同じスクリーンでアニメをハシゴ。

 シネコン全盛になって、選択肢は増えた一方、時間割の自由度が増したせいで、やたら夜遅かったり、午後の半端な時間に生き残っていく作品が多くなって、こっちが予定を合わせにくくなった。
 今週もそんな感じで、何を観に行こうか悩んだのですが、気になる作品を調べてるうちに、上野でちょっといい具合にハシゴのスケジュールが組めた。折よく、この土曜日は、いつも観ている『ブラタモリ』がお休みの週なので、出かけてくることに。
 行き先はTOHOシネマズ上野。いい陽気なので、徒歩で移動しました……そこまで想定してたわけではないけど正しい判断でした。規制がどんどん緩和されているお陰で、久々にかなりの人手でした。自転車を使ってもたぶん所要時間は変わらなかった。
 当然やたら混んでいる劇場にて、まず鑑賞したのは湯浅政明監督最新作、古川日出男の小説をもとに、南北朝時代の京都で繰り広げられる虐げられた者の物語犬王』(Aniplex×Asmik Ace配給)
 宣伝文句通り、まさに狂騒のミュージカル。物語を繋ぎ始めたころの琵琶法師と、お上に認められる“芸”に発展しつつあった能、ふたつの分野に生まれた革命児が出会い、斬新な音楽を生み出していく。さすがに演奏の内容や舞は当時としてあり得ないんですが、当時の京都の描写にあるリアリティや、物語に通底する深い情念とも呼応して、凄まじいまでの躍動と説得力。
 物語としては雰囲気が先行しすぎてるんですが、強烈にイマジネーションを刺激するシチュエーションや映像が素晴らしすぎて、興奮の方が先に立つ。1日あたりの上映回数が少ないとはいえほぼ満席、プログラムが(そもそも在庫をあんまし得置いてないらしいTOHOシネマズ上野とは言い条)売り切れているのも納得の1本。
 少し間を置いての2本目、こちらは公開3周年を記念した復活上映、自らの身体から炎を放つ突然変異種《バーニッシュ》を巡る陰謀と戦いをハイテンションで描いたプロメア<前日譚付き>』(東宝映像事業部配給)
 爆音上映にていちど鑑賞、粗筋までは仕上げたのですが、感想を書くきっかけが掴めず3年近く経ってしまってました。公開3周年の節目に、一部劇場で再上映されているので、この機に観たくなったのです。んで上野で捜してみたら、鑑賞予定に入れてた『犬王』とうまくスケジュールが繋がった……っていうか、ちょうどおんなじスクリーンで、入れ換えてかかってたのです。もう「観ろ」と言われてるも同然だ。
 改めて、観ていてやたらと燃える作品。終盤の展開があまりに御都合主義なのに、それすらも心地好いという猛烈な力業。デザインや設定へのこだわりで、唯一無二の世界観に観客を引きずり込んでしまう稀有な傑作。ただ、やっぱりこれはいちど特別な設備での上映を観てしまうと、普通のスクリーンではちょっと物足りない、というのも実感してしまった。爆音上映には無茶苦茶向いてたんだな、これ。
 ……そしてこのハシゴ、実に気力を消耗します。楽しいし気分はアガる、けどそのぶん、ほんとーに疲れる。このあと作業に入らなきゃいけないのに、ちょっとボーッとしてるのでした……。

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