怪し会 肆 於もっとい不動密蔵院

 このところ恒例となっている、声優・茶風林氏の企画・演出によって、お寺にてお酒を嗜みながら怪談を愉しもうというイベント“怪し会”、今年も開催の運びとなりましたので、昨年に続き参加してまいりました。

嘘を洗い流してくれるそうだ。

 場所は前回の東京西方にある了法寺から大きく東へ振れて、新小岩からバスで15分ばかり移動したところにあるもっとい不動密蔵院。話では、やたら閻魔様の像が飾ってある、という話だったのですが、それは奥のようで、私たち観客が普通に確認出来るのは外に鎮座まします一体と、舞台となった本堂奥におわす不動明王だけでした。

 前回よりやや手狭かな? という規模の本堂にぎっしりと客を詰めこまれましたが、椅子がほどよい高さなので、ちょっと座り心地は楽――何にしても、そもそもそんなに大勢入ることを考慮した場所ではないので、窮屈なのは仕方ない。

 当初の開演予定時刻18時より少し押して、スタート。最初に本日の全出演者が、観客の四方に散り、照明を落とした状態で雰囲気たっぷりのオープニングを行って、いよいよ本番です。

 前回は要所要所で登場人物に加わっていた茶風林氏、今回はピンポイントで『世にも奇妙な物語』のタモリ的な立ち位置を務めておられました。基本的に『新耳袋』『隣之怪』に添った朗読なので、メインの話に笑いどころがないため、茶風林氏が各話の背景、選んだ理由などに触れつつ、細かく笑いを挿入する形で少し場を和らげる、そういう役割に就くことにしたようです。トークライヴ……は笑いを挟みすぎの傾向にありますが、こういう怪談イベントは少しくらい休む部分を挟まないと、緊張しすぎて気力を消耗してしまいがちなので、これはいい工夫だと思う。

 まだ1日残っているので、どういう話が選ばれていたのかは伏せておきます(触れても今更チケットを入手する方法もなければ、後日別媒体で発表されるわけでもないので、さほど問題はないよーに思いつつも)が、やはり3月の大震災を踏まえて、少しだけ想いを籠めた選択になっていました。『新耳袋』のなかで最も危険、と呼ばれるエピソードも選ばれていましたが、今回のイベントで私のいちばんのお気に入りは、最後のひとつ前のもの。あれは本来の話者が創作したものだ、と言われても許せるぐらい名作、と思ってますが、その雰囲気を見事に再現してました。

 今回、本堂では飲食が禁止となっているため、途中に30分ほど休憩を挟み、恐らく法要の際は待合室代わりに利用されていると思しい座敷に移動して、酒と肴が提供されました。毎年茶風林氏が拘っているお酒も、被災地である宮城の一ノ蔵のものが選ばれており、まずは先月に茶風林氏らが訪ねた際の写真をプロジェクターで披露しつつ、被災地の現在のレポート。本震と余震で大きな被害を受けながらも、営業を再開しているそうですが、未だにダメージは残っているらしい。今回、観客には小瓶が提供されたのですが、実は現在、販売を控えていたものを、このイベントのために特別に出荷してくれたとのこと。おかわりはワンコイン、但し収益の一部は被災地の子供たちのために使われる、というので、お土産も含めて余分に購入しました。途中から加わった木原浩勝氏、寺島拓篤氏を交えての話に耳をお酒を傾けていたのですが……そうでなくても久しぶりのお酒で、体調をやや崩していたせいもあって、思いの外効きました。

 同行した某氏と食事を摂ったのち、23時頃に帰宅。心配していた大型台風は西に逸れ、イベントの上演中、及び移動中はほとんど降られることなく、わざわざ普通の傘を提げて出かけたのに、大して濡らすことなく辿り着いてしまいました。未だにボーッとしつつも、何とかここまで書き上げたぞ、と。本当は作業も進めたいところでしたが、さすがにちょっと厳しいかも知れない……まあ、リフレッシュは出来たので、明日のために早めに就寝します。