽快感もより鮮明になったはずだが、本篇は肝心の部分が強引で、これでは恐らく、語られていないところで網の目から抜け落ちてしまう。なまじ、そこに至る筋道が大胆かつ丹念であっただけに、最後が雑なことが惜しまれる。

 もうひとつ惜しまれるのは、本篇のマジシャンたちが披露するイリュージョンの多くが、あまりに鮮やかすぎることだ――何も悪いことはないじゃないか、と思われるかも知れないが、あまりに映像が華麗すぎて、たとえばCGや映画ならではの特撮でのみ再現できる種類のものではないか、と勘繰ってしまう。パンフレットによると、専門家の指導を仰いで、可能な限り実際に再現してみせたとのことだが、なまじ監督を担当するルイ・レテリエが、映像美の演出に優れているだけに、良くも悪くも嘘くさく見えてしまうのが勿体ない。

 他にも、ミス・ディレクションとは違う部分で人物配置に無駄がある、という欠点もある。細かく検証していくと、やりすぎ、悪い意味での説明不足が残っているようで、どうしても手放しで賞賛は出来ない。

 だが、それでも私は本篇を評価したい。フェアプレイを心がけながらも観客を騙すことに徹したその心意気もさることながら、本篇のプロットはいわば、マジックを題材にして、映画というものの“魔力”に敬意を注いだ内容なのである。初見の驚きをなるべく削がないためには、具体的に触れられないのが歯痒いが、映画という手法で表現出来ることの歓びに満ちたような作品であり、それ故に、傷が多くとも好感を覚える仕上がりとなっているのだ。

 謎解き映画の爽快感を求めるひとには、絶対に満足出来るとは限りませんよ、とちょっと控えめに紹介せざるを得ないが、映画ならではのダイナミズムを味わいたいなら、是非とも、とお薦めしたい。



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