魂を削ってシャッターを切る。

 本日は久しぶりにTOHOシネマズ西新井に行ってきました。今年はじめの『アンチ・ライフ』以来……なんかイメージが良くないぞ。
 西新井はバイク専用駐車場があるので、移動にはバイクが最善なのですが、朝からやけにどんよりとした陽気。しかし、昨日時点での予報では雨の気配はなし、今朝のテレビ番組では少々不穏な内容に変わってましたが、出かけているあいだは辛うじて保ちそうなので、「最悪、濡れてもいいや」と覚悟を決めてバイクを出しました。
 鑑賞したのは、水俣病を取材し、世界にその実態を知らしめたカメラマン、ユージーン・スミスをジョニー・デップが演じたドラマMINAMATA ミナマタ』(LONGRIDE×ALBATROS FILM配給)
 いい意味で社会派になりすぎず、どちらかと言えば、ひたすら不器用にシャッターを切るしか出来ない男の生き様を通しながら、水俣を襲った悲劇の実像を描写している感じ。いちおうは現地の人びとが手にした最初の勝利までを辿っていますが、社会問題としての決着は見ていないので、そういう意味ではやり切れなさが残る。ただ、闇雲に自然に影響をもたらす生き方を見直すきっかけを与えてくれる内容なのは確か。
 しかし本篇は何よりジョニー・デップが絶品。破滅的で、しばしば感情的な振る舞いをする扱いづらい男ですが、それでも愚直に写真というかたちでメッセージを残そうとした姿を、異様なまでの生々しさで表現している。DV疑惑などで叩かれ、アメリカでは干されているのに近い状態のようですが、俳優としての魅力、能力はやはり凄い。
 鑑賞後は、西新井での恒例で、行きつけの蕎麦屋へ。ここは基本、平日の方が混んでるのですが、私はバイクなので、駐めるスペースはある。駐車場所を心配しなくていいのは助かるのです。

 ……しかし、きょうなにを観に行くか、ほんとにずーっと悩んでました。
 観たい作品は色々あるんだけど、だいぶ後回しにしてしまったせいで、上映時間が微妙なものばかりになってしまった。今日の夜はどうしても動かしたくない予定があったためどうにも出来ず、けっきょく、まだ封切2週間ほどで、朝一番の適当な時間にかかっていたこれが一気に上がってきたのです。前々から存在は知っていて、日本でかかるなら観たい、と思っていたのも事実だし。
 実は、いちばん優先したい作品は他にひとつ、あった。しかし先々週くらいからもうその日最後の上映に移っている。在宅透析に切り替えたことで、予定の都合はつく、とはいえ、いつも透析に充てている時間帯の上映だと、前後の透析のタイミングを調整しなければいけないので、簡単にはいかないのです。
 観に行ける最後のタイミングは昨晩でした、が、昨晩はどうしても観たい番組がひとつあって、出かけられなかった。
 目当ての作品を観逃したのは残念ですが、しかし後悔はしてない。『水曜日のダウンタウン』の《おぼん・こぼん THE FINAL》は圧巻でした。録画もしてますけど生で観て良かった。

コメント

  1. […] 原題:“Minamata” / 監督:アンドリュー・レヴィタス / 脚本:デヴィッド・K・ケスラー、アンドリュー・レヴィタス、ステファン・ドイターズ、ジェイソン・フォーマン / 原案:ユージーン・スミス、アイリーン・M・スミス /  […]

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