『イノセント・ラヴ』最終話

 紆余曲折を経て、佳音は殉也と華燭の典を挙げようとしていた。だがそこへ忽然と現れたのは、聖花。式場のバルコニーから身を投げた彼女を咄嗟に庇った殉也は頭部を強打し、昏睡状態に陥る。やがて意識は取り戻したものの、殉也は一切の記憶を喪い、正常な反応を示さなくなっていた。佳音は献身的に尽くし、必死に記憶の回復に努めるが……

 ……ああなるほど、けっきょくこれがやりたかったのか。随所でこれまでの描写を反復していることで、はじめからこのクライマックスを狙っていたことだけは理解できました。

 しかし、成功しているかというと……うーん。むしろこれが狙いならば、佳音側の複雑な背景は不要だったんじゃなかろうか。彼女自身の事件について変に凝った謎解きを組み込んでしまったばっかりに、どうもギクシャクした印象を齎す。記者の池田が、自分を襲った耀司と気さくに接しているのは、彼の人柄や、あれから時間が経過していることを考えれば必ずしもおかしくないのですけれど、どうもこれまでの経緯を軽視しているように映ってしまう原因の一つになっている。最初に堀北真希の役柄を大きく謳いすぎたことが、クライマックスに悪影響を及ぼしたようです。

 今回の流れだけを切り取っても、引っ掛かるところがある。頭部の強打で記憶を喪い正常な反応を示さなくなる、あたりまではいい。終盤で佳音が選んだ行動と、そのあとの流れも悪くない。でも、そのあとの殉也の行動はさすがに医学的に不自然すぎやしないかと。本篇のこれまでの流れからすればある意味正しいのですが、それはそれでもう少し工夫が欲しかった。

 反応の悪さにスタッフ自身嫌気が差してしまったかのような、あまりにあっさりした結末も物足りない。シリアスな作品としてはもう早い段階から壊れていましたし、ソープドラマとしてやりたかったにしては不徹底すぎる。路線を充分に固めていなかったばっかりにこけてしまったような印象でした。