第26回東京国際映画祭鑑賞3本目、『捨てがたき人々』榊英雄(監督)&秋山命(脚本)Q&Aつき上映。

 きのうに続いてまたしても東京国際映画祭鑑賞のため、自転車にて六本木へ……台風の接近により、今日あたりは電車で移動することになるかも、と覚悟していたのですが、ふたつ同時発生したために進行が遅くなり、今日まで陽気が保ったのは、私には幸いでした。何故なら、私がチケットを押さえているのはここまでだから!

 本日の鑑賞作品は、『浮浪雲』のジョージ秋山による、生きることにも倦んだ男と、宗教に捧げる女の奇妙な関係を軸に、人間の欲望を描いた漫画を、原作者の子息・秋山命が脚色、俳優でもある榊英雄が監督して映画化した捨てがたき人々』(ARK Entertainment配給)

 簡単な舞台挨拶を経て、まずは本篇。原作は読んだことはないのですが、なかなかにえげつなくハードな話。救いのない、泥沼の人生を描いているのですが、しかし己の本能、欲望に正直に向き合ったかのような主人公像には奇妙な魅力があり、理屈では説明のつかない人間関係と、それが生む予測不能の話運びに惹きつけられます。観終わっても何かが決着するわけではありませんが、しっかりと心に残る作品。榊監督作品は第1作『愚郎』、第2作『ぼくのおばあちゃん』を観てますが、着実に力をつけている印象です……えらそーな物云いですけど。

 上映後、ふたたびゲストふたりと司会者、通訳が登壇してのQ&A。

 話題はやはり、かなり赤裸々な性描写と、レイプまがいの場面に集中してしまいます。私自身は、フィクションでそういうものを遠慮しすぎるほうが良くない、という立ち位置ですが、しかし観ていて愉快なものではないのも確かですし、メディアが大衆に与える影響、という見地から製作者の意見を求める声もありました。

 ただ、榊監督も秋山氏も、この作品をいま撮りたい、という想いがまず第一にあり、性描写がどんな影響を与えるか、どういう印象をもたらすのか、ということにはあまりこだわっていなかったように窺える。身も心もさらけ出す演技を要求されるため、自身も役者である監督は俳優陣にかなり気を遣ったようですが、とにかく根っこには、この魅力的な題材を自分たちの手で撮りたい、という想いが強かったと見える。

 世間がどう捉えるかは別として、そういう作り手の情熱ははっきりと感じられる仕上がりだと思います。劇場公開は来年になるそうですが、生ぬるい映画ばかりだ、情念の感じられるものが観たい、という向きはチェックしてみてください。



 というわけで、私にとっての第26回東京国際映画祭はこれにて終了。伝説の監督ジュゼッペ・トルナトーレと、第1作から観ている榊英雄監督というふたりのご尊顔を直接拝めましたし、もうひとつの『ザ・ダブル/分身』もこーいう映画祭ならではのユニークな1本だったので、私はもう満足です。そりゃもっと足を運べたらいいんですが、趣味で訪れるのはこれくらいが限度でしょう。明日からは平常運転です、っていうか、借りたままのDVDをとっとと観ないと!