ひとがひとを裁くということ。

 体調が悪かったり作業の進捗が芳しくなかったり、で火曜日は映画を観に行くのを取りやめましたが、あんまりフラストレーションを溜め込んでも手が止まる。取りあえず、こいつは絶対観たかった、という1本を押さえるべくお出かけ。
 行き先はTOHOシネマズシャンテ。……なんとなく、ここも頑張れば歩いて行けるよね、という悪魔の囁きを聞いた気がしましたが、冷静になってバイクにて移動。このところ走らせる機会も減ってたし。先に立ち寄ったガソリンスタンドで旧知の店員さんと少し話してしまってギリギリになりましたが、幸い駐車場がいつものところが空いていたため、劇場には充分間に合った。
 鑑賞したのは久々のイラン映画、死刑執行された夫の無実が1年後に証明され、悲嘆に暮れる女の前にひとりの男が現れることで始まるドラマを静かなサスペンスとして描く白い牛のバラッド』(LONGRIDE配給)
 アスガー・ファルハディに匹敵する才能、といったことが宣伝に書かれてましたが、率直に言ってそこまでではない。あそこまで事情が入り組んではおらず、読み解きやすい。ショッキングな結末、なんて言葉が公式サイトにはありますが、これもスレたひとには予想に難しくない。
 ただ、題材の選択と表現の精細さは秀逸。冤罪によって夫を喪い、社会からも迫害される女性の哀しみ、苦しみを丁寧に描き出している。スレているひとにはショッキングではない、とは言い条、そこに至る道筋の確かさと、観客に問いかけるスタンスは見事に噛み合っていて、静かに心に響きます。
 私がイランの映画を観るのは、西欧圏の映画ばかり観ていると解りづらいイスラム圏の文化や日常を垣間見ることが出来るから、というのも大きいのですが、その意味でも興味深い内容でした。イスラム圏だと女性、しかも未亡人というだけで非常に生きづらいらしい。見知らぬ男性が訪ねてきた、というだけでアパートを退去させられていたのが特に衝撃でした。冤罪の被害者だろうと関係ないのかしら。

 鑑賞後、たまにはラーメン以外のものを食べよう、と思い、久々につるとんたんを訪ねました。ここは2人席がメインなので、罪悪感があるんですが、2人組以上の客より食べるのは早い。さっさと食べ終えて、席を空けてきました。

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