『劇場版 ふたりはプリキュア Max Heart』

映画ふたりはプリキュア・マックスハート (通常版) [DVD]

原作:東堂いづみ / 監督:志水淳児 / 脚本:羽原大介 / 企画:清水慎治 / キャラクターデザイン:稲上晃、爲我井克美 / 作画監督:爲我井克美、青山充 / 美術監督:行信三、田中里緑 / 色彩設計:沢田豊二 / 編集:麻生芳弘 / 録音:川崎公敬 / 音楽:佐藤直樹 / 主題歌:工藤静香『心のチカラ』(Pony Canyon) / 声の出演:本名陽子、ゆかな、田中理恵関智一矢島晶子池澤春菜工藤静香野沢雅子松岡洋子川田妙子野田順子、中山さら、菊池こころ、赤江珠緒岸尾大輔加藤木賢志、藤田美歌子、勝生真沙子園部啓一 / 配給:東映

2005年日本作品 / 上映時間:1時間12分

2005年4月16日日本公開

2005年8月18日映像ソフト日本盤発売 [DVD Video:amazon]

公式サイト : http://www.precure-movie.com/

DVD Videoにて初見(2010/12/09)



[粗筋]

 いつものように藤田アカネ(藤田美歌子)の営むタコカフェに集まっていた美墨なぎさ(本名陽子)と雪城ほのか(ゆかな)、九条ひかり(田中理恵)の前に、怪しい男が現れた。またしてもドツクゾーンの刺客か、とプリキュアに変身して戦うが、男――というより小さな生き物の塊は、あっさりと白旗を掲げた。

 カエルの姿形をした一同は、こことも光の園とも違う別の世界・希望の園から訪れた勇者たちなのだという。希望の園には、その存在を守るダイヤモンドラインという宝物があるが、現在それが魔女(勝生真沙子)に狙われており、もし奪われれば希望の園もなぎさたちの暮らす世界――虹の園も無事では済まない、という。ひかりはアカネの手伝いがあるし、ほのかも祖母から用事を頼まれていたが、時間はかからないから、と言われ、3人は勇者たちの力で希望の園へと旅立つ。

 あらゆる場所にダイヤモンドが鏤められた目映い光景になぎさははしゃぎ、お目通りした希望の園の女王(工藤静香)にダイヤモンドラインを守り抜く、と誓う3人だったが、しかし希望の園の勇者のひとり、スクエア(松岡洋子)はそんな彼女たちに不信感を顕わにする。

 年に一度催され、ダイヤモンドラインが公の場に姿を見せるパーティの直前、スクエアに「ひとりじゃ何も出来ない」と罵られたなぎさは激昂し、パーティ会場を離れてしまった。そんな中、魔女は空飛ぶ海賊船を操り、上空から希望の園を襲撃してきた――



[感想]

プリキュア』劇場版の記念すべき第1作である。

 近年は公開時期になると興収ランキング上位に食い込むのが当たり前になっており、それだけに舞台やゲスト、シナリオの作りまで非常に力の入った内容になっているが、第1作となる本篇は、TVシリーズの予想を上回る人気によって劇場公開が実現したものの、まだそれほど期待を背負っていなかったせいか、どうも全般に力の抜けた印象を受ける。

 端的な例が、TVシリーズとまったく同じ、これといった細工もないオープニングであるが、ストーリー自体も近年の作品と比較すると少々緩い。プリキュア3人が助けを求められて異世界に赴く、というのは定番のパターンではあるものの、何故彼女たちが敢えて選ばれたのか、というところには踏み込んでいないし、ゲストキャラクターであるスクエアの理不尽な反感であるとか、それに対する周囲の反応など、どうも芯が通っていない。ゲストキャラクターたちと友情関係を築くくだりなどもないので、終盤でのカタルシスや涙を誘う場面が説得力を欠いてしまっている。あくまでTVシリーズの方法論を敷衍し、舞台を異世界にして、ちょっと長めの尺に収めました、という程度の印象を受けるのだ。

 まだTVシリーズに登場したばかりの頃でキャラクターの固まっていなかったひかり=シャイニールミナスがかなり軽んじられているように映るのも、もっと重要な位置づけに出来たはずの王子が、藤村先輩に似ているくせにどうも間抜けだ、というぐらいの印象しか残せていないのも勿体ないところである。

 だが、その後の『プリキュア』シリーズ劇場版と比較してみると、他の基本的な要素もすべて出揃っているのが解る。華やかな異世界や豪華なゲストキャラクターは無論、変身シーンが複数回盛り込まれていること、主人公の信念や友情が試される場面があること、そしてクライマックスではプリキュアたちにも特別なアクションが用意されていること。TVシリーズと差別化するためには当然の配慮とも言えるが、ほとんどの原型を本篇に認められるのには驚いた。

 感動に結びつける、という意味ではもうひと匙ずつ欲しかったところだが、しかし特殊なアイテムをストーリー展開に結びつける手管はなかなか巧い。その意味ではシンプル、直接的に感情に訴えかける展開を選ぶことが増えた後年のシリーズよりも凝っているとも言える。反面、やや整理が不充分で、本来想定するべき観客層にしてみると解りづらいかも知れない。そう考えれば、劇場版もまた本篇の段階では手探りだったことが窺われる。

 あちこち不満も多いが、TVシリーズが好きならば、欠点も含めて充分に愉しめる仕上がりとなっているのも確かだ。特に、度重なる失敗と挫折で落ちこんでいたなぎさ=キュアブラックが立ち直る瞬間の描写は、最初のシリーズにおける彼女の見せ場を彷彿とさせて、なかなかに心憎い。この辺りの「ツボは弁えている」といった感覚は、第1作の時点で健在だったのが解る。近年のシリーズの人気に繋がっていく向上心、研究心がきちんと見え隠れするあたり、やはりシリーズを好む者なら一度は観ておくべき作品だろう。



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