『劇場版 ふたりはプリキュア Max Heart 2 雪空のともだち』

映画ふたりはプリキュア MaxHeart2 雪空のともだち (通常版) [DVD]

原作:東堂いづみ / 監督:志水淳児 / 脚本:成田良美 / 企画:鷲尾天 / キャラクターデザイン:稲上晃、爲我井克美 / 作画監督:爲我井克美 / 美術監督:行信三 / 色彩設計:沢田豊二 / デジタル撮影監督:若尾卓見 / 編集:麻生芳弘 / 録音:川崎公敬 / 音響効果:石野貴久 / 音楽:佐藤直樹 / 主題歌:Berryz工房ギャグ100回分愛してください』 / 声の出演:本名陽子、ゆかな、田中理恵関智一矢島晶子池澤春菜谷井あすか草尾毅檜山修之千々松幸子青野武野沢雅子矢口真里清水佐紀 / 配給:東映

2005年日本作品 / 上映時間:1時間10分

2005年12月10日日本公開

2006年4月19日映像ソフト日本盤発売 [DVD Video:amazon]

公式サイト : http://www.precure-movie.com/

DVD Videoにて初見(2011/02/03)



[粗筋]

 冬休み、美墨なぎさ(本名陽子)と雪城ほのか(ゆかな)は、藤村先輩の友人・木俣の正体で、志穂や莉奈ともども雪山に泊まりがけでやって来た。

 なぎさが苦手なウィンタースポーツを相手に四苦八苦しているころ、同じ雪山に、藤田アカネ(藤田美歌子)の手伝いで訪れていた九条ひかり(田中理恵)は、雪原に不思議な卵を発見する。彼女の目の前で孵ったのは、見たこともない鳥。ひかりはその鳥に“ひなた(千々松幸子)”と名付けて可愛がるが、そこへ闇の使い魔ザケンナーが現れ、ひかりたちを襲う。

 駆けつけたなぎさとほのかがプリキュアに変身し、ザケンナーに立ち向かうが、このときふたりの呼吸は妙にずれていた。直前、ちょっとしたことで諍いを起こし、仲違いをしていたのである。辛うじてザケンナーを撃退することには成功したが、ふたりの間にはわだかまりが残ってしまう。

 その晩、なぎさたちが宿泊する宿に、奇妙な客が訪れた。老師(青野武)とムタ(野沢雅子)と名乗る小さな二人組は、なぎさたちを雲の国へと招待(或いは拉致)すると、ひかりがひなたと名付けたその鳥が、世界にただ1羽しか存在しない、鳳凰であると説明する。火を纏うこの伝説上の鳥は、世界の優しさや温かさを司っており、鳳凰が消えてしまえば、世界は氷に包まれてしまう、という。

 だがそこへ、世界を凍てつかせることを目論む闇の戦士フリーズン(草尾毅)とフローズン(檜山修之)が、鳳凰を始末するべく、雲の国を襲撃してきた――!



[感想]

 2011年公開の『プリキュアーオールスターズDX3/未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』で10作を数える、プリキュア劇場版シリーズの第2作である。『Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』以降は現行シリーズが11月前後からの公開、オールスターズは春休みの公開が基本となっているが、2作目である本篇は第1作の好評を受けて同じ年に製作されており、あいだには8ヶ月しか猶予がない。

 そういう事情を考えると若干緩い仕上がりになっても不思議はないが、前作の良さを踏まえて膨らまし、近年のシリーズに繋がるフォーマットをほぼ確立するところまで持ってきている。異世界が主な舞台である、テレビシリーズの悪役とは基本的に繋がらない大物が出て来る、といった部分は前作で提示しているが、最大のポイントは終盤で登場するオリジナル・デザインの変身だろう。これを加えることで、劇場映画ならではの豪華さを演出している。

 一方で本篇は、シリーズにとって重要な教訓を残したことで知られた作品でもある。テレビシリーズでは一度もなかった、メインのプリキュア同士の戦いを描いているのだ。

 考えるまでもなく、こういう展開は本来、このシリーズが対象とする年齢層にはかなり応える。まして本篇は、最初の段階では特に交流もないただのクラスメイトであったところから、2年近く費やして絆を結んできた、という歴史がある。観てきた子供たちにとっても同様、しかも小さな子供たちにとっての2年は相当長い時間のはずで、そんな彼女たちが拳を交える姿は衝撃的だろう。しかも当人たちは決して望んでいないのだから尚更だ。

 ただ、ある意味そうして子供たちに苦しみを強いているぶん、ドラマとしてはかなり圧巻で、大人が観てさえ胸が熱くなる。如何せん、本篇の中ではそうした前提を描いていないので、単独で観ると充分には伝わりづらいだろうが、テレビシリーズにきちんと触れた上でこのくだりを鑑賞すると、彼女たちが築きあげた約2年分の歴史ごと迫ってくるのだ。

 この流れを踏まえてのクライマックスも感動的だ。のちの劇場版の最終決戦と比較すると少し間抜けな印象を受けるのも事実だが、一連の出来事を経たうえでなぎさとほのかが切る啖呵はやたらと説得力を備えている。

 前作ではキャラクターが固まっていなかったせいもあってお飾りの印象が強かったひかりも、本篇ではきちんと活躍している。そればかりか、彼女が終盤で至る心境とその決断は、テレビシリーズのクライマックスの前哨戦めいた展開をしていて興味深い。惜しむらくは、戦闘シーンでの見せ場にはあまり絡んでいない点だが、ひかりの本来の位置づけを思うと致し方ないところだし、プリキュアふたりの絆を総括する、という主旨を思うと、そこで目立ちすぎてもいけないのも事実だ。分をわきまえつつ活躍の場を与えているのだから、匙加減は間違っていない。

 観た直後はショックを受けたとしても、しかしこのドラマ作りはきっと、あとあとになって子供たちの心に響いてくるはずだ。基本、子供向けの精神を保ちながらも、大人が観ても決して侮ることの出来ない仕上がりを実現した、シリーズにとって意義のある1本である。



 ところでこの作品、DVDには当然のように予告篇が特典映像として収録されているのだが、このなかに、本篇で使用された映像がほとんど見当たらない。恐らく、雪山に出かけた、未知の生き物と出逢った、雲の国に導かれた――といった構成要素は一致しているし、ゲストキャラやアイテムは本篇と同じなのだが、絵がまったく違う。

 恐らく、あまりに準備期間が乏しかったために、設定とおおまかな流れをベースに、本篇とは別の班が制作したのだろう。事実、エンドロールをよく見ると、予告篇の監督として『〜オールスターズDX』を手懸けている大塚隆史の名が挙がっている。予告としては成立しているし、まるで別監督によるパラレル・ワールドの可能性を示唆されているようで、これはこれでまた一興ではある。



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