映画という“毒”に魅入られて。

 今日も今日とて映画鑑賞です。先月の多忙と今月の体調不良で、観たい映画が貯まってしまってるので、全部はもはや無理でも、出来る限り押さえていきたい。とりわけ今日選んだのは、本当ならもっと早く観るつもり、しかも体調不良により、いちどチケットを確保したのに断念した経緯もある。これを観逃すのは悔しすぎるので、もう上映回がだいぶ少なくなっているなか、どうにか都合のいい時間割を探し出して、きょう観に行くことにしたのです。
 劇場は使い慣れたTOHOシネマズ日本橋。上映開始は9時15分、だいぶ早いけど、ちょっと早めに起きれば対応出来る……まさか、着いたときに劇場のシャッターまだ下りてるくらい早いとは思わなかったが。
 鑑賞したのは、スティーヴン・スピルバーグが自身の原点を描いたドラマ、映画に魅入られた少年が自分の道を見出すまでの物語フェイブルマンズ』(東宝東和配給)。アカデミー賞では無冠に終わりましたが、やっぱりスピルバーグ作品の原点を垣間見ることが出来そうなこれを観逃したくはなかったのです。
 映画のマジックに魅せられその世界に足を踏み込んでいく、みたいな内容かと思いきや、むしろ映画を撮る、ということに取り憑かれ呪われてしまった少年の話、という趣。間違いなくその魅力、面白さは描かれているのですが、自分なりに技術を身につけて、素人ながらきちんとした作品が撮れるようになっても父は認めてくれず、一方で認めてくれるひとびとの秘密を暴いてしまう怖さも知っていく。
 ただ、確かに逃れようのないその魅力を描きつつ、少年の成長とその家族を巡るドラマとして、風変わりでありながら緻密に組み立てられている。パンフレットによれば、人物名は変えつつもかなり事実に沿っているそうなんですが、だとしたら本当にデリケートな事実を絶妙な節度で描いていることは間違いないし、ラストの出来事は驚きとしか言いようがない。っていうか、あれはマジなのか。
 劇中で主人公が撮っている作品はむろん、エピソードのひとつひとつにスピルバーグ作品とのリンク――事実なら“萌芽”と呼べるものがちりばめられていて、その意味でも興味深い。「これを撮らずにキャリアを終えることは想像出来ない」とまで言ったのも頷ける、集大成感の強い1本。意地で観に来て良かったわ、やっぱり。

 鑑賞後は日本橋ふくしま館へ赴き昼食。これまで遭遇できなかったお店が来ていたので、そのうちレポートをアップします……今回は注文の仕方を誤った気がする、とだけは呟いておく。

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