『バイオハザードV:リトリビューション(3D・字幕)』

TOHOシネマズ六本木ヒルズ、階段下に掲示されたポスター。

原題:“Resident Evil : Retribution” / 監督&脚本:ポール・W・S・アンダーソン / 製作:ジェレミー・ボルト、ポール・W・S・アンダーソン、ロバート・クルツァー、ドン・カーモディ、サミュエル・ハディダ / 製作総指揮:マーティン・モスコウィック / 共同製作:ヴィクター・ハディダ / アソシエイト・プロデューサー:小林裕幸 / 撮影監督:グレン・マクファーソン,ASC,CSC / プロダクション・デザイナー:ケヴィン・フィップス / 編集:ニーヴン・ハウィー / 衣装:ウェンディ・パートリッジ / VFXスーパーヴァイザー:デニス・ベラルディ / 音楽:トムアンドアンディ / 出演:ミラ・ジョヴォヴィッチミシェル・ロドリゲスシエンナ・ギロリーケヴィン・デュランド、ショーン・ロバーツ、ボリス・コジョーリー・ビンビン、アリアーナ・エンジニア、コリン・サーモン、ヨハン・アーブ、オデッド・フェール、中島美嘉 / 配給&映像ソフト発売元:Sony Pictures Entertainment

2012年アメリカ作品 / 上映時間:1時間36分 / 日本語字幕:太田直子 / PG12

2012年9月14日日本公開

2012年12月19日映像ソフト日本盤発売 [DVD Video(初回生産限定):amazonBlu-ray & DVDセット:amazonBlu-ray 3DamazonBlu-ray 3D amazon限定スチールブック仕様:amazon]

公式サイト : http://www.biohazard5.jp/

TOHOシネマズ六本木ヒルズにて初見(2012/10/01)



[粗筋]

 とある郊外で、アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は優しい夫トッド(オデッド・フェール)と、難聴の障害を抱える娘ベッキー(アリアーナ・エンジニア)と穏やかな暮らしを送っていた。だがそこへ忽然と、凶暴化した人々が襲撃してくる。夫は殺され、アリスはベッキーを伴って家を出るが、そこは既に感染者が群れを為していた。そしてアリスは、死んだと思った夫に噛みつかれ、命を落とす……

 その頃、別のアリスも目を醒ましていた。洋上でアンブレラ社の部隊と激しい戦闘を繰り広げたのちに囚われた彼女は、かつてともに戦っていたはずのジル(シエンナ・ギロリー)によって拷問を受けつづける。

 だが、不意に拷問が終わったかと思うと、ジルたちが離れていった。間もなく、セキュリティシステムが停止した、という警告が鳴り響くと、監房の扉が開く。様子を窺いながら脱出したアリスの前に広がったのは――日本の渋谷の街だった。

 事態に困惑するアリスだったが、そこには当然のように感染者が溢れており、なし崩しに戦う羽目になる。どうにかこうにか逃げこんだ場所は、制御室。やがて、モニター越しにアリスに呼びかけてきたのは、一連の事態を引き起こしたアンブレラ社のトップ、アルバート・ウェスカー(ショーン・ロバーツ)だった……。



[感想]

 題名こそ『バイオハザード』だが、これはもう別物だ。原作となったゲーム・シリーズと異なっている、というのもそうだが、現象がもはや“バイオハザード”という単語には収まり切っていない。

 だが、そのわりに原作ファンからもさほど否定的な見解が聞かれない――作品の出来映えはともかく、映画化の是非、という意味ではむしろ認められているのは、物語作りの感性がゲーム的であり、その空気を保ったまま継続しているからだろう。もともと原作を含むゲームの愛好家であり、自身のオリジナルであっても意識的にB級作品を撮っている傾向のあるポール・W・S・アンダーソン監督は、このシリーズの映画化には最適の人材だったのかも知れない。

 前作は、3Dというスタイルを採り入れた初めての作品ということもあってか、立体感を味わえる映像にこだわりすぎてストーリー的にはかなり雑、しかも既に続篇を製作する意欲があったためか、とんでもないところで話が終わっていたので、映像的には面白いが、内容的にはかなり不満を禁じ得なかった。

 恐らく今回も続ける気満々であろう本篇も、そういう意味では中途半端なのだが、しかし前作よりは物語としても見応えがある。それは、従来以上に“ゲーム的”という表現が相応しいプロットになっていることと、シリーズ旧作に登場した人々が再度顔を見せ、激しいアクションのなかに少し奥行きがつけられていることに起因している。

 原作ゲームにそういう側面があったが、この映画版はそれ以上に加速度的にSF要素を強める傾向にあった。本篇はその極地のような展開だが、そこに旧作の登場人物や、思わぬ形でアリスと関わりを持つことになるキャラクターを加えることで、些細な描写に意外な感動を添えている。第1作においてギリギリまでアリスと運命を共にしたあの人物との絡みや、プロローグ部分で登場したアリスの“娘”など、シリーズを通して鑑賞しているひとならちょっとした感慨に襲われるはずだ。

 翻って、そうした要素をちりばめているわりには、あまり積極的に掘り下げていないのが一部の人には食い足りないだろうが――そもそも、そんな風に感じる人は、旧作の時点で離れているだろう。基本的には“自分が面白いと思うものを作っている”という匂いがぷんぷんなP・W・S・アンダーソン監督だが、ここまで付き合ってきた観客が何を求めているのか、はよく解っていると見えて、無駄にドラマの尺を割くよりは、アクション描写をきびきびと見せていくことに注力していると思しい。

 これまでもかなり激しいアクションを披露してきたアリスだが、本篇での勇姿はシリーズ中最高、と言っていいかも知れない。本邦の中島美嘉を含む、日本の感染者たちと格闘する場面や、クライマックスの乱闘は、半端なカンフー映画の比ではない力強さだ。

 前作ほど3D効果を強く意識した描写はないが、だがそれ故に却って臨場感は増したようにも思える。投げたものや、爆発した物体の破片が手前に向かって飛んでくる、というお馴染みの趣向は健在だが、そうした要素をやたらと盛り込むよりは、表現の自然さに気を配ったような印象だ。作品の評価はさておき、『バイオハザード』シリーズで収益を上げているからこそ、まだまだ費用面で敷居が高いはずの3D撮影に繰り返し挑み、研鑽を重ねていることが窺えるのは好感が持てるし、評価するべきポイントだろう。

 アクション、映像に見応えがあるとは言い条、やはり物語としてはどうも雑然としているし、あちこち説明不足で歯痒さは否めない――しかし、そういう点に不満を抱く人はとうに離れているか、解った上で鑑賞しているはずだ。スタッフは本篇においても足並みを乱すことなく、独自の『バイオハザード』世界を構築している。



関連作品:

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バイオハザードII アポカリプス

バイオハザードIII

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