『ピューと吹く!ジャガー〜いま、吹きにゆきます〜』/『エト -ETO-』

『ピューと吹く!ジャガー〜いま、吹きにゆきます〜』/『エト -ETO-』

『エト -ETO-』
監督・脚本:佐上佳嗣 / 企画:八坂健司 / 効果・VFX:カロルコ / 作画:カロルコ、入江充臣 / 編集:福井鶴 / 音楽:碇英記 / 声の出演:日村勇紀バナナマン》、小松彩夏摩味小松里歌岸野幸正、斎藤貴美子 / 制作プロダクション:パンダ工場

公式サイト : http://www.liverp.co.jp/eto/

ピューと吹く!ジャガー〜いま、吹きにゆきます〜』
監督・構成・脚本・キャラクターデザイン・編集・声の出演:FROGMAN / 音楽:manzo / 主題歌:フランツ・フェルディナンド『キャサリン〜ガールズ・ネヴァー・ノウ〜』(Sony Music Japan International) / 声の出演:藤原啓治金丸淳一小西克幸笠木泉、田村慧、真木よう子伊武雅刀板東英二うえだゆうじ真殿光昭西村ちなみ、長嶝高士、郷里大輔高塚正也 / 制作プロダクション:蛙男商会 / 配給協力:東宝

公式サイト : http://www.pyu-to.com/

共通クレジット
原作:うすた京介(集英社ジャンプコミックス・刊) / エグゼクティヴプロデューサー:渡辺直樹 / 配給:DLE Inc.

2009年日本作品 / 上映時間:1時間39分(2作合計)

2009年1月1日公開

TOHOシネマズ西新井にて初見(2009/01/27)



[粗筋]

『エト -ETO-』

 2010年12月30日、暗いニュースばかりが流れる世の中を憂う少年シブシゲ(小松彩夏)は、富士山の麓にひとつの光球が落ちるのを目撃する。あれは救世主に違いないと訴え、あくる日、友達のサンペー(摩味)・ユカ(小松里歌)とともに現場を訪れるが、そこにいたのは白くて耳の長い生き物――よく解らない物体をぶつくさ言いながらいじっていたそいつにシブシゲ達が素性を訊ねると、それは“ウサギです”と言い張った。人間と同じぐらいの図体をしているくせに。

 ……それがシブシゲと、エト(日村勇紀)との出逢いであった。

ピューと吹く!ジャガー〜いま、吹きにゆきます〜』

 ミュージシャンの卵ピヨ彦(金丸淳一)がフリーマーケットで手に入れたのは、ミュージシャンがしていそうなアクセサリのついたネックレス。だがそれは、異世界において何でも願いを叶えてくれるというドラゴンを呼び出すための秘宝“神のいびき”を6つに分けたパーツのひとつであった。

 異世界にあるフランツ王国の王女キャサリン・アルト(真木よう子)は、闇民という世界征服を企む連中に狙われている自らの国を救うために笛を捜してこちらの世界に現れ、ピヨ彦を発見する。ピヨ彦の同居人でもあるジャガー(藤原啓治)はじめ仲間たちが集まって事情を聞いているあいだに、一同は闇民の襲撃を受け、別の異世界へ逃げこむ羽目に陥った。

 アルト王女の従者ステンベルゲン(伊武雅刀)の進言もあって、ピヨ彦達は有耶無耶のうちに笛捜しを手伝うことになるのだが、如何せんジャガーとその仲間たちのすることだから、一筋縄で終わるはずがない。笛捜しの異世界旅行、果たして無事に終わるのか……?



[感想]

 うすた京介の名前は知っていても、彼の漫画は読んだことがない。だが、『秘密結社鷹の爪』などの蛙男商会の作品が最近けっこうお気に入りだ、という理由から、本篇を鑑賞してみた。

 だが、そういう動機からしてみると、望外の収穫だったのが同時上映の短篇『エト -ETO-』である。FLASHを使用したアニメーションは、ごく限られた枚数の動画をうまく用いて省力化を図る一方、一枚一枚の線が個性的であっても何とか動かしてみせることが出来るという利点がある。『エト -ETO-』はそれを活かして、本来漫画だからこそ可能なタッチを可能な限り再現しているのだ。シリーズものに属さない短篇であるために、設定も結末も短い尺の中に収められており、ユーモラスながらも感動的な展開を見せるこの作品の満足度は高い。

 しかし『ピューと吹く!ジャガー』のほうは、私が原作や先行するDVDオリジナルアニメを観ていないことを差し引いても、少々緩い仕上がりだった。細かな笑いやお遊びを盛り込んでいる一方で、1時間を超える尺を支える仕掛けやネタがあまりないので、全体としてだれた印象を受けた。異世界を巡って笛のパーツを集める、という趣向によって長篇に仕立ててはいるが、作品の世界観やギャグの傾向は細かく刻んだ尺に合っていると見える。

 とはいえ、ギャグやお遊びは蛙男商会らしく、感性の合う者なら非常に楽しめるはずだ。板東英二を徹底的にフィーチャーした異世界や、ジャガーの奇行に絡んだ表現のユニークさ、しばしば伏線を活かしたギャグも組み込んでおり、センスの高さを窺わせる。

 全般に平坦な印象が強いものの、クライマックスできっちりと盛り上げるあたりは巧みだ。最後でも細かなギャグを畳みかけて収拾がつかなくなりそうなところで、華麗なネタを繰り出して一気にまとめてしまう。少し欲張りすぎて散漫になったきらいもあるが、その豊かなサービス精神はあっぱれと言うべきだろう。

 プログラムを観ると、原作のキャラクターも可能な限り押さえているようで、基本オリジナル・ストーリーのようだが、恐らく原作ファンであっても不満のない出来であろう。蛙男商会の作品としても、やや緩いとは言い条、いつも通りのセンスを感じさせる、安心して観られる仕上がりだった。