『プリキュアオールスターズ New Stage2/こころのともだち』

TOHOシネマズ西新井、施設外壁に掲示されたポスター。

原作:東堂いづみ / 監督:小川孝治 / 脚本:成田良美 / オリジナルキャラクターデザイン:稲上晃香川久馬越嘉彦川村敏江、高橋晃 / キャラクターデザイン&作画監督青山充 / 美術監督:渡辺佳人 / 色彩設計:澤田豊二 / 音楽:高梨康治 / 制作担当:大町義則 / 出演:生天目仁美寿美菜子渕上舞、宮本佳那子、西原久美子寺崎裕香大橋彩香内山夕実福圓美里、田野アサミ、金元寿子井上麻里奈西村ちなみ大谷育江阪口大助豊口めぐみ水樹奈々水沢史絵小松由佳松野太紀本名陽子、ゆかな、関智一松来未祐愛河里花子、玉川砂記子 / 配給:東映

2013年日本作品 / 上映時間:1時間11分

2013年3月16日日本公開

公式サイト : http://www.precure-allstars.com/

TOHOシネマズ西新井にて初見(2013/04/05)



[粗筋]

 別世界にある、妖精学校。

 ここに、伝説の戦士プリキュアの妖精であるタルト(松野太紀)が特別講師としてやって来た。プリキュアと、彼女たちとともに戦う妖精たちに憧れる生徒は、プリキュアの歴史を記した教科書片手に目を輝かせているが、ただひとり、グレル(愛河里花子)だけは不満だった。プリキュアなんかいなくても、自分の力で悪い奴らなんか蹴散らしてやる――そう言ってグレルは授業の最中に騒ぎを起こしてしまった。

 グレルとは別に、授業の輪に加わることの出来ない妖精がもうひとりいる。エンエン(玉川砂記子)は他の生徒以上にプリキュアに憧れているが、自分に自信がなく、タルトに話しかけることも出来なかった。

 講義のあと、グレルとエンエンは立入禁止になっている洞窟を見つけた。エンエンが止めるのを聞かずグレルが開けると、そこには黒い水晶が祀られている。水晶はグレルの影に取り憑くと、同級生たちの自分に対する扱いにグレルが抱く不満を煽り、同級生や先生を見返してやろう、とそそのかした。

 その頃、『スマイルプリキュア!』の星空みゆき(福圓美里)は、試験の成績が悪かったため、青木れいか(西村ちなみ)たちに勉強を教わっていた……が、いい加減音を上げていたところへ、空から招待状が降ってきた。妖精学校にプリキュアたちを招いてパーティを催したい、という提案に、みゆきたちは喜んで頷き、同じように招待状を受け取った他のプリキュアたちと妖精の世界へと赴く。だがそれは、グレルの影に取り憑いた水晶の罠だった。

 最近、プリキュアになったばかりの相田マナ(生天目仁美)、菱川六花(寿美菜子)、四葉ありす(渕上舞)、剣崎真琴(宮本佳那子)の4人のもとにも招待状は届いた。他にもたくさんのプリキュアがいる、という話に驚きながらも、彼女たちも妖精学校に向かったが、辿り着いたときには、既に他のプリキュアたちは窮地に陥っていたのである……



[感想]

 すっかり春先の恒例になったプリキュアオールスターズもこれで長篇としては5作目に達した。第3作で一段落し、2012年度はシリーズ本篇に登場しない少女・坂上あゆみを主人公にして、“女の子は誰でもプリキュアになれる”というテーマで描いた、単純なオールスター・ムービーとは異なる内容に変化した。続く第5作、“New Stage”と冠した2作目である本篇ではどう変化していくのか、ちょっとした不安を抱きつつも愉しみにしていたのだが、やはり研鑽を怠らないこのシリーズに相応しく、いいところに目をつけて膨らませている。

 今回の着眼点は“妖精”だ。彼らがいなければプリキュアも誕生しないのだから、重要な位置づけにあるし、これまでもオールスターズのなかでは幾度か妖精たちが交流する空間が描かれているので、その可能性は潜んでいた――ただ、結果として“プリキュアになれる”というより“プリキュアの妖精になれる”みたいな内容になってしまったのには、冷静に考えると苦笑いを禁じ得なかったのだが。

 前作と同様、オールスターズではあるが、そろそろ増えすぎたプリキュア全員に見せ場を作ることは不可能、しかも基本的には妖精のグレルとエンエンの目線から描いているせいもあって、尚更プリキュアたちに時間を割きづらくなっている。そこで、全員登場させることを断念し、基本は最新シリーズおよび昨年までのシリーズに登場したプリキュアたちに出番を絞っている訳だ。それ故に、旧作でご贔屓のプリキュアがいても出番はほんのちょっと、酷いと声さえも当てられていない、という状況なので、従来のオールスター・ムービーならではの楽しみは薄れている。たとえばキュアサンシャインの声が聞きたかった、というひとや、スプラッシュスターのふたりの活躍がもっと観たい、というひとは落胆するはずである。

 しかしその代わり、登場しているキャラクターはみな、意味があって起用されている。シリーズ中屈指のノーテンキキャラであるキュアマリン(水沢史絵)は、キュアブロッサム(水樹奈々)を相方にして、やもすると深刻になりがちな物語にうまくアクセントをつけているし、『スマイルプリキュア!』のキュアハッピー、というか星空みゆきは旧シリーズと新シリーズの橋渡しだけでなく、引っ込み思案なエンエンが動き出すための重要な鍵の役割を果たしている。現行シリーズが都合10年目という節目を記念する、という意図なのか、多くの後輩たちを差し置いて、第1期のキュアブラック(本名陽子)、キュアホワイト(ゆかな)、シャイニールミナス(田中理恵)の3人に多めに尺を割いているのが、往年のファンや全作鑑賞したひとには嬉しいところだ。

 とりわけ本篇で憎いのは、キュアパッションキュアビートの使い方だ。『スマイルプリキュア!』と『ドキドキ!プリキュア』の最新と1期前ぐらいしか基本的に交流は描かれないなか、唯一このふたりだけがシリーズを跨がってコンビとして登場する理由は、シリーズを通して観ているひとなら察しがつくだろう。台詞は短いが、この扱いにはニヤリとさせられるはずだ。

 率直に言えば、オールスターとしながらもオールスターでない、という物語作りゆえに、変身シーンや必殺技がたくさん盛り込めず、かつクライマックスの見せ場も従来以上に大味になっているので、もうひとつ盛り上がりやカタルシスに欠く感は否めない。豪華さ、盛り上がりの著しさでは、依然として初期3作に及んでいない、というのが事実だ。

 だが、クローズアップさせるキャラの絶妙な取捨選択、シリーズ恒例となったミラクルライトについての説明、子供たちに使わせるタイミングをごく自然に盛り込む手管など、これまでの経験を礎に、いっそう語り口が洗練されているのもはっきりと感じられる。喋る機会はなくとも、すべてのプリキュアを登場させており、扱いの違いはあっても贅沢なイメージは損なっていない。

 初期3作の全力を尽くしたオールスター・ムービーの魅力を期待すると物足りないながら、シリーズが10年に達するまで続けられ、そのあいだ研鑽を弛まなかったからこその成長がはっきりと読み取れる好篇であることは変わりない。何より、旧作の扱いを下げてでも最近のシリーズを大きく採りあげることで、本来のターゲットである子供たちに違和感を与えないことに配慮していることは高く評価すべきだろう。全作追っている私のような変な大人達もこのシリーズを支える層なのは間違いないが、子供たちを喜ばせ、力づけることこそ、プリキュアの本懐のはずなのだから。



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