父にはなれたがヒーローにはなれなかった。

 この2ヶ月ほど、色々と差し障りがあって、映画鑑賞に出かけてもハシゴはしない、というふうにしていましたが、観たいものが山積するとやっぱりストレスが溜まる、というのを再度実感したので、今日は本日封切り作品と、前評判に応えて28日の正式公開に先駆け先行上映が行われていた作品をハシゴしてきました。

 劇場は、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』に続いてTOHOシネマズ西新井です。到着すると、まずは撮影するポスターを捜す、のですが……観る作品どっちも見当たらなかった。一方は正式公開が明日ですから、とりあえず掲示していない、というのは察しがつくんですが、もう一方は2週間限定上映と銘打っているとはいえ正式公開日だというのに。仕方なくスクリーン入口のチラシを撮りましたが、公開当日にこれ、というのはなんだか寂しい。

 まあそれはともかく、本日1本目は、『誰も知らない』の是枝裕和監督が福山雅治を主演に招いて撮り、カンヌ映画祭で審査員特別賞に輝き話題となった作品、我が子を取り違えられ、そうとは知らず6年間、他人の子を育てていた家族の苦悩を描いたそして父になる』(GAGA配給)

 ぶっちゃけ、予備知識から想像していた通りの筋でした。が、抑制の効いた描写に、細かな台詞、行動をきちんと汲み取った流れが非常に沁みる。福山の当たり役・ガリレオを彷彿とさせる主人公の人物像に、俗だけど善良な家族との対比、そして子供たちの飾らない振る舞いが渾然となって、ラストの派手ではない、しかし快い決着に至る。個人的にはクライマックス手前のカメラのくだりがガツンと来ました。なるほど、大変にいい作品。

 次の作品までは1時間半ほどあるので、同じ建物に入っている銀だこで軽く食事を摂ったり、イトーヨーカドーのなかで探しものをして時間を潰す。日本の麺類大好きな私がときどき食べたくて仕方なくなるほうとうが発見できたので、買ってしまったりして。ふだんはキツキツで行動するので、こういう衝動買いは意外と珍しいのです。

 ふたたび映画館に戻って鑑賞した2本目は、超能力を身につけてしまった少年たちの姿を、P.O.V.スタイルで描き出したクロニクル』(20世紀フォックス配給)。実は日本での上映が決まる遙か以前から存在を把握していたので、公開が楽しみでならなかったのです。

 こちらもストーリー的にはほぼ予想通り。予告篇から察しはついていましたが、しかしこちらもテーマを的確に捉えた筋運びが見事です。しかも、最近は飽きられ気味、と言われているP.O.V.スタイルですが、本篇の場合は主題と噛み合っていて、臨場感以上に物語の持つ切なさを膨らませている。言ってみれば『そしてヒーローになれなかった』といった内容であり、苦みに満ちた青春映画の佳作でした。監督は本篇で注目され、『ファンタスティック・フォー』リブート版に起用されたとのことですが、それも宜なるかな

 撮り方もテーマも違うのに、ただスケジュールの成り行きでハシゴしたが、結果としては何となく通じるところがあり、何より大変に私好みで、大満足でした。……思い入れが強いと、感想を書くのがしんどいんですけどね。