『スノーホワイト(字幕)』

TOHOシネマズ日劇、有楽町マリオン外壁の看板。

原題:“Snow White and The Huntsman” / 監督:ルパート・サンダース / 脚本:エヴァン・ドハーティ、ジョン・リー・ハンコックホセイン・アミニ / 原案:エヴァン・ドハーティ / 製作:ジョー・ロス、サム・マーサー / 製作総指揮:パラク・パテル、グロリア・ボーダース / 撮影監督:グレッグ・フレイザー / プロダクション・デザイナー:ドミニク・ワトキンス / 編集:コンラッド・バフ,ACE、ニール・スミス / 衣装:コリーン・アトウッド / 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード / 出演:クリステン・スチュワートシャーリズ・セロンクリス・ヘムズワース、サム・クラフリン、サム・スプルエル、イアン・マクシェーン、ボブ・ホプキンス、レイ・ウィンストンニック・フロストエディ・マーサントビー・ジョーンズ、ジョニー・ハリス、ブライアン・グリーンソン / 配給:東宝東和

2012年アメリカ作品 / 上映時間:2時間7分 / 日本語字幕:古田由紀子

2012年6月15日日本公開

2012年10月17日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video:amazonBlu-ray & DVD:amazon]

公式サイト : http://snowwhite-movie.jp/ ※閉鎖済

TOHOシネマズ日劇にて初見(2012/07/11)



[粗筋]

 スノーホワイトは、聡明な王と優しい妃のあいだに生まれ、いささかお転婆の嫌いはあるが、健やかに育った。しかしある日、悲劇が起きる。妃が突然亡くなったのである。失意の王につけこむように、間もなく新しい妃としてラヴェンナ(シャーリズ・セロン)が城に入ったが、彼女は実はかつて王に袖にされたことを長年恨み続けていた魔女であった。王を殺害するとその地位を簒奪し、スノーホワイトを塔に幽閉して、国を私物化してしまう。

 それから7年、我が世の春を謳歌していたラヴェンナであったが、彼女が己の美を確かめるために用いていた魔法の鏡が、「この世でいちばん美しいのは誰?」という問いかけに、ラヴェンナ以外の名前を示した。いまや、ラヴェンナを凌ぐ美しさを備えた女――それは、7年に亘って閉じ込めていたスノーホワイト(クリステン・スチュワート)であった。

 ラヴェンナスノーホワイトを始末しようと画策するが、それは幽閉された姫にとって千載一遇の好機でもあった。一瞬の隙を突いて牢を脱出すると、人々が忌避する魔境である“闇の森”へと逃げこむ。

 ラヴェンナは自らの肉親であるフィン(サム・スプルエル)に捜索を命じた。フィンは“闇の森”に精通した猟師エリック(クリス・ヘムズワース)を案内につけ、闇の森の瘴気に襲われていたスノーホワイトを難なく捕らえることに成功する。

 だが、ここでラヴェンナの予想しなかった事態が起きた。かつてフィンに最愛の妻を殺された恨みを抱くエリックは、スノーホワイトに与し、彼女の逃亡を手助けしたのである……



[感想]

 観てから間が空きすぎて、印象がすっかり薄れてしまった。

 しかし、間が空いたのはこちらの事情だが、印象が薄れてしまったのは、基本的にはその程度のインパクトしか受けなかった、という、いい証左なのかも知れない。

 誰もが知る『白雪姫』というお伽噺を、モチーフを温存しつつ、ファンタジーをベースとしたアクション・エンタテインメントに仕立てようとした発想は決して悪くないし、ある程度までは成功している。実際、映像的な美しさや、全体のムードについては及第点、と言っていい。

 だが、脚色した部分のほとんどが整合性に欠いていて、いまひとつ腑に落ちない。特に、結末に関わる要素について、“何故”なのかをまったくと言っていいほど描いていないのは、お伽噺であればともかく、ここまで大人向けの顔をして作ってしまった以上、問題がある。それがたとえ空想的であっても、物語の中で必然性を感じさせるポイントがなければ遊離してしまう、という点について疎かにしてしまっているが故に、悪い意味での“子供騙し”っぽさがつきまとっているのだ。

 人物像の改竄については――好みの問題もあるので一概に何とも言えないが、全体的には悪くないと考える。白雪姫がやたらと逞しいのは、幼い頃のお転婆ふうの描写がある程度は補強している(それでも行き過ぎの感はあるが)し、小人たちをまるっきり戦士にしてしまったのは、脚色の方向性からすればごく自然なことだろう。このあたりが楽しめないようなら、そもそも本篇はまったく合わないに違いない。

 中でも気を吐いていたのは、いわゆる“女王”を演じたシャーリズ・セロンだ。彼女が“美人”であることを否定するひとはほとんどいないだろうが、それを意識的に破壊してまで殺人鬼を演じた『モンスター』でオスカーに輝いた女優である。今回はその美貌を守ったまま――否、美しいからこそ可能な狂気の女を圧倒的なインパクトで演じている。かなり印象が薄れた、と言い条、彼女の変貌と鬼気迫る振る舞いは思い出すことが可能なのだから、本当に強烈だったのだ。

 近年、ファンタジー大作が多くヒットを飛ばし、シリーズ化されたものも少なくない。お伽噺をベースにした本篇でさえ、或いは製作の時点でそれを意識して設定や展開を温存しておいた節がある。いま旬のクリステン・スチュワートをヒロインに据え、やはり注目株のクリス・ヘムズワースを重要な役に起用、そして鍵を握るシャーリズ・セロンの健闘と、洗練されたヴィジュアルなども手伝い、思惑通り続篇の製作が始まっている、という噂がある。それはそれで結構なことだが、出来ることならば1作のなかで、もっときっちりとまとめておいて欲しかった。



 ……そういう締まりの悪いことをするから、監督と主演女優が不倫関係に陥って、どちらもパートナーとの関係が悪化したり、監督が続篇に参加出来ない可能性が濃厚になったり、なんて事態になったのではなかろうか。きちんと作品を綺麗にまとめておけば人間関係だって……と、鑑賞後に相次いだ醜聞を振り返るにつけ、そんな意地の悪い感想を抱かずにはいられないのであった。本当に、続篇はいったいどうなるのやら。



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