『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』舞台挨拶つき上映 at キネカ大森。

 本日の映画鑑賞は14時開映です――いつになく半端なのは、そもそもの上映回数が少ないから。かつ、数少ないイベントつき上映のタイミングだったから。きょうは、午後の仮眠を捨てて出かけることにしました。
 出がけにクリニックに立ち寄り、昨晩採った血を預けてから電車にて大森へ――映画館として、名画座的な役割も果たしているので、もっと利用しても良さそうなものですが、如何せん私の行動範囲からだいぶはみ出してる。けっきょくほぼ年1、きょうと同じ用件でしか立ち寄りません……。
 やや早めに現地入りし、ことのついでにラーメン店をひとつ開拓してから劇場へ。基本、野郎しか出てないホラー映画なのに、完売したそうです。上映回数が少ないし、舞台挨拶がある、というのも大きいと思われますが、にしても凄い。
 でもって本篇、怪奇現象をカメラに収めようと苦闘して十数年、今年で一区切りを決断した男たちの最後の旅を追う『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』(KING RECORDS配給)です。
 ……とうとう、辿り着きましたね。
 14年目にして、満を持して木原浩勝氏が1エピソードのみながらキャップに就任、2年前に巡り合い、それ以来幾度もカメラを持ち込んでは本物の怪異を捉えている、ほとんど奇跡みたいなスポットに赴いてるので外しはしないだろう、と信じてましたが、完璧すぎました。音はもちろん、鍵がかかった室内の定点カメラが照明の明滅を捉え、ミッションに挑んだ出演者がことごとく何かしら感じてる。そして、文句のない映像がバッチリと。
 ほかのミッションについては、従来の新耳袋Gメンとおんなじ緩さがありましたが、それもまた一興。山口幸彦プロデューサーの口振りでは、恐らく来年以降もフォーマットを変えて、似たような企画が始まる可能性はありそうですが、区切りとしては最上の出来映えだと思います。天晴。

『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』初日舞台挨拶にて撮影。左から、山口幸彦プロデューサー、後藤剛ラインプロデューサー、佐藤周監督、村上賢司監督、角由紀子TOCANA編集長、『新耳袋』原作者・木原浩勝、ヨコザワ・プロダクション代表・横澤丈二。

 上映終了後に舞台挨拶が実施されました。司会を兼任する山口幸彦KING RECORDSプロデューサーを筆頭に、制作会社シャイカーの社長である後藤剛、復活後4度にわたって監督を担当した佐藤周、原点であるドキュメンタリーと初期劇場版を担当した村上賢司、シリーズ初の生きた女性隊員となったTOCANA編集長・角由紀子、最後にして初のキャップに就任した『新耳袋』シリーズ著者・木原浩勝、そして今回、最大の見せ場を提供してくれたヨコザワ・プロダクション代表・横澤丈二。
 微妙にグズグズとした感じでイベントスタート。山口Pが順番に、シリーズの完結を迎えた感想や、印象に残るスポットなどを訊ねていく。初期シリーズ『怪談新耳袋殴り込み!』のラストとなった『魔界編』を挙げるメインスタッフが多いなか、後半の角由紀子、木原浩勝、横澤丈二諸氏の話になると混沌としてきた。
 明らかに撮影されたものが凄まじかったので、その話題が中心だったのですが、劇中で採り上げられていないところでも豊富に異変があったらしい。また、カメラに捉えられない恐怖もあったという。とりわけ慄然としたのは、横澤氏が最後に放したエピソードです。
 数時間にわたる撮影が済んで撤収したあと、舞台となった稽古場に戻った横澤氏は、今までになく気分が悪くなったらしい。そのとき、稽古場故に壁いっぱいに貼ってある(そして幾つかの体験談の主役でもある)鏡を見ると、鏡に映る自分と、実際の表情がズレている。最初は視線がズレ、やがて横澤氏が笑ってみても、鏡の中では唇を真一文字にしている。そして、横澤氏が笑うのをやめると、鏡の横澤氏が笑う。
 このときの横澤氏の反応を見ていたマネージャーの方が、いよいよ悪寒を催し、トイレに飛び込んで嘔吐した。その際、他に誰もいないはずのトイレの中で、男の声がこう呼びかけたそうです。
「お遊びは短くしろ」
 ……いやあ、いい話だ。今回の撮影場所となったヨコザワ・プロダクションの稽古場は、この手のエピソードに事欠かないそうですが、中でも今回の出来事はいちばん戦慄したらしい。そして、時間ギリギリでこの話題を振った横澤氏、「これを観た皆さんが帰ったあとで、同じ出来事に遭遇するかも知れません」……
 ……いまのところわたしの身にはなにも起きてません。っていうか、鏡じたい観てません。観られるものか。フェイクも含めて色々な怪奇映像を観てきましたが、量・質ともに飛び抜けていて、あのあとではさすがに私も怖い。

 何にせよ、今回のエピソードは完結篇に相応しく、大願成就を成し遂げた傑作でした。例年よりも上映の枠が少なく、映画館で観るのは難しいかも知れませんが、今回は山口Pが頑張って、早く映像ソフトリリースに漕ぎ着けてくれる、はず。お近くで上映されない、観に行きたいけど時間が合わない、という方は、是非ともソフトを購入のうえご覧ください。たぶん期待していい。

コメント

  1. […] 監督&編集:佐藤周 / プロデューサー:山口幸彦 / ラインプロデューサー:後藤剛 /  […]

  2. […]  8月21日、久々の大森行き、それもちょうど昼時なので、折角ですからラーメン店を開拓してきました。 […]

タイトルとURLをコピーしました