『2ガンズ』

TOHOシネマズ西新井、スクリーン8入口脇に掲示されたチラシ。

原題:“2 Guns” / 原作:スティーヴン・グラント(小学館プロダクション・刊) / 監督:バルタザール・コルマウクル / 脚本:ブレイク・マスターズ / 製作:マーク・プラット、ランドール・エメット、ノートン・ヘリック、アダム・シーゲル、ジョージ・ファーラ、ロス・リッチー、アンドリュー・コスビー / 製作総指揮:マーク・ダモン、モタズ・M・ナブルシ、ジョシュア・スクルラ、ステパン・マーティローシアン、レミントン・チェイス、ジェフ・ライス、スコット・ランバート、ブラント・アンダーセン、タマラ・バークモー、ヴィタリー・グレゴリアンツ / 共同製作:ブランドン・グライムス、ロバート・ドーマン / 撮影監督:オリヴァー・ウッド / プロダクション・デザイナー:ベス・マイクル / 編集:マイケル・トロニック,A.C.E. / 衣装:ローラ・ジーン・シャノン / キャスティング:シェイラ・ジャッフェ / 音楽:クリントン・ショーター / 音楽監修:スコット・ヴェナー / 出演:デンゼル・ワシントン、マーク・ウォルバーグ、ポーラ・パットンビル・パクストンジェームズ・マースデンフレッド・ウォードエドワード・ジェームズ・オルモス / 配給:Sony Pictures Entertainment

2013年アメリカ作品 / 上映時間:1時間49分 / 日本語字幕:太田直子

2013年11月01日日本公開

公式サイト : http://www.2guns-movie.jp/

TOHOシネマズ西新井にて初見(2013/11/08)





[粗筋]

 ボビー・トレンチ(デンゼル・ワシントン)とマイケル・スティグマン(マーク・ウォルバーグ)はメキシコの裏社会ではちょっと名の通った存在になりつつあるコンビだった。ボビーは調達屋として様々な取引に携わり、マイケルは荒い気性と腕っ節を活かして相棒を助けている。

 だが、2人の仕事は壁にぶち当たっていた。メキシコの麻薬カルテルの大物パピ・グレコ(エドワード・ジェームズ・オルモス)の懐に潜りこむべく、側近との交渉を重ねていたが、その側近が不興を買って殺害されてしまったのだ。そこで2人は、かねてからマイケルが提案していた計画を実行に移すことを決める。パピは決まった日に部下を銀行に送り、貸金庫に何かを預けている形跡があった。それが彼の隠し財産である、と踏んでいた2人は、銀行強盗のふりをして、金を強奪することを目論んだのだ。

 準備のためにアメリカに向かったボビーとマイケルは、それぞれ別の組織に接触した。ボビーはDEA(麻薬取締局)に、マイケルはアメリカ海軍に――実は2人とも、それぞれの組織の潜入捜査官だったのだ。ボビーはパピが組織犯罪を取り仕切っている、という明確な証拠を得るために、マイケルはパピが集めた金を奪うため、組織に接触を図っており、偶然に知り合い、互いの目的も知らぬままに裏社会での相棒となっていた。

 ふたたび合流したボビーとマイケルは、さっそく銀行を襲撃する。巧みな陽動作戦を仕掛け、首尾よく金庫の鍵を開けさせた2人だが、しかし幾つも予定外の出来事が発生した。300万ドル程度と睨んでいた隠し財産は実に4000万ドル以上、そしてボビーが出発後すぐに踏み込む手筈になっていた彼の同僚デビー(ポーラ・パットン)は現れなかった。

 とにかく金を積んで移動したが、2人とも早いうちに別れ、背景を確かめる必要があった――先に動いたのは、マイケルのほうだった。ボビーの行動を封じるために彼の肩を撃ったが、このときボビーがDEAのバッジを落としたことで初めて彼の正体を知る。動揺しながらも、金を携えて上官のハロルド・クインズ少佐(ジェームズ・マースデン)のもとを訪ねたのだが……



[感想]

 序盤から実に目まぐるしく展開する作品である。食堂での妙に軽薄な会話から突然の破壊行動に至ったかと思うと、時間を戻して主人公ふたりの立ち位置を綴る。意外な人間関係から相次ぐ裏切りや変化、その合間合間に逃避行や銃撃戦が繰り返されるので、まったく飽きさせない。

 如何せん、舞台は裏社会で、大金のかかったトラブルである。当然のように血腥い展開をするのだが、しかし本篇には命のやり取りをしているが故の陰鬱さや重さはあまり感じない。緊張感はあるものの、主人公ふたりがいい意味で軽いのである。ボビーが交渉中、瓶を片手に荒くれ者たちと暢気に会話をしていたかと思うと、鮮やかな拳銃捌きを見せるマイケル。これから銀行を襲撃しようとするヤマ場なのに同僚との後腐れのない逢瀬を愉しみ、自らに拳銃を向けたマイケルとも、刺々しいがユーモア含みの会話を続ける剛胆なボビー。この両者の軽快で、緊張感と弛緩を巧みに行き来する駆け引きが、物語にテンポを生み出している。『テッド』の大ヒットで現在絶好調のマーク・ウォルバーグに、善人も悪人もこなし、文芸娯楽を問わず厚みのある演技で箔をつけてしまうデンゼル・ワシントンという、まさに脂の乗ったコンビが素晴らしいコンビネーションを披露している。相棒として認めているが馴れ合わない、その呼吸が物語の持つ先読み出来ない面白さと絶妙に響きあっているのだ。

 本篇の事態の複雑さは、たぶん現実ではここまで入り乱れたりしないだろう、と感じる。しかし、そんなんどーでもいいや、と思わせてくれるほどにダイナミックだ。ちゃんと行動の筋道は通っているし、観客には早いうちから察せられる背景もあるのだが、それでもなおどこに着地するのか解らない。絶え間ない緊張と随所に挟まれるニヤリとする駆け引き、そして思い切った趣向が、観る者を否応なしに興奮させる。

 これでクライマックスが尻すぼみであれば残念だが、最後まで本篇はいい意味で観客の期待を裏切らない。ボビーが用意した最後の趣向と逆転劇の爽快さは、劇場が明るくなり、扉を出ていったあとも続く。もしかしたら家に帰ってからも、血の沸きかえるような気分は収まらないかも知れない。

 特に教訓めいたものはなく、ドラマの奥行きといったものもない。アクション映画としては、決してど派手とも言い難い。にもかかわらず、問答無用で面白く、銃撃戦のインパクトは鮮烈だ。刺激的かつ爽快なエンタテインメントに飢えているなら、あれこれ論じるよりもとっとと観たほうがいいだろう――合うか合わないかはともかく、大変に優れた娯楽映画である、というのは納得していただけるはずだ。



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