マーヴェルにサム・ライミが帰ってきた。

 何の因果か、3日連続の映画鑑賞です。シンプルに観たい作品が溜まってきた、というのもありますが、もともと決まっていた昨日の『劇場版 ラジエーションハウス』を、衝動で観てきた『少林寺〈4Kリマスター版〉』と、どーしても後回しにしたくなかったきょうの1本が挟み込んでしまった結果です。
 劇場は、最近ここでかかっているなら最優先にしてしまう丸の内ピカデリーのDolby CINEMA。毎度ながら、私がここで観たい作品は、朝イチの上映を外れがちです。幸い、土曜日は透析のお休みに充てている日なので、いつもなら準備に入る18時スタートの回を観ることに。
 GW最後の土曜、しかも有楽町なので、人出が多い可能性が高い。それゆえ、移動にははなから電車を使う予定でしたが……約1時間前まで降っていた雨に濡れる路面と、広がってきた青空を眺めているうちに心が揺らいでくる。しかし、これでいつも使っている駐車場が埋まっていると、ピカデリーから遠い駐車場に移動せねばならず、まあまあの一大事になる。大人しく、電車に乗ってきました。
 鑑賞したのは《マーヴェル・シネマティック・ユニヴァース》最新作、マルチヴァースを渡る特殊能力を持つが故に狙われる少女とともに、ドクター・ストレンジが困難な使命に挑むドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(字幕・3D・Dolby CINEMA)』(Walt Disney Japan配給)
 何が嬉しいって、サム・ライミ監督の帰還です。この人がトビー・マグワイア版『スパイダーマン』を手がけてなかったら、たぶん私はこんなちゃんとMCUを追っかけなかった……罪作り、とも言えますが、運命的な再登板は最高のコンディションで見届けずにいられません。
 そもそもドクター・ストレンジの前作がホラー風味だったこともあり、『死霊のはらわた』はじめホラーでの実績も豊かなライミ監督は適任だ、と思ってましたが、予想以上の適材適所。緊張と恐怖を巧みにあおる演出に、あちこちで出てくるホラー風味濃厚なモチーフが実に活きてる。特にクライマックスのあの趣向、登場シーンから嬉しくなってしまいます。もろアレだよアレ。
 他方でヒーロー映画としての趣向、ドラマも豊富。マルチヴァースならではのお遊びに、ストレンジ同士の対決で見せる技の応酬が最高です。そして、これまでのMCUで描いたドラマも反映した展開、クライマックスの味わい深いこと。実のところ、観ながら「突破口はあそこしかないよなー」と感じていたとおりの着地点ではあったのですが、ドラマとしての盛り上げ方、そしてそこに導く組み立てが文句なし。
 観ていて幸せな気分に浸ってしまうくらい完璧。サム・ライミらしさを随所に鏤めながら、新たに開かれた“マルチヴァース”の可能性を活かし、新たな展開に繋げた職人芸の光る1本。どうやらドクター・ストレンジとの相性は良さそうなので、続投してくれんだろうかサム・ライミ。

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