『プレデターズ』

『プレデターズ』

原題:“Predators” / 監督:ニムロッド・アーントル / 脚本:アレックス・リトヴァク、マイケル・フィンチ / 製作:ロバート・ロドリゲス、ジョン・デイヴィス、エリザベス・アヴェラン / 製作総指揮:アレックス・ヤング / キャラクター原案:ジム・トーマス、ジョン・トーマス / 撮影監督:ギュラ・パドス / 特殊メイクアップ&クリーチャー・エフェクト:グレッグ・ニコテロ、ハワード・バーガー / プロダクション・デザイナー:スティーヴ・ジョイナー、ケイラ・エッドルブルート / 編集:ダン・ジマーマン / 音楽:ジョン・デブニー / 出演:エイドリアン・ブロディローレンス・フィッシュバーントファー・グレイスアリシー・ブラガウォルトン・ゴギンズダニー・トレホ、オレッグ・タクタロフ、マハーシャラルハズバズ・アリ、ルイ・オザワ / トラブルメーカー・スタジオ/デイヴィス・エンターテインメント・カンパニー製作 / 配給:20世紀フォックス

2010年アメリカ作品 / 上映時間:1時間47分 / 日本語字幕:林完治 / PG12

2010年7月10日日本公開

公式サイト : http://www.predators.jp/

TOHOシネマズ有楽座にて初見(2010/08/12)



[粗筋]

 ある密林に、パラシュートつきで落とされた、8人の男女。ほとんどが重装備で身を固めた、殺人のプロフェッショナルであることが、互いを観察してすぐに解った。

 全員揃って、目醒めたのは空中だった。その直前まで、それぞれの送られた戦地、任地にいたはずなのに、気づいたらパラシュートを背負わされ、空中を舞っていたのだ。

 自分たちの身に何が起きたのか? 彼らは困惑しながら密林の中を彷徨い、多くの異様な痕跡を見出す。そして辿り着いた結論は――文字通りの悪夢だった。

 彼らがいたのは、地球以外の惑星。そしてこの星に放たれたのは、彼らよりも遥かに強靱で凶暴な何かの“獲物”として、狩られるためだったのだ……



[感想]

 前作から実に20年という時を経て発表された本篇だが、もともとのベースはシリーズ2作目から僅か数年で企画が持ち上がった際、ロバート・ロドリゲスが執筆した脚本であるらしい。企画自体はいちど流れてしまったが、新たに再始動するにあたって筐底から脚本を掘り出したところ、充分に面白かったために、改めてロバート・ロドリゲスに託された、という経緯だったようだ。自ら監督しなかったのは、同時期にスケジュールの余裕がなかったかららしい。

 復活するにあたって様々な改稿が施されたようだが、原型となった脚本自体が志していたものを踏襲し、本篇は単純な続篇というより、第1作『プレデター』の面白さを吸収しつつ、新しいシリーズとして起動し直す、という意図で作られたそうだ。そういった情報を与えられると、なるほど、と頷ける点が非常に多い。

 地球とは植生も1日のサイクルも異なる未知の惑星に舞台を移したものの、ベースはあくまで第1作と同じ密林、プレデターの“狩り”の対象となるのは戦闘のプロフェッショナルたちだ。密林のデザイン自体に工夫を凝らし、撮影の手法も違うので趣はきちんと変えているが、しかし第1作を知っていると、まさにオリジナルの香気を感じる。

 細かな描写でも、第1作を色濃く意識しているのが解る。プレデターの特殊能力や用いる武器がオリジナルを敷衍しているのは当然としても、終盤で無謀とも思える一騎打ちを挑む者が現れたり、クライマックスの舞台とそこで用いられる戦術は、第1作のものを膨らましているのが明白だ。

 そうして丹念に敬意を払いながらも、第1作にあった欠点、不満を補っているのも好印象を齎す。第1作では一騎打ちの様子を直接見せていないが、本篇ではじっくりと結末まで追いかける。クライマックスなど、確かにこういう方法を用いれば、人間がプレデターに対抗する可能性も高まる、と頷けるし、第1作でこれを見落としていたことが訝しくさえ思えるほどだ。

 そもそも第1作では尺の前半1/3ぐらいまでは、未知の知的生命体との戦いを具体的に予見させる材料は乏しく、ゲリラとそれに対抗するアメリカ軍、その思惑に巻き込まれた救出部隊、という戦場を舞台としたサスペンスの味わいのほうが色濃い。タイトルロールのわりに“プレデター”というクリーチャーの跳梁を味わうには少々物足りない、と言わざるを得なかった。それに較べると本篇は導入からして明らかに人智を超えた企みの匂いがあり、遥かに“プレデター”の体臭を感じさせるものとなっている。SFホラー・アクションとして眺めると、本篇のほうが遥かに徹底しているのだ。

 食う者と食われる者の相克、という部分に焦点を絞って描いているため、それ以外の部分がほとんど疎かになっている、という面は否めない。序盤はプレデターの残した異様な痕跡を追うことに終始し、以降は敵味方の距離が詰まりすぎているために、こういう設定ならば盛り込んでも良かったはずのサヴァイヴァル技術の描写がほとんどなかったことに否定的な印象を抱く人もいたようだ。他方、いまひとつドラマに膨らみがない、という批判にも頷ける。

 だが、映画の尺には限りがある。あまりにあれもこれも、と盛り込みすぎて、最も押さえたい部分を取りこぼしてしまっては本末転倒だろう。そこを割り切って、第1作を膨らませ、プレデターというクリーチャーの魅力を掘り下げていったのは間違いなく賢明な判断だ。

 たとえアクション映画であっても繊細なドラマやユーモア、ロマンスの要素がなければ、などといった拘りが強い人には向いていない。しかし、クリーチャーの魅力をとことん堪能したいという人や、潔い信念で作られたB級映画に愛着を感じる、という人ならば、きっとラストシーンまで血の熱くなる感覚に浸れるはずだ。



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