『七福星』

七福星 デジタル・リマスター版 [DVD]

原題:“夏日福星” / 英題:“Twinkle Twinkle Lucky Stars” / 監督:サモ・ハン・キンポー / 脚本:バリー・ウォン / 製作:レナード・ホー、エリック・ツァン / 撮影監督:アーサー・ウォン、ジョニー・クー / 音楽:アンダース・ネルソン / 出演:サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウ、ジャッキー・チェン、ジョン・シャム、フォン・ツイファン、チャーリー・チン、リチャード・ン、エリック・ツァン、シベール・フー、ロザムンド・クワン、アンディ・ラウ、ビリー・ロウ、倉田保昭、リチャード・ノートン、ファット・チョン、ミシェル・ヨー、メルヴィン・ウォン、ジェームズ・ティエン / 配給:東映 / 映像ソフト発売元:Paramount Home Entertainment Japan

1985年香港作品 / 上映時間:1時間30分 / 日本語字幕:?

1987年12月12日日本公開

2011年4月8日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video:amazon]

大成龍祭2011上映作品

TOHOシネマズ六本木ヒルズにて初見(2011/08/28) ※プレゼント抽選会付上映



[粗筋]

 キッド(サモ・ハン・キンポー)たちはウー刑事(シベール・フー)というお目付役込みながら、タイにあるパタヤビーチへヴァカンスに赴いた。

 ローハイド(フォン・ツイファン)たちは相変わらず女の子たちにさかんにアプローチをかけはしゃぎ回るが、キッドだけは落ちこんでいる。てっきり両想いだとばかり思いこんでいたウー刑事が、キッドの能力を見込んで、彼を利用するために気があるふりをしていたのだと知らされてしまったのだ。

 そんなところへ、麻薬密売で稼ぐ組織の大物マー(メルヴィン・ウォン)が狙われている、という情報が入り、ウー刑事は急遽監視に駆り出された。助力を求められたものの、乗り気でなかったキッドは最初は拒絶するが、最終的に手伝い、暗殺こそ阻止できなかったものの、息を引き取る前のマーの口から証言を引き出すことに成功する。マーはどうやら、何らかの手懸かりを隠した手紙を、ウォン(ロザムンド・クワン)という女性に投函している、ということらしかった。

 亡くなる直前にマーと接触したことが組織に探り出されてしまったキッドたちは、暗殺者によって襲撃を受ける。このままではウォンが危険だ、と判断したウー刑事は、キッドたちを香港に戻すと、彼らの家にウォンを匿わせる。

 ローハイドたちは、家の中に美しい女性がいて、大人しくしていられる性分ではなかった。あの手この手で一同がアプローチを図る一方、ウー刑事は同じ麻薬捜査課のマッスル(ジャッキー・チェン)、リッキー(ユン・ピョウ)とともに、暗殺者の次の犯行を防ぐべく、網を張り巡らせた――



[感想]

 サモ・ハン・キンポー監督&主演による“福星”シリーズの3作目となる。都合で2作目『香港発活劇エクスプレス 大福星』を飛ばして鑑賞してしまった(DVDを購入したので、後日鑑賞予定)が、どうやら1作目である『五福星』とはキャラクターの肉付けや作品の方向性が一致しているだけであり、設定が繋がっていないらしい。その代わりに2作目の設定や出来事を引き継いでいるようで、こんな変な順番で鑑賞してしまったせいか、序盤では若干戸惑わされた。

 とはいえ、基本的な組み立ては『五福星』と極端な違いはない。変人ばかりの仲間たちがあちこちで騒ぎを起こす一方、ジャッキー・チェンとユン・ピョウを含む警察たちがある事件を追い、最終的に両者が合流する、という形になっている。ただ、先行する『大福星』もそうであったように、警察からの頼みでちょっとした手伝いをしているので、『五福星』ほどの極端な意外性はない。

 お陰で若干、話は解りやすくなったが、基本的には支離滅裂だ。パタヤビーチでの仕事で、暗殺組織の仕事を目撃してしまったとは言い条、何故簡単にキッドたちの居場所が割れたのか、そもそも敢えて狙う必要もなかったんじゃないか、と思わせるような展開だし、いくら保護するためとはいえ、あんな変態男ばかりの家に女性を匿わせるのはあまり望ましいとは言い難い。ある展開に導きたいがために辻褄を無視してしまうのは香港映画全体の癖みたいなものであるし、サモ・ハンの映画でもジャッキー・チェン出演作でもしばしば見受けられる状況だが、本篇は特に無理が際立っていると感じる。

 また、クライマックスの格闘のバランスがいまひとつ良くないのも残念なところだ。一説によれば、このクライマックスを撮影している頃にジャッキー・チェンが代表作となる『ポリス・ストーリー/香港国際警察』の制作に入ってしまったため、出番を減らすためにああいう展開を導入したとも言われるが、真偽はどうあれ、そういう話に説得力が備わってしまう構成は、損をしていると言うほかない。

 但し、そういう雑さを香港映画らしさとして享受できる人であれば、他のサモ・ハン監督&出演作同様の愉しさを味わえる。アクション・シーンの比率はやや低めながら、見せるところでは力強い格闘を披露しているし、決してシリアス一辺倒にならない、コメディであることを重視した擬斗の数々は安定感さえ備えている。

 全般に行きすぎ、かつ噛み合っていない感は強いが、ふんだんに鏤められたユーモアも愉しい。ジャッキー中心の作品と比べるとお色気が過剰気味ながら、決してどぎつくなくマイルドな匙加減を保っているのもポイントだろう。今回、暗殺者に狙われる役柄で出演しているロザムンド・クワンが、あられもない格好をさせられたり、服を着たまま浴槽に浸けられたり、と考えてみると酷い目に遭っているのだが、そのなかで見せる清純な色香が、思いの外見所になっている。

 エピソード個々の魅力は否定しないまでも、連携の悪さは終始つきまとっているし、最後のシュールな締め括りにしても、結局ピンと来ない、ハマらないままで終わる人も多い気がするが、細かいことに拘らなければ、相変わらず観ていて愉しい娯楽作品になっている。……しつこいようだが、ロー・ウェイ監督の製作会社にいた頃のジャッキーが見せる窮屈そうな表情を知ってしまうと、とにかく演じている人々が心地よさそうなのが、何よりいいことに思えてしまう、というのもあるのだけれど。



関連作品:

五福星

新少林寺/SHAOLIN

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明

新宿インシデント